見出し画像

刑法#2 刑の変更

本気で合格目指すなら❗オススメ資格スクール


Twitter


ブログ

罪刑法定主義


→犯罪と刑罰は成文により法定されなくてはならない。
→派生原理
事後法の禁止 刑罰不遡及の原則
したがって犯罪行為の実行の後に刑の変更があり、罪が重くなった場合は行為時の法で裁かれる。
※原則論として行為時の法律で裁かれることに注意。

ただし、刑法6条により、例外的に行為の後に刑の変更があり、軽くなった場合には新法を適用する。その方が人権保護に資するからである。なお、刑法6条の規定は罪刑法定主義の要請ではないが、反することもない。

刑法6条


犯罪後の法律により刑の変更があった時はその軽いものによる。

→犯罪後とは、実行行為後と解されている。具体的に実行行為とは、法益侵害惹起の現実的危険性を有する行為、のことである。
→刑の変更とは主刑の変更のことである。

【テキスト解説 主刑と付加刑 懲役と禁固】
主刑とは死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料のことであり、単独で科すことができる。
付加刑は没収のように、主刑に付加してつけるものであり、単独でつけることはできない。さらに、そもそも付加刑は刑の変更にはあたらず、行為時の法が適用される。なお、執行猶予の有無も刑の変更ではないので、行為時の法が適用される。
→9条
懲役と禁固は前者の方が基本的に重く、労役の義務がある。
→10条

【コラム 第三者所有没収事件】
憲法で「第三者所有物没収事件」というものがある。韓国に密輸しようとした者が有罪判決を受け、懲役の主刑に加えて、密輸物や密輸に用いた物は付加刑として没収された案件。
しかし、この中に刑事判決を受けた者以外の第三者の所有物も没収されてしまったので、防御や弁明の機会なしに第三者の所有物を没収するのは適正手続きに違反しているとして争われた。
ちなみに違憲判決がでている。また、被告人は第三者の没収を理由に上訴することも可能。民事上の損害賠償請求されることもあるからである。

継続犯と結果犯


→継続犯とは監禁や不退去など実行行為が継続するもの。結果犯とは殺人など、結果を伴うことを要する犯罪のこと。

継続犯につき、犯罪継続中に刑の変更があり、刑が重くなった場合は、実行行為が終わった時点(これが6条における犯罪後として扱う時点である)では新法がそこに存在しているだけなので、重い刑で裁かれる。
また、継続犯における実行行為が終わった後に刑の変更があり、軽くなった場合、6条により、軽くなった新法により裁かれる。

結果犯につき、殺人の実行行為をした後に、被害者が一週間後に死亡した場合、その一週間のうちに刑が変更した場合、実行行為自体は終わっているため、重くなれば行為時、軽くなれば新法で裁かれることになる。

【演習問題】


次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①罪刑法定主義は事後法の禁止と法律主義、および責任主義からなる。

→✕ 設問の責任主義は含まない。責任主義は故意や過失がなければ、すなわち責任がなければ刑事責任を追及できないという原則である。

②罪刑法定主義には刑罰不遡及の原則、二重処罰の禁止、一事不再理の原則が導かれる。

→✕ 事後法の禁止より刑罰不遡及の原則は罪刑法定主義として導かれるが、二重処罰の禁止わ一事不再理は憲法39条より導かれる。

③行為の後に刑法が変更され刑罰が軽くなった場合、軽い方を適用する。

→◯ 刑法6条

→✕ 行為の時を基準に刑罰不遡及が原則であるが、その後に法律が変更して刑が軽くなった場合はそれを適用させることはできる。しかし、必要的ではなく任意的である。

④刑法6条の刑の変更とは主刑の変更である。

→◯ したがって、付加刑である没収は含まないことになる。そもそも主刑に付属させなければ付加刑を処することはできない。

#司法書士 #行政書士 #宅建 #公務員試験 #法学 #講座 #聞き流し


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?