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民法#54 占有権⑤ 復習後編

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最高裁判決s,46,11,30
→原則的に他主占有を相続してそれが自主占有に性質がかわることはない。例外的に新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始して、その占有に所有の意思があるとみられる、例外的な場合はその限りではない。

最高裁判決h,8,11,12
→民法185条所有の意思の立証責任は他主占有の相続人で、それを自主占有となると性質の変更を主張する側にある。権原が客観的で支配的事実があるかを証明しなくてはならない。
※自主占有か他主占有かは主観により簡単に変更できるものではなく、客観的な証明を当然に要する。

最高裁判決s44,10,30
→占有権は相続できる。

権利適法の推定(民法188条)
→占有者は占有対象につき適法に権利を行使するという推定。所有権や賃借権など。
 しかし、あくまでも第三者対抗に用いられる推定であり、自己の権原を所有者に対抗することはできない。その場合は民法188条ではなく、占有者が客観的に占有権原を立証しなくてはならない。最高裁判決s35,3,1
→そのため、占有者は188条をもって登記移転請求や地上権設定の主張などはできない。

法人と占有
→法人と代表者は法的に別存在であるため、法人所有物を代表者が占有したからといって、原則的には代表者個人が占有したとは言えない。例外として、特段の事情があればその限りではない。最高裁判決s,32,2,15

→権利能力なき社団と民法187条の関係として、権利能力なき社団が後に法人化した場合、占有してきたものを引き継ぐ場合にも187条は適用される。最高裁判決h,1,12,22
※つまり、取得時効を主張する場合、法人が成立した時点か、権利能力なき社団が占有しはじめた時かの起算点を選択することができる。

【コラム 占有の承継と取得時効】
取得時効の起算点は現在の占有者が占有開始した時か、複数の占有者を承継した場合はその最初の占有者の起算点かを選ぶことができる。選んだ方の善意悪意の主観により、10年か20年かの占有期間要件が判断される。
最高裁判決s,53,3,6
よって三人の占有者を順次承継した場合、真ん中の占有者が善意でも悪意だったとしても大局に関係はないということになる。

最高裁判決s,56,3,19
→あるものが占有を奪われ、盗人がそれを売却したとする。売却された特定承継人が善意の場合であれば占有を奪われた者は占有回収の訴えを提起することができないが、悪意の場合は提起することができる。
 はっきりしないが、もしかしたら盗品や横領物かもしれないという程度の特定承継人の認識では占有回収の訴えはできない。

【コラム 悪意占有の主観】
 本権がないことがわかっていてする占有を悪意占有という。この主観には、本権があるかどうか疑いがあるという程度の場合にも含まれる。
 なお、悪意占有者も占有権はあるので、占有の訴えは可能である。

【復習 占有の訴え】
①悪意占有でも占有の訴えは可能である。
最高裁判決大正13,5,22
②占有が奪われて、占有回収の訴えにより占有を回復した場合、奪われていた期間も占有が継続していたと擬制される。
最高裁判決s44,12,2
③占有の訴えに対して同じ裁判で本権による抗弁はできないが、反訴はできる。
最高裁判決s,40,3,4
④強制執行により占有が奪われた場合は占有回収の訴えができない。しかし、明らかに自力救済と同じように客観的にみえる違法性をおびた執行であればその限りではない。
最高裁判決s38,1,25

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