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刑法#39 逮捕罪・監禁罪 脅迫罪・強要罪・住居侵入等罪

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逮捕罪・監禁罪


→人の身体活動の自由を奪う罪
 保護法益は身体活動の自由
→瞬時の拘束は逮捕罪ではなく暴行罪
 5分ほど両足を縛れば逮捕罪成立
→逮捕罪や監禁罪は継続犯である。

逮捕
→直接的な身体の拘束
監禁
→一定期間ある場所から逃れられないようにするか、それが著しく困難な状況におかれる。
 たとえばバイクの荷台にのせられたり、女性から服を奪うといったことも含まれる、
→被害者が監禁の事実を意識している必要はなく、被害者の可能的自由を奪えば監禁罪は成立する。

可能的自由と現実的自由


前者
→被害者の脱出の可能性を奪ったこと
後者
→被害者の現実の自由を奪うこと

※監禁罪は、人の身体活動の自由を保護法益とする。この身体的自由の意義については現実的自由と解する考え方と可能的自由と解する考え方がある。
 この点、睡眠中の者や泥酔者を客体とする場合については、現実的自由とする考え方によれば、監禁罪の成立につき消極という結論が導かれ、可能的自由とすれば積極という結論となる。
 また強制性交の意図を隠して家まで送ると欺き女性を車に乗せた場合、現実的自由とすれば監禁罪の成立につき消極的であり、可能的自由とすれば積極的であるといえる。なお、判例は積極的立場をとる。

脅迫罪


→生命、身体、自由、名誉または財産に害を加える旨を告知して人を脅迫した場合。
→害悪の告知があれば既遂となる。つまり、相手の畏怖が要件ではない。
→二項により親族が客体の場合もあてはまるが、友人の場合はあてはまらないので注意。

強要罪


→害悪の告知により義務のないことをさせる。
→親族が客体の時もあてはまり、未遂罪ある。

住宅侵入罪


→正当な理由なく人の住居や人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入すること。
→庭なども含む
→暗証番号盗撮目的の銀行侵入、無線飲食目的の飲食店侵入も、外見上は普通の客とかわらないが、管理者や店主の意図に反するため同罪が成立する。
→捜査状況を確認するため警察施設の塀をのぼったり、ビラ配りのために断りなく郵便局に侵入する行為も該当する。
→住居侵入の保護法益は居住権と考えるのが判例である。すなわち、立ち入りを許すかどうかの自由が保護法益。
 よって、学校の校門に部外者立ち入り禁止とあるのに、入ってきて平穏に去った場合でも同罪は成立する。
 また、夫不在の時に妻の同意を得て性交目的で夫婦の住居に入る場合も同罪が成立する。夫の居住権を侵害しているからである。

不退去罪


→正当な事由にて住居などに入ったが、要求があるにもかかわらず、退去しない場合。
→住居侵入が成立している場合、継続犯であるために同時に不退去罪は成立しない。

ケース
①窃盗目的で住居侵入し、客人であると間違えられて招き入れられた→錯誤であるため住居侵入
②窃盗犯人が逃走中、他人の屋根の上に登った→住居侵入
③契約終了後の賃借人の家へ、立ち退かないので、家主がその家に入った→所有権のある者とはいえ、住居侵入
④親友の家にいったが、カギがかかっていないので、中に入って待った→黙示の承諾があり、住居侵入ではない。
⑤家出中の息子が父親の物を盗むつもりで、無断で父親の住居に入った→家出中なので家族構成員ではない。住居侵入

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①バイクの荷台に乗せて長い距離を疾走した場合、監禁罪は成立する。

→◯ 脱出を著しく困難としたため

②山小屋で睡眠中だった者を、山小屋に鍵をかけて脱出を不能とした。数時間経過して鍵をはずしたが、眠りから覚めた被害者は閉じ込められたことに気が付かず、そのまま山小屋を後にした。監禁罪が成立する。

→◯ 可能的自由の侵害。すなわち脱出の可能性を奪ったため、成立するとされる。

③宗教家が信者に、天罰が下ると告知した。脅迫罪が成立する。

→✕ 罰を与えるのは天であり宗教家ではないため。

④正当な理由がないのに、告訴すると脅した場合、脅迫罪は成立しない。

→✕ 告訴自体犯罪ではないが正当な理由ない告訴を持ち出して脅す行為は脅迫罪となる。

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