刑法#52 盗品等に関する犯罪 remake
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盗品等に関する犯罪
→窃盗や横領などの正犯と同時に成立することはない。ただし、教唆犯や従犯には併合罪として成立しうる。
→客体は盗品に限らず、「財産に関する罪によって不法に領得されたもの」である。よって、窃盗の他、詐欺や横領でも成立する。
→保護法益は、被害者の回復追求権である。すなわち、無償で正常な状態に回復する権利である。したがって、追求できない、賄賂や密輸、賭博などでは当該犯罪は成立しない。
また、盗品が換金されるなど、同一性を失い追求できなくなった場合も当該犯罪は成立しない。
→前項において、金銭的価値、すなわち為替や小切手などの交換は同一性が失われたとは判断できない。
【コラム サドルの窃盗】
女性用自転車のサドルを盗み、男性用自転車にくっつけた場合、完全に付合しているわけではなく(すなわち、合成物としての自転車に対して損傷や過度の費用を要することはなく)分離することができるため、盗品としての同一性が失われているわけではないとした判例がある。
→詐欺や強迫において、民法上、取消の意思表示をしてはじめて回復請求権が生じるが、その可能性があるだけで本犯は成立する。
→盗品を被害者に運搬した行為であっても、犯人の利益となり、被害者のためにしたのではなければ本犯は成立する。
→被害者のために運搬や保管、あっせんなどをしたなら本犯は成立しないが、結局被害者に有償で回復させたなら本犯は成立する。
【コラム 盗品等に関する犯罪と即時取得】
盗品を即時取得されてしまうと、追求できなくなるため、本犯は成立しない。
なお、即時取得された盗品は特別規定により返還される可能性がある。善意の買い受け人に対しては以下の要件で返還請求が可能である。
①窃盗から二年以内に返還請求(除斥期間)
②買い受け人が競売や市場、同種を扱う商人である場合は価格償還をしなければならない。買い受け人は償還されるまではその品物を使用することができる。
→当該犯罪においては、未遂罪の規定はない。したがって、財産犯後の譲り受けや保管、運搬を約するだけでは本犯は成立しない。ただし、従犯が成立する可能性はある。
→当該犯罪における、保管や運搬、譲り受けに関しては引渡しを要するが、有償あっせんだけはそれを要しない。
→本犯すなわち、窃盗や詐欺、横領などは構成要件を満たし違法でさえあれば、その後に続く盗品等に関する犯罪は成立する。したがって、本犯にて14歳に満たない刑事未成年者で責任能力がない者や、親族相盗例の適用で刑が免除される場合でも成立するわけである。
→当該犯罪の故意はそれをなした時において判定される。
①譲り受け罪については、譲り受けの際に本犯につき善意であれば後で悪意となっても当該犯罪は成立しない。
②保管罪、運搬罪は継続犯であり最初は善意であったが、途中で悪意となった場合でも当該犯罪は成立する。未必の故意でもそうである。
盗品等に関する犯罪への親族間の特例
→配偶者や直系血族、同居の親族、これらの配偶者との間で起きた当該犯罪は刑が必要的に免除される。
→ただし、あくまでも本犯者と当該犯罪者の間に親族関係がなくてはならず、被害者と当該犯罪者が親族関係にある時は成立しないため注意
【コラム 親族相盗例】
窃盗が特定の親族間で行われた場合は刑が必要的に免除される。特定の親族とは配偶者、直系血族、同居の親族である。これ以外の親族の間で起きた犯罪は親告罪となる。
また、詐欺や恐喝、横領、背任など他の財産罪に準用されるが、強盗には準用されていないことに注意。
盗品等に関する犯罪の親族間の特例にも似ている部分があるが、こちらは直系血族や同居の親族の配偶者まで適用範囲が広く、またあくまでも本犯者と当該犯罪者の親族間において成り立つものであり、被害者と当該犯罪者の間に成立するものではないことに注意。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①横領罪の被害物が第三者により即時取得された場合には、これにより被害者の当該被害物に対する追求権は失われるため、以後、盗品等に関する罪は成立しない。
→◯ 盗品等に関する罪の保護法益は被害者の追求権であり、即時取得により失われる。
②本犯が詐欺罪の場合、欺罔による財産移転の意思表示を取り消す前には、被害者は当該財産に対する追求権を有しないため、盗品等に関する罪は成立しない。
→✕ 取り消す前であっても取り消しうる状態であれば成立する。
③本犯の被害物が同一性を失った場合には、被害者の当該被害物に対する追求権は失われるため、本犯の被害物の売却代金である金銭の贈与を受けても、盗品等に関する罪は成立しない。
→◯ ただし、盗品たる通貨を両替したものや小切手を換金した場合などには同一性は維持される。
④本犯の被害者を相手方として本犯の被害物の有償処分のあっせんをしても被害者の追求権行使を困難にしないので盗品等に関する罪は成立しない。
→✕
⑤本犯の被害物が同一性を失った場合には、被害者の当該被害物に対する追求権は失われるため、本犯の被害物である紙幣を両替して得た金銭の贈与を受けても、盗品等に関する罪は成立しない。
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