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民法#81 根抵当権⑤

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抵当権の元本の確定事由


→根抵当権の元本を確定させると付従性や随伴性などか生じ、通常の抵当権のような扱いとなる。ただし、極度額などがあるため、まったく同じというわけではない。
→元本の確定は根抵当権者の知らないところで事由が発生してしまうことがある。また、元本の確定は必ずしも登記を要しない。
→根抵当権の元本の確定につき確定期日をもうけた場合、その期日の到来をもって確定する。この場合でも登記なくしても合意だけで効力は発生するとされる。
→必ずしも確定期日の合意とともに登記をしないといけないわけではないし、後の変更も可能である。
→確定期日はそれを定めた日もしくは変更の日から五年以内でなくてはならない。
→確定期日の変更は変更前の期日よりも前に登記をしなくてはならない。それでなければ変更前の期日で確定する。
→もちろん元本の確定期日を設けたとしても、抵当権を実行することができる。
 ただし、被担保債権のうち優先弁済効力があるのは、配当の時までに履行期が到来した債権である。

確定請求


→根抵当権の元本の確定につき確定期日がある場合はそれにしたがう。上記参照。
→根抵当権設定者からの確定請求につき、確定期日の定めのない場合、設定から三年を経過すると設定者は確定請求することができる。※根抵当権者を保護する仕組みの一環である。そして、その場合請求から二週間経過して確定する。
→根抵当権者から確定請求する場合(もちろん確定期日の定めのない場合)は不足の損害もないため、請求した時に元本が確定する。
※通常、根抵当権元本確定登記は義務者が根抵当権者、設定者が権利者であるが、根抵当権者による確定請求の場合は根抵当権者が単独登記の権利者となる特殊なケースである。

民法398条20の確定事由


①1号確定
→根抵当権が抵当不動産につき、競売もしくは担保不動産収益執行、または物上代位による差押えをした時。
→申し立ての時に確定するが、競売手続き、担保不動産収益執行が確定した時に限る。
②2号確定
→根抵当権が抵当不動産に対して滞納処分により差押えをした時
→すなわち行政による税金の滞納のことであり、差押えの時に確定しる。
③3号確定
→根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続きの開始または滞納処分による差押えがあったことを知った時
→知ってから二週間で元本確定
→競売手続き開始または差押えの効力が消滅した時は根抵当権は確定しなかったとみなされる(一番抵当権者が申し立てを取り下げた場合など)
④4号確定
→債務者または根抵当権者が破産開始手続きの開始の決定を受けたとき
→開始決定の時に元本確定する。
→破産開始手続きの効力が消滅した時は確定しなかったとみなされる。
→なお、根抵当権者や設定者の他に第三取得者も含まれる。設定者と同じ立場とされる。

【コラム 第三者の保護】
3号確定や4号確定の際に、効力消滅などの事由により元本が確定しなかったとみなされる場合でも、根抵当権が確定したものとして、これを取得した第三者がいる場合はその保護のために元本は確定する。
→根抵当権者はこの場合でも元本確定登記を単独請求することができる。
 ただし、催告や破産開始手続きの証明情報や第三者の移転登記と同時にしなければならない。

【コラム1号確定と3号確定の区分け】
①根抵当権についての転抵当権者が競売を申し立てた場合
 →この場合は抵当権者は申し立てに関与していないため、3号確定である。したがって、抵当権者かそれを知って二週間経過して元本確定する。
②共有根抵当権について共有者の一方が競売等を申し立てたケース
 →この場合は根抵当権者の立場の者が申し立てているため1号確定であり申し立ての時に確定する。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①根抵当権の実行によって、優先的に弁済を受けることができる債権は、根抵当権の被担保債権のうち、元本の確定前に履行期が到来していたものに限られる。

→✕ 根抵当権の担保する債権の範囲内の債権に、一つでも債務不履行があれば、根抵当権を実行することができる。そして、他の債権についても配当の時までに履行期が到来すれば、優先弁済を受けることができる。

②根抵当権の債務者が破産手続開始の決定を受けた場合、その根抵当権はその決定を受けたときに確定する。

→◯ 債務者が破産手続開始の決定を受けたことを根抵当権者が知ってから二週間を経過したときではない。

③次の事由のうち、根抵当権の元本の確定について検討せよ。

1.抵当不動産の第三取得者が破産手続開始の決定を受けたとき
→確定する。第三取得者は設定者に含まれる。

2.債務者がその取引先銀行から取引停止処分を受けたとき
→確定しない。

3、抵当不動産について根抵当権の申し立てによる競売開始決定がされた場合
→確定する。1号確定である。

4.元本確定期日の定めのない場合において、債務者について相続が開始したとき。
→確定することがある。その後に合意の登記をすることなく6ヶ月経過すれば確定する。

5.根抵当権者が、抵当不動産について後順位抵当権者の申し立てによる競売開始決定がされたことを知ってから二週間経過したとき。
→確定する。3号確定である。

6.根抵当権設定者が根抵当権設定の時から二年を経過したときに元本の確定を請求したとき。
→確定しない。三年経過しなければ確定しない。

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