見出し画像

刑法#14 責任①

本気で合格目指すなら❗オススメ資格スクール


Twitter

ブログ

責任


構成要件的故意


→構成要件の段階で検討される主観的構成要件要素。客観的構成要素を認識、認容していたかが検討される。

責任故意


→責任段階で検討される非難可能性。原則論として責任故意が発生しない犯罪は成立しない(過失犯は別)。
責任故意を認めるためには次の過程が必要。
①事実の認識
②規範の問題に直面
③反対動機を成立しない。
→やめれたのにやる
④実行の着手
以上の反規範性に非難可能性があるとする。

【コラム 心身喪失と心身耗弱】
責任能力の問題である。
前者は事理を弁別できないか、弁別できてもそれにしたがって行動できない者。心身喪失者の犯罪は不可罰である。規範の問題に直面し、するかしないかを判断できない。また、するかしないかを選択して行動することもできない。
後者は事理を弁別する能力、またはそれにしたがって行動することが著しく不十分であり、任意的減刑が求められる。

事実の錯誤


→原則論として行為者が事実の認識に瑕疵があるなら、故意はないので犯罪成立はしない。

方法の錯誤


→具体的事実の錯誤
同じ構成要件における錯誤
→抽象的事実の錯誤
異なる構成要件における錯誤

符合説


具体的符合説
→行為者の行為と犯罪の結果が具体的に符合している時に故意を認める説。

法定的符合説
→行為者の行為が構成要件(法定文言)に符合しているかで故意を認める通説、判例の立場。

抽象的符合説
→犯罪の意思という抽象的な概念で行為と結果を符合させる説。

case1
AはBを殺そうと拳銃を発射したがCにあたり、Cが死亡した。
→方法の錯誤における、具体的事実の錯誤の論点である。すなわち、AがBを殺そうとした行為とCを殺した結果は同じ構成要件(殺人罪)に該当する。
→通説である法定符合説にたつと、Bに対しては殺人未遂であり、Cに対しては199条の法定要件にそのまま当てはまるのであり、Aが殺したい対象がBであったとしても殺人既遂となる。
→具体的事実の錯誤における異説である、具体的符合説に立脚すると、Aが殺したいのは具体的にBであり、Cではない。したがって、Bには殺人未遂、Cには過失致死となる。
※つまり、責任故意が認められない。

case2
AはBを殺そうと拳銃を発射したが、弾はそれて花瓶にあたり、損壊した。
→方法の錯誤における抽象的事実の錯誤の論点である。つまり、Aの行為は殺人、結果は器物損壊であり、それぞれ同じ構成要件を満たすわけではない。
→通説の法定的符合説に立脚すると、Bに対しては殺人未遂であり、花瓶に対しては器物損壊に故意がないため、犯罪不成立となる。
→異説の抽象的符合説にたつと、異なる行為と結果を犯罪の意思があることを理由に無理矢理くっつけるため、器物損壊罪が成立することになる。

客体の錯誤
→法定的符合説にもとづき既遂となる。

重なり合いの限度論


→構成要件の重なりあう限度において、軽い方の犯罪の故意を認める。
※判例の見解に従うと、同じ構成要件における錯誤では法定的符合説、異なる構成要件における錯誤では法定的符合説に重なり合いの限度論を用いているとされる。

因果関係の錯誤
因果関係の錯誤により違法性は阻却されない。
case3
被害者を絞殺したと誤信して、海岸まで運び込み、実際は砂の吸引で死亡した。
→因果関係がある以上は殺人既遂である。
→法定的符合説はもちろん、具体的符合説に立脚しても特定の対象を殺そうとして結果致死に至るので、既遂が成立する。

故意の数
法益侵害の数だけ犯罪はあり、故意は確認される。
→case1
殺人既遂と未遂。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①殺意をもった者が発砲し、二人が死亡した場合、それぞれに対して殺人既遂罪が成立する。

→◯ 守るべき法益(人の命)の数だけ犯罪が成立する。

②凡例の趣旨によれば、甲が乙を殺すつもりで、乙にめがけて発砲したところ、弾丸がそれて丙に当たった場合には、乙に対する殺人未遂罪と丙に対する過失致死罪が成立する。

→✕ 具体的符合説に立脚すると上記に結論となるが、凡例および通説の考え方である法定符合説によると、乙に対する殺人未遂罪と甲に対する殺人既遂罪が成立する。

③甲は乙を脅迫しようと考え、殺す旨の内容の電子メールを送ろうと考えたが、誤って丙に送ってしまった。この場合でも丙に対する脅迫罪は成立する。

→◯ 方法の錯誤である。

#司法書士 #行政書士 #宅建 #公務員試験 #法学 #講座 #聞き流し



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?