民法#22 代理②
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代理の基礎
要件
→以下の要件を満たしていないと無権代理となる。
①代理権の授与
②顕名
③代理行為
効果
→効果は本人に帰属する。
表見代理
→広義の無権代理だが、特定の要件を満たした、虚偽の外観を信じた相手方を保護する趣旨
→あくまで相手方を保護するためなので、転得者までは保護されない。
→相手方を保護するための制度であるため、立証責任は本人にある。
→表見代理の要件は以下の通り
①本人の帰責事由
→109、110、112条に規定あり
②相手方の正当な理由
→具体的には善意無過失
③無権代理人の法律行為
109条 代理権授与表示による表見代理
→109条は任意代理のみに適用される。本人が出した委任状をみせるなどの行為は法定代理人であることを想定していないため
S.45.7.28
→立証責任は本人にあるため、本人としては相手方が悪意か過失があることを立証しない限りは表見代理が成立する。すなわち、相手側には無過失の推定がはたらく。
S.41.4.22
→裁判所と裁判所の厚生部は別物であるが、厚生部が契約した法律行為は裁判所に帰属する。S35.10.21
※正確には表見代理の要件を満たしているわけではないが、裁判所内の厚生係員が裁判所の印鑑を用いて運営業務を行い、名板貸しのように積極的に虚偽の外観を作出しているとされ、類推適用された。
110条 権限外の行為の表見代理
→通常の代理権の範囲を基本代理権というが、それを超えて代理行為をした場合。
→S.30.7.15 110条の表見代理が成立するためには基本代理権が与えられていることが要件である。
【コラム 民法110条の正当な理由】
基本的には善意無過失をさす。
なお、無権代理人が本人の実印をもっているときは、特別な自由がない限りは正当な理由がある、とされる。 S35.10.18
しかし、本人と自称代理人が同居している場合、実印を持ち出すのは容易であるため、裁判所は、代理権授与が行われているかを確認していない限りは、同居夫婦間における印鑑もちだしには正当な理由を認めにくいとされる。
民法112条 代理権消滅後の表見代理
→必ずしも無権代理人がかつて代理権があるときに、代理行為をしている必要はない。そのような事実は相手方の善意無過失を判断するための資料に過ぎない。 S.44.7.25
代理権の消滅事由
本人につき
①死亡
→消滅する。
②後見開始の審判を受ける
→消滅しない。私的自治の補充は代理制度の趣旨である。なお、成年被後見人を含む制限行為能力者でも代理人になることができるが、代理人になってから後見開始の審判を受けると代理権は消滅する。
③破産手続開始決定
→消滅しない。ただし、委任契約に基づく場合は契約解除事由になる。また、契約期間終了により代理権が消滅する。
代理人につき
①死亡
→消滅する。
②後見開始の審判を受ける
→消滅する。
③破産開始の審判を受ける
→消滅する。法定代理人であっても消滅する。
109条および112条の2項の論点
→代理権表示後に代理人の権限外行為
→代理権消滅後の代理人の権限外行為
それぞれ、代理権表示や代理権消滅の事実があることと、相手方の正当な理由、すなわち善意無過失があれば表見代理が成立する。
【コラム 権限の定めのない代理行為】
権限の定めのない行為はいわゆる管理行為のみが認められる。以下の通り。
①保存行為 修理や保全など
②改良行為
③利用行為
なお、売却や抵当権設定など処分行為はできない。
また、このような規定には不在者の財産管理人にも準用され、この場合は必要な処分行為は裁判所の許可をもって可能ではある。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答ください。
①本人が許諾しており、相手方も本人に法律効果が帰属することがわかっているのであれば署名代理も有効である。
→◯ 原則的に代理は①代理権の授与②顕名③代理行為により成立することにも留意。
②相手方が本人が代理権を代理人に授与したことを知っているだけでは、その法律行為は本人に帰属しない。
→◯ あくまで相手方がその法律効果が本人に帰属することがわかっていないといけない。単に代理権の授与だけを知っているだけでは表見代理の可能性がある。
③ 表見代理において、本人が相手方の悪意もしくは有過失を立証しなければならない。
→◯ 立証は難しいとされる。
④代理権授与の表見代理は任意代理のみ成立する。
→◯ なお、権限外の行為の表見代理や代理権消滅後の表見代理では法定代理でも表見代理が成立する。
⑤権限外の行為における表見代理について基本代理権がなくてはならない。
→◯ なお、法定代理権も基本代理権に含まれる。
⑥権限外の行為の表見代理につき、登記申請手続は公法テキストであるため、表見代理は成立しない。
→✕ 権限外の行為の表見代理は私法的な行為のみ成立するが、登記申請手続はその例外となる。
⑦夫婦の日常家事につき表見代理は成立しないのが原則であるが、相手方が代理権があると信じるにつき正当な事由がある場合はその限りではない。
→◯
⑧本人が後見開始の審判を受けた場合、代理権は消滅する。
→✕ 代理の意義の一つに私的自治の補充がある。なお、代理人が後見開始の審判を受けた場合は代理権は消滅する。
【コラム 代理権と制限行為能力】
制限行為能力者も代理人になることができる。ただし、この場合は制限行為能力を理由に取り消すことはできなくなる。
→成年被後見人も代理人になることができる。なお、代理人が成年後見の審判を新たに受けたのであれば代理権は消滅する。
→未成年が保護者の同意を得ずに代理人になるための委任契約をした場合、取り消すことができる。
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