民法#25 代理⑤
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代理人と制限行為能力者
→102条
制限行為能力者が代理人としてした行為は制限行為能力を理由に取り消すことができない。
→なお、その前提となる委任契約は本来取り消すことができるはずだが、102条の趣旨を失わないように遡及を制限して将来効となる。
→また、法定代理人が制限行為能力者であった場合における、法定代理人がした保護者の同意のない行為は、本人(未成年や成年被後見人)も法定代理人もその保護者も取り消すことができる。
代理権の濫用
→代理権の濫用を代理人が内心に抱いていたとしても、外観としては代理が成立している。有権代理の形式であることに留意。
→107条
相手方が代理人の自己または第三者の利益を図る目的を知っているか、知ることができた場合に無権代理となる。
任意代理と法定代理
→前者は私的自治の拡張、後者は私的自治の補充として意義がある。
法定代理と表見代理
109条
→法定代理により表見代理は成立しない。なぜなら、「代理権授与表示における表見代理」においては、代理権授与すなわち任意代理が前提となっているからである。
110条
→代理権限外の代理行為であり、その前提となる基本代理権に法定代理権は含まれるかという問題がある。
一見すると表見代理の要件である本人の帰責性、すなわち、やらかすような代理人に代理権を与えたという落ち度は任意代理を前提としている話であるからである。
しかし、判例は本人に帰責性がない場合も表見代理が成立することを認めS.34.2.5
法定代理人にも110条の適用を認めた判例もある。S17.5.20
112条
→代理権消滅後の表見代理であるため、この場合で法定代理が成り立たないわけではないので、法定代理による表見代理はあり得る。
基本代理権について
→基本代理権は、私法上の行為が本人に帰属するとされる。
→よって、公法上のものは基本代理権とはならず、表見代理が成立しない。
→印鑑証明の下付申請の代理権を授与した者がした抵当権設定は、前者の行為が法上のもので基本代理権とはならない。S39.4.2
→登記の代理申請の権限は公法上の行為であるとともに、その履行は私法上の行為でもあるので、基本代理権となりうる。S46.6.3
→事実行為の委託は110条の基本代理権とはならない。たとえば、保険契約の誘引などである。S35.2.19
復代理
→復代理人は代理人が自己の名で選任し、本人の許諾なくして解任できる。
→復代理人の選任
任意代理人
本人の許諾又はやむを得ない場合に可能。代理人の責任は一般的な債務不履行責任にとどまる。
法定代理人
自由に復代理人を選任することができるが、全責任を負い、原則無過失責任である。ただ、やむを得ない場合は選任と監督においてのみ責任を負う。
→復代理人は本人の代理人であり、代理人の代理人ではない。したがって、顕名は本人の名前でする。
→復代理人は代理人の権限内で法律行為をする。代理人の代理権がなくなると、復代理人のそれも消滅する。
→復代理人が代理行為にて金銭などを受けた場合、本人にも代理人にも渡すことができる。代理人にわたしても返還義務は消滅する。S51.4.9
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①未成年を代理人にするために、当該未成年と委任契約をした場合、その親権者の同意がない場合、未成年側の取消権者は取り消すことができる。
→◯ なお、遡及効は制限されるため、代理行為の後に取消がされたとしてもその代理行為の効力は消滅しない。
②代理人が権利の濫用すなわち、代理人や第三者の利益をはかる目的で代理行為をした場合は無権代理として扱われる。
→✕ 権利の濫用の意図を相手方が知っていたか知ることができた場合には無権代理となる。客観的には有権代理であるからである。
③親権者、後見人や不在者の財産管理人、相続財産の管理人は法定代理人である。
→◯
④被保佐人である未成年の親が保佐人の同意を得ることなく、未成年の不動産を売却した。この場合、被保佐人の親は契約を取り消すことができる。
→◯ 未成年者、被保佐人の親、保佐人のそれぞれが取り消すことができる。
⑤民法110条すなわち権限外の行為における表見代理につき法定代理も適用となる。
→◯ 権限外の行為の表見代理は基本代理権があることを前提とする。基本代理権は法定代理権も含まれる。また、私法的行為が原則であり公法的行為は含まれない。さらに、事実行為は含まれず、法律行為が適用される。
【コラム 民法110条補足とまとめ】
①権限外の行為の表見代理は基本代理権を前提とする。
②権限外の行為の表見代理は任意代理だけではなく、法定代理も適用である。
→代理権授与の表見代理は任意代理のみが対象である。また、代理権消滅後の表見代理においては法定代理も対象である。
→民法110条による本人の責任は本人に過失があることを要件としない、とする判例もある。
③基本代理権は私法上の行為が原則である。
→すなわち公法上の行為は適用外であるが登記申請手続は公的な手続きだが私法的な意義もあるため表見代理が成立する。
④基本代理権は事実行為ではなく、法律行為である。
⑥復代理人は代理人が選任するが解任する場合も本人が解任する。
→✕ 選任も解任も代理人がする。代理人の名をもって選任も解任もする。
⑦あらかじめ復代理人を選任するための代理権を与えられた場合は本人の名をもって選任行為を行う。
→◯
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