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刑法#23 罪数②

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刑の加重

併合罪
→ある行為により、複数の罪が成立する場合は原則的には併科される。

再犯加重


→前犯の執行を終えたか、免除されてから5年以内に再犯があった場合、有期懲役の期間を最大二倍までのばす制度
→懲役刑に独自の制度であり、前犯も後犯も懲役刑であることを要する。
※したがって、例えば禁固刑や罰金刑では再犯加重されない。
※再犯加重では、処断可能懲役期間はのびるが、どの期間で処断するかは裁判官の裁量に委ねられており、必ずしも重くする必要はない。
※再犯加重は懲役刑の執行もしくは免除から5年以内に懲役刑の再犯がなされた場合の特有の制度であり、常習犯にされるものではない。
※懲役後もしくは免除の後、が要件であるため、刑の執行中は要件を満たさない。

【復習 結果的加重犯】
※加重犯の一つ。
→ある故意をもってした行為による犯罪のうち、その結果により刑の程度がかわるもの。
→例えば暴行罪。殴るつもりでしたとしても、怪我をすれば傷害罪、殺めてしまえば障害致死となる。

刑の減軽


→法律上の減軽も酌量減軽も一度ずつの減軽しかできない。つまり、二つ使うのが限度である。
※懲役四年であれば、一度減軽されて2年、もう一度減軽されて1年

法律上の減軽
→たとえば心身耗弱者の刑は必ず減軽される。※必要的減軽、余談だが心身喪失者は罰しない。

酌量減軽
→いわゆる情状による酌量で罪一等を減軽すること。

加重減軽の順序
①再犯加重
②法律上の減軽
③併合罪
④酌量減軽

執行猶予


→猶予期間を過ぎると刑の宣告は当然に効力を失う。

→全部の猶予
※実刑や前科の弊害を避ける制度であり、裁判官の裁量に任せられる。
懲役二年、執行猶予二年であれば二年何もなく過ごせば服役しなくてもよい。

→一部執行の猶予がある。
懲役二年、うち6ヵ月は刑の執行を二年間猶予する、であれば一年半服役して二年間なにもなければ6ヶ月の服役はなくてよい。

初めての刑に全部の執行猶予をする場合
要件
①前に禁固刑以上に処せられたことはない。
又は、前に禁固刑以上に処せられたが、刑の執行の終了もしくは免除から五年経過した。
②宣告刑が三年以下の懲役、禁固刑、又は50万円以下の罰金

再度の刑に全部の執行猶予がつく場合
要件
①過去に禁錮刑以上の刑に処せられたが、その執行の全部を猶予された場合
②今回の宣告刑が一年以下の懲役か禁錮刑
③情状酌量の余地がある
④保護観察中ではない
※罰金刑にはないので注意

保護観察


→執行猶予中の者に、保護観察官などをつけて、更正を促す制度。
→初めての刑には任意的、再度の刑には必要的につく。
→保護観察されている者が保護観察中に再度の罪を犯すと執行猶予はつけられない。

刑の全部の執行猶予の取り消し
①刑の全部の執行猶予中に罪を犯して禁錮刑以上の実刑→必ず取り消される
②刑の全部の執行猶予中に罪を犯して罰金刑の実刑→任意的に取り消される
③保護観察中の者が遵守事項を守らず、その情状が重い→任意的に取り消される
※保護観察中に罪を犯すと、再度の刑には執行猶予はつかない。
④執行猶予の言い渡し前に他の罪について禁錮刑以上の刑に処せられて、その刑の全部を猶予されたことが発覚したとき
→任意的に取り消される。

問題演習

次の設問に◯か✕かで回答ください。

①罰金刑の前科であっても、法定刑に選択刑として懲役の定めがある罪の前科がある場合ら再犯加重の対象となる。

→✕ 原則的に再犯加重は懲役刑に独自の制度であり、前犯も後犯も懲役の場合に適用となる。

②懲役刑の全部の執行を猶予されて保護観察に付されている者に対しては、その保護観察の期間内に犯した詐欺罪については、再び懲役刑の全部の執行を猶予することはできない。

→◯ 再度の刑の全部の執行猶予の要件の一つに保護観察中でないというのがある。

③併合罪の関係にたつ甲乙それぞれの犯罪が順序なされた場合、乙のみが発覚して刑の全部の執行猶予付きの懲役刑の言い渡しを受けた者に対して、その裁判確定後に発覚した甲につき乙の執行猶予が経過しない時点で保護観察に付さない刑の全部の執行猶予付きの懲役刑を言い渡すことは可能である。

→◯ 公平の見地から乙罪が後に発覚したケースでも刑の全部の執行猶予をすることができる。

④刑の全部の執行を猶予されている者が、保護観察に付されている場合は、その保護観察が仮に解除されているときでも、再度の刑の全部の執行猶予をすることはできない。

→✕ 保護観察が付いた状態では再度の刑の全部の執行猶予をすることはできるが、保護観察が仮解除されているのであれば再度の刑の全部の執行猶予をすることができる。

⑤懲役刑の全部の執行猶予期間中に新たな罪を犯した者に対し、執行猶予期間経過後に、その新たな罪につき、保護観察に付する刑の全部の執行猶予付き懲役刑を言い渡すことは可能である。

→◯ 刑の全部の執行猶予期間が経過すれば刑の言い渡しはなかったことになるため、初度の刑の全部の執行猶予は可能である。

⑥刑の全部の執行を猶予されている者が、その猶予の期間内に更に罪を犯して懲役刑の言い渡しを受け、その刑の一部の執行を猶予されたときは、刑の全部の執行猶予の言い渡しを取り消さなければならない。

→◯ 禁固以上の罪の一部を執行猶予された場合も「実刑」に含まれる。

⑦仮釈放を許されてそのまま刑期を満了し、その後に新たな罪を犯した者に対して、刑期満了の日から四年目に、その新たな罪につき、保護観察に付する刑の全部の執行猶予付き懲役刑を言い渡すことは可能である。

→✕ まず、ポイントはこの事例では一度も執行猶予を受けたことはなく、あくまでも刑期を全うしたにすぎない。したがって、再度の刑の全部の執行猶予を適用する余地はなく、刑期満了から五年経過しなければ、初度の刑の全部の執行猶予をすることはできない。

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