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刑法#6 因果関係

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構成要件と因果関係

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構成要件の客観的構成要素の検討順序


実行行為→結果→その間の因果関係
因果関係は条件説や相当因果関係説からなる。
※なお、因果関係は結果犯にのみ生じる問題点であり、挙動犯には問題が生じない。

【コラム 結果犯と挙動犯】
 前者は殺人のように行為の他に結果の発生が構成要件になっている犯罪であり、後者は住居侵入罪など一定の行為により成立する犯罪のことである。後者においては因果関係は問題とならない。

条件説


→因果関係を考える基本。「あれなければこれなし」
例えば、以下のケースで殺人既遂罪となるか。
ex.AがBを銃撃したが、通常は致命傷ではないが、Bは病弱であるため死亡した。
→「銃撃しなければ死亡することはない」ので条件関係が肯定される。
ex.AはBに毒まんじゅうを食べさせた。毒が回る前にBは交通事故にあった。
→「毒まんじゅうを食べなければ交通事故で死亡しない」とは言えず、因果関係は認められない。このケースを因果の断絶という。
ex.AはBに銃撃され軽傷を負うが、そのために病院に行く途中で交通事故で死亡した。
→「銃撃されなければ病院にいこうとせず交通事故にあわなかった」わけで条件関係が肯定される。条件説にたつと、交通事故により因果が途中で途切れると考えて、殺人未遂となる。この考え方を因果関係の中断という。

相当因果関係説


→条件関係が成立することを前提に相当性があれば因果関係を認めるという説。したがって、条件説のみで成立する範囲より狭まることになる。
→「現実の危険性」とあわせて法的因果関係という。
→因果関係の中断の論点においても、相当性がないで理屈づけることができる。

相当性とは一般的な通念に照らし合わせてのもので、常識論にも近いものがある。
どのような時に相当性を認めて因果関係を肯定するかは以下の諸説がある。
→主観説
行為者が現実的に認識することができたこと
→折衷説
一般人と行為者が認識したことが一致していること
→客観説
行為時に存在したことが客観的に認識できて、行為後のことも予見可能であること

講学上の通説は相当因果関係説であるとされるが、判例では条件説によるものが多かった。相当因果関係説に近い重要判例を下記する。

米兵轢き逃げ事件 S42.10.24
米兵が通行人をはねた。通行人は車の屋根にはねあげられて失神。そのことにきづかずに逃走。助手席にいた連れ合いが乗り上げた通行人に気づいてひきずりおろし、通行人は死亡した。
→関連条件により「米兵がひかなければ通行人は死亡しなかった」ことが肯定されるとしても、そこに相当性があるかが問題となる。
そもそも、連れ合いによる行為が介在しており、どちらの行為により死亡したかわからない状況であり、また、原因行為と結果の間にそもそも連れ合いの行為がなされる相当性は経験上ないわけであり、相当因果関係を否定した。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①ある者が障害されるという行為があり、間をあけて死亡するという結果が生じた。行為と結果の間にて刑が軽くなった場合、刑法6条の適用により軽い刑罰にて処される。

→◯ 罪刑法定主義の原則より、本来事後法にて処されることはないが、人権保護のために設問の事柄は認められる(刑法6条)。なお、行為と結果の間に刑罰が重くなった場合は行為前の刑で処される。
 原則論としては実行行為の時の法により処されるのが原則である。

【条文 刑法6条】
犯罪後の法律によって刑の変更があったときはその軽いものによる。
→犯罪後とは実行行為の終了後であるとされている。

②ある者が殺したいた思った者に毒を摂取させた。被害者は毒がまわる前にバスに乗り、交通事故死した。この場合、毒を摂取させた加害者は殺人既遂となる。

→✕ 殺人未遂となる。毒を摂取しなくても死亡したからである。因果関係がそもそも断絶しているのである。

③ある者が運転をしていたが、通行人をはねてしまった。しかし、当初は気づかずに、通行人を車の屋根にはねあげてしまったまま運転を続けた。後に同乗者が通行人をひきずりおろし、その結果通行人は死亡した。運転者と同乗者は意思の連絡はない。この場合、運転者の行為と通行人には相当な因果関係が成立するとされた。

→✕ 相当因果関係説にたち、はねた行為と同乗者が勝手にひきずりおろした行為に因果関係を認めるのは相当ではないとした。仮に単純に条件説に立脚するなら、運転者がはねとばさなければ、同乗人もひきずりおろすことはなかったという帰結となる。

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