民法#59 添付と中間登記省略請求権
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中間省略登記請求権
→中間省略登記とは、不動産の所有権がAからB、BからCへと移転した場合に、Bを飛ばしてAからCへと所有権移転登記をすること。
→中間省略登記請求権は債権的登記請求権である。
→abcそれぞれ順次に移転登記をする場合、aからb,b,からc,と順次するのが原則であり、aからcという中間省略登記をすることは原則許されない。
→しかし、当事者すなわちabcが合意しているのであれば裁判所は中間省略登記を認容することができる。
→同意をしていない中間者は支払いを受けていないなど、正当な事由がないときは、抹消を請求できない。
→中間省略登記がされた場合、それが現在の権利関係に合致していればその登記は有効であり、第三者はその抹消を請求することはできない。
添付
→不動産や動産がくっついてしまい離れなくなってしまった場合の処理で講学上の概念である。付合、混和、加工がある。
付合
→不動産の付合は不動産が主であり、動産が従であるため、例えばある土地に他人が苗木を植えた場合、その立木は土地の所有者の者となる。※しかし、立木のみを時効取得することは可能。
→不動産に動産を付合させた者が権限に基づいているなら、独立して動産に所有権が認められる。しかし、賃借した家屋などに賃貸人の許諾のもと増築した場合などは分離できないため、家屋の所有者のものとなる。
【用語 強い付合と弱い付合】
家屋の増築など、分離が難儀な付合を強い付合という。この場合はいくら権原をもとにしたところで、社会的損失を防ぐために、増築部分だけの独立所有は認められない。※償金請求は可能
土地に苗木を植えるといったことは弱い付合あり、分離が容易であることから、正当な権原をもとに動産の独立所有がみとめら。
→動産の付合の場合、主たる動産に従たる動産が付合し従の方は所有権が喪失する。なと、主従が判断できない場合は付合のときの価格割合による共有となる。
→動産の付合が成立するためには、合成物を損傷しなければ分離することが難しいか、分離するのに過分の費用を要することの、どちらかが要件となる。
→不動産の付合の場合は、正当な権原(賃借権など)があって付合させた場合でも従たる動産が独立して所有権などが認められることはない。
【コラム 立木と明認と付合】
不動産に付合した動産は不動産所有者のものとなるのが原則である。
ただし、買い受けをした登記移転をしていない土地に立木を植えたところ、登記名義人が二重譲渡し、第二の譲受人は登記を備えたところ、土地に関しては第二の譲受人が勝つ。立木についても土地の付合物となるが、売買契約による所有権という権原があるため、立木に明認方法により公示すれば立木だけでも対抗できる。
混和
→酒や灯油などの液体が混ざってしまうこと。当然、分離できなくなるが、動産の付合と同じ処理となる。すなわち、主たる液体に所有権が統合されるし、主従がないならその価格割合による共有となる。
加工
材料を加工し工作物ができたとする。
→まず、原則論としては材料の提供者に所有権は帰属する。
→しかし、工作による価値が原材料を越える場合は工作者に所有権が帰属する。なお、工作者が一部追加材料を提供した場合、その価格分も工作者の価値提供分として加えられる。
→建前に追加で材料や工作を追加で提供した者は建前の価値を越えるものであれば、所有権を得る。この場合、付合の規定で処理されるわけではない。
償金について
→添付処理により所有権が消滅する者は不当利得にもとづき償金請求をすることができる。その所有権に質権や抵当権がある場合、それらも消えてしまうので償金請求権に物上代位する。
→二つの動産に質権があり、付合するに至った場合、主従の区別がない場合はその質権は共有持分のうえに存続する。
→所有者が同じ二つのものが付合する場合において、その一方に他人の権利がある場合は付合の際の価格持分に存続する。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①BがA所有の甲土地に無権原で流木を植栽した場合、AはBに対して当該流木を収去して甲土地を明け渡すよう請求することができる。
→✕ 当該立木はAの土地に付合するため、Aの所有物の一部となったものに収去を請求することはできない。
②Aが所有する灯油15リットル3000円分とBの所有する灯油10リットル1000円が誤って混合された場合には、Aが四分の三、Bが四分の一にて共有する。
→◯ 動産が混合した場合、その混合物は混合時の量ではなく価格に応じて共有物となる。
③建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を提供して建物を完成させた場合に、第三者が提供した材料の価格に工作によって生じた価格を加えたものが建前の価格を越えるときは、建物の所有権は建物を完成させた第三者に帰属する。
→◯ 本事例では加工の規定を適用する。
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