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刑法#34 背任罪

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背任罪の要件


①身分
→他人のために事務をする者
例えば代表取締役や組合の長など
→身分犯とはその犯罪の成立に特定の前提身分を必要とする。例えば事後強盗罪などがある。
②目的
→自己もしくは第三者の利益を図る
→本人に損害を加える
上記の目的を要する目的犯である。
→なお、本人の利益を図る目的があっても自己または第三者の利益を図る目的があれば背任罪は成立する。
③行為
本人に損害を与えること
→背任罪においては全体財産における罪である。したがって背任行為があってもトータルで損害がない場合セーフである。
 この点は詐欺罪のように個別財産への侵害と異なる。ちなみに、詐欺罪では、財産侵害がトータルでマイナスでない場合でも、財産的処分行為をさせたことにより成立する。

背任罪の未遂
→横領罪とは違い、背任罪には未遂が成立しうる。

背任罪と横領罪
→法令違反など権限のない行為は横領である。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①AはBに対して、その所有する不動産上に抵当権を設定しBの順位一番の抵当権設定登記をすべき義務が生じた。その登記が未了のうちに、Cに対しても抵当権設定する旨の登記申請書を提出した。Aには背任罪が成立する。

→✕ まだこの段階では背任罪は既遂とはならない。背任罪には未遂を処罰する規定があり、未遂罪となる。なお、Cの登記が完成してしまったのであればBには財産上の損害が発生し、背任罪既遂が成立する。

②AはB町森林組合の組合長である。Aは法令により森林造成に使途が限定されている金員をその目的害に、しかもB町森林組合の役員会決議を無視する形でB町に貸し付けた。あお、貸出人の名義はAではなくB町森林組合である。Aには背任罪が構成する。

→✕ AはB町森林組合の組合長であり、一般的に組合の金員を組合名義で貸し出す権限があるが、金員の使途は法令により森林造成に限定されている。すると、Aの行為は法令違反であり職務権限外の行為である。権限外の行為であるため、横領罪を構成する。

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