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民法#72 代位弁済

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弁済による代位


→弁済は債務者以外にも第三者がすることができる。その場合、弁済額の限度においてその求償権を確保するために、弁済者は債権者に代位して抵当権を行使できることが法定されている。
→保証人、物上保証人、第三債務者など、弁済するにつき正当な利益を有するものを法定弁済、そうでないものを任意弁済という。
→弁済による代位は、弁済により債権者が満足を得ることと、弁済者が求償権を得ることが要件であるが、任意代位の場合はさらに債務者に承諾か債権者からの通知がなければ債務者に対抗できない。
→弁済による代位と原債権は別物であり、契約上の地位を引き継いでいるわけではないため、弁済者は解除権や取消権を行使できない。

ケース①
債権者は債務者に1000万円の原債権をもつ。
債務者はこれに二人の保証人をつけている。
→保証人の一人が全額を弁済した場合、弁済者は債務者に1000万の求償権を得るとともにもう一方の保証人に対しても500万を限度に求償権を得る。したがって、債権者に500万分を限度に代位する。

一部弁済による代位


ケース②
債権者は債務者に対する原債権(被担保債権)1000万を担保するため、債務者所有の土地700万相当に抵当権を設定している。また、保証人もつけている。
→例えば、保証人が400万弁済した場合、一部弁済となり、抵当権は準共有状態となる。
→一部弁済者は債権者の合意のもと共同でなくては抵当権を行使できない。債権者には任意の時節に抵当権を行使する利益がある。
→抵当権が実行された場合、まず債権者が優先弁済を受ける。すなわち、一部弁済者はケースだと100万しか満足を受けられない。
→もちろん、一部弁済者は解除権など契約上にもとづく権利を行使することはできない。

ケース③
債権者が債務者に1000万の原債権があり、債務者の土地に抵当権をつけている。また、同時に保証人もいる。そして債務者が土地を第三取得者に売却した場合
→保証人が弁済した場合は債権者に代位して抵当権を第三取得者に対して行使できる。
※付記登記はいらない
→第三取得者が弁済した場合は債権者に代位して保証人に対して抵当権を行使できない。
→物上保証人と第三取得者の関係でも結論は同じである。

ケース④
債権者が債務者に対する1000万の原債権を担保するために物上保証人①②の土地に共同抵当を設定した。①土地の時価は600万②土地の時価は400万である。
→①が全額弁済した場合、債務者に1000万の求償権を得るのと同時に、②に対して価格に応じた分、債権者に代位して抵当権を行使できる。すなわち、400万分である。
→これは第三取得者間でも同じ結論となる。

ケース⑤
債権者が債務者に対する原債権1200万を担保するため、保証人二人と物上保証人一人がいる。
→保証人や物上保証人の誰かが全額弁済した場合、等分で負担する。したがって、弁済者は債務者に1200万求償権を得るとともに他の二人にそれぞれ400万ずつ債権者に代位する。

ケース⑥
債権者が債務者に対する原債権1200万を担保するため、保証人一人と物上保証人二人がいる。
→例えば保証人が全額弁済した場合、保証人の負担は等分した400万相当であり、残りの800万を物上保証人の担保目的物の価格に応じて負担部分を計算する。
 仮に物上保証人①②がそれぞれ土地1000万と1500万の価格のものを担保としていた場合、①は320万②は480万の負担となり、その限度で弁済者は債権者に代位する。

【コラム 第三取得者の承継人】
①第三取得者から目的財産を譲り受けた者は第三取得者とみなす。
②物上保証人から目的財産を譲り受けた者は物上保証人とみなす。

債権証書の交付義務


→債権全部に代位弁済した場合、債権者は債権証書とその占有下にある担保物を交付しなければならない。
→債権一部に代位弁済した場合、債権者は債権証書にその旨を記して、担保物を監督させなければならない。

担保保存義務


→弁済をするについて正当な利益を有する代位権者がいる場合は抵当権者は担保保存義務がある。例えば保証人がいるのに抵当権を放棄したなどである。
 この場合、保証人はそれにより損失がある限度で保証人としての責任を免れる。
→なお、正当な理由、たとえば別の担保の供与など、がある場合はこの限りではない。
→任意規定であるため排除する特約は可能となる。それを継承した物上保証人にも有効である。

【演習問題】
債権者甲に対して、債務者乙のために第三者丙が弁済をする場合について、次の設問に◯か✕かで答えよ。

①丙は弁済により甲に代位することとなっても、甲が乙に対して有していた契約の解除権を行使することはできない。

→◯ 契約上の地位は代位弁済によっては移転しない。したがって、解除権や取消権を含む売主としての地位も当然には移転しない。移転させるのであれば基本的には三者契約を要する。

②丙が弁済をするについて正当な利益を有しない場合において、弁済により甲に代位することになっても、甲が乙に対してその代位を通知し、又は乙がその承諾をしなければ、丙はその代位を乙に対抗できない。

→◯ 正当な利益を有しない第三者が債務者にその弁済による代位を主張するためには債権譲渡と同じ対抗要件を具備する必要がある。

③丙が甲のために抵当権が設定されている乙所有の不動産の第三取得者である場合には、丙は弁済により乙の保証人である丁に対して甲に代位する。

→✕ 第三取得者は保証人に対して債権者に代位しない。

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