見出し画像

民法#58 共有③

本気で合格目指すなら❗オススメ資格スクール

Twitter

ブログ

共有物に対して共有者ができること


→特約がなければ各共有者は自由に処分することができる。
※五年を越えない範囲で分割禁止の特約を合意することは可能。また、さらに五年を越えない範囲で新たに合意することも可能
→共有物の持分の確認訴訟は可能である。

①保存行為
共有物全体の保持のために各共有者が単独でできること。
→妨害排除請求や不実の登記の抹消請求、修繕など
※判例は保存行為とはいってはいないが、自分とは別の共有者が不実の登記をした場合にも単独での登記抹消請求を認めている。
※不法占拠者には立ち退きを単独で求めることができるし、持分に応じて損害賠償請求もできる。
→地役権設定登記も単独でできる。固有必要的共同訴訟ではないため、共有者全員を巻き込む必要はなし

【用語 固有必要的共同訴訟】
共有物分割訴訟が典型であるが、共有物の直接的な当事者だけでなく、共有という利害関係があるため、共有者全員を相手どって訴訟しなければならない形式

②管理行為
→共有物の賃貸やその解除などの利用行為が典型的である。持分の過半数で決する。
→解除権は本来不可分であり、全員で公使、またはそれをもつ全員に請求するなどが本来必要であり、過半数で決めるなどのものではないが、共有の場合は特別であることを判例は認めている。

③処分行為
→宅地を農地にすることや、全体を処分することで、共有者全員の同意が必要である。
→全員の同意なく共有者が処分行為をした場合は、他の共有者は保存行為として回復を求めることができる。

共有物の単独使用


→共有者は持分に応じて共有物の全体を使用することができる。
→少数持分者が協議を経由せずに、単独使用していたとしても多数持分者は当然にその明け渡しを請求できない。※明け渡しの理由を立証しなければならない。
※明け渡しを当然には請求をできないとしても相応の不当利得返還や損害賠償を請求することはできる。
→第三者が一部の共有者の許諾を得て共有物の単独使用をしていたとしても他の共有者は当然には明け渡しを請求できない。
→共有物の単独理由を認められた共有者はその期間は不当利得返還義務を負わない。

共有物の分割


→現物分割、代金分割、価格賠償がある。裁判所はなるべく現物分割や代金分割にしたがるが、特段の事情があれば価格賠償を命じないこともない。
→共有不動産の登記につき、まずは分筆の登記を経た後で権利の登記をする。
→通常の共有物分割訴訟は地方裁判所、遺産分割審判は家庭裁判所が管轄である。
→遺産分割について第三者が絡む場合は共有物分割訴訟による。
→通常の共有物と遺産が併存する場合はまずは共有物分割訴訟により、分与された遺産共有持分については遺産分割審判による。

総有と合有


→特殊な共有関係である。

①総有
権利能力なき社団(および一般社団法人)の共有形態であり、持分はなく、社団全体に属する。なので、社団の負債をメンバーが負うことはないが、権利義務の主体となることはなく、しいて代表者の個人名やメンバー全員の名前ですることができる。一般社団法人の代表では登記可能。

②合有
組合における共有形態で、持分は存在しているが、自由に処分することはできない。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①三人で共有物を共有している場合に、協議なくして、特定の共有者一人が勝手に共有物を単独で使用している場合、他の共有者は共有物の明渡しを求めることができる。

→✕ 共有者それぞれはその持分に応じて共有物全体を使用することができる。ただし、特段の合意がない以上は、その使用している共有者は他の共有者に対して持分以上の利益につき、使用及び収益の対価を償還しなければならない。

②共有物の管理者の職務の執行が共有者の決定に従っていない場合、共有物の管理者の行為は共有者に対してその効力を生じないが、善意の第三者に対抗することはできない。

→◯

③共有物の不分割の特約がある場合、他の共有者の承諾を得ない場合、その持分を譲渡することはできない。

→✕ 不分割の特約があっても、持分譲渡自体は各自自由にすることができる。

④A、B、Cがそれぞれ当分の割合である土地を共有していた。Cが自己の持分をEに譲渡したが、その旨の登記がされず、A及びBがEの持分の取得を争っている場合において、Eが当該土地につき共有物分割の訴えを提起したときは、裁判所は、共有者がA、B及びEであることを認定して共有物の分割を請求することができる。

→✕ 登記を具備していないEは、他の共有者ABに共有持分の取得を対抗できず、共有物分割の訴えがなされた場合には、当該持分がなお譲渡人Cに帰属するとして共有物分割をなすべきであるとされている。したがって、Eが甲土地につき共有物分割の訴えを提起したときでも、裁判所は共有者がA、B、Eであることを認定して共有物の分割を命じることはできない。

#司法書士 #行政書士 #宅建 #公務員試験 #法学 #講座 #聞き流し #イヤホン用法律勉強アーカイブ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?