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民法#32 時効③

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消滅時効


→権利や所有権以外の財産権で、一定の期間を経たものが時効で消滅すること。その効果を得るためには援用を要する。
※所有権は性質上消滅することはない。

①主観的起算点
権利を行使できることを知ってから五年
②客観的起算点
権利を行使できる時から10年
→なお、債権と所有権以外の財産権は客観的起算点のみで20年である。
※債権、所有権以外の財産権とは地上権、地益権、永小作権、抵当権など
→人の生命や身体に関する損害賠償請求権は主観的起算点は5年のままだが、客観的起算点は20年となる。

【コラム 定期金債権の消滅時効】
主観的起算点が10年、客観的起算点が20年となっている。民法168条
定期金債権とは年金などのこと。

時効の完成猶予


→一時的に時効の進行を止めること。
下記行為の間は進行が止まり、確定せずに終了した場合は6ヶ月を過ぎるまでは時効の完成猶予となる。
①裁判上の請求
訴えの提起で完成猶予、確定で更新
②支払督促
督促の申し立てで完成猶予、確定で更新
③裁判上の和解、調停
申し立てで完成猶予、確定で更新
④破産手続きや更生手続き参加
参加により完成猶予、確定で更新
⑤強制執行、担保権の実行、民事執行法による競売や財産開始手続き
申し立てにより完成猶予、手続き終了により更新
→仮差押えや仮処分は更新事由とはならないが、手続きが確定しなければ、時効の完成猶予として、事由の終了から6ヶ月経過するまでら完成猶予する。

債務の承認


→一部の履行も含めて成立し、時効は更新する。なお、譲渡通知や銀行の利息記録記載は履行とみなされない。

更新後の時効期間


→原則、ある事由により時効が更新した場合、債権者は通常権利を行使できることを知っているので、主観的起算となる。すなわち五年である。しかし、確定判決や裁判上の和解や調停による時効の更新は10年となる。
 民法169条1項によるが、裁判上の確定までには時間や労力がかかってのことだからである。

協議を行う旨の合意


→裁判沙汰で事を決着するより、当事者間の話し合いで解決した方がよい場合があるため、民法上の一定の効力が認められる。
→したがって、協議を行う旨の合意がされれば時効は完成猶予されるが、書面での合意を要する。
→協議の期間の定めがない場合、時効の完成は、その合意があってから一年を経過するまでである。これより短い期間が定められた場合はそれによる。
→ただし、合意がなされて6ヶ月が経過しないうちに当事者の一方が協議を拒絶した場合はその後6ヶ月を経過すると時効が完成する。
→最初の合意がなければ時効が完成した時から五年を経過するまでは協議期間の伸長することができる。

催告


→催告をすると6ヶ月までは時効が完成猶予される。しかし、その間に再度催告をして期間を伸長することはできない。通常はその間に裁判上の手続きなどをする。
※催告は内容証明をするのが実務である。
→催告による完成猶予中に合意をしたり、合意による完成猶予中に催告されても猶予期間は伸長しない。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①留置権が主張されている債権も消滅時効は進行する。

→◯ なお、同時履行の抗弁権がついている債権も履行期が到来すれば消滅時効は進行する。

②債権または所有権以外の財産権は時効により消滅しない。

→✕ 権利行使できるときから20年で消滅する。客観的期間しかない。なお、具体的には地益権や地上権、永小作権などをさす。

③質権は被担保債権とは別個に時効により消滅しない。

→◯

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