民法#64 抵当権序論
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抵当権とは
→債務者や第三者が占有を移転しないで担保として提供した不動産について、抵当権者が優先的に自己の債務の弁済を受ける権利
→占有が権利者にあるわけではないところに質権との違いがある。
→債務者以外の第三者が担保を供与した場合、物上保証という。
→抵当権は権利者が占有しないため、動産や債権には原則的に設定できず、不動産のみに設定できる。
→例外的、発展的には、地上権や永小作権、登記できる動産(船舶や重機、立木の集団、法人の動産)には抵当権を設定することが可能である。
【用語 抵当権に関する用語】
抵当権設定者
→抵当権を設定した者
被担保債権
→担保された債権。抵当権とは付従性がある。
抵当権者
→抵当権を実行できる権利者
物上保証
→債務者以外の第三者が担保を供与すること
抵当権の被担保債権
→抵当権は被担保債権に付従するものであり、その前提として被担保債権がある。被担保債権が消滅すれば抵当権も併せて消滅する。
→約定担保物権である抵当権は付従性は比較的緩和される。したがって、以下のような被担保債権にも抵当権をつけることができる。
①物の引渡し債権のような非金銭債権
②将来発生する可能性のある金銭債権
→保証人の求償権、保証金の返還請求権、書面による金銭消費貸借の金銭授受の前にする返還請求権の担保など
補足
①抵当権には随伴性があり、被担保債権が譲渡されればそれに随伴する。
→二重譲渡において、抵当権の移転の登記、債権譲渡の通知の順で行った場合、後者が勝つ。
②公序良俗に反する被担保債権における抵当権は無効である。
→公序良俗に反する契約は無効であり、付従性により、抵当権も消滅する。
抵当権の効力の及ぶ範囲
→抵当権設定の時期を問わず、付合物には抵当権が及び、従物には抵当権設定時に主物に存在していれば及ぶ
→特約により特定の付加一体物には抵当権を及ばないように登記をすることができる。
付加一体物
①付合物
→扉や雨戸のような内外を分別するもの、増築部分や容易に切り離せない庭石や石灯籠など。
→立木は原則的に土地の付合物である。
②従物
→畳やふすま、エアコン、容易に分けることができる庭石や石灯籠など。独立した動産。
→ガソリンスタンドの地下タンクや洗車機などの設備も従物である。
従たる権利
→借地上にある建物の所有者がそれを譲渡した場合、建物の所有権だけでなく、同時に従たる権利として借地権も移行する。
ただし、借地権の譲渡は地主の許可がなければ地主には対抗できないのが原則であるため、かわりに借地借家法により裁判所に許可を求めることができる。
370条ただし書きについて
①抵当権のおよぶ範囲を特約で抵当権の及ばない範囲を定めることができる。
②詐害行為取消権を行使できるような詐害行為によって生じた付加一体物には抵当権の効力が及ばない。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①将来の一定の期間に成立する債権を担保するために、あらかじめ抵当権を設定することができる。
→◯ 約定担保物権における付従性の緩和の論点
②公序良俗に反する契約から生ずる債権を担保するため設定された抵当権は効力を生じない。
③動産の引き渡しを目的とする債権を担保するために抵当権を設定することができる。
→◯
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