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民法#20 錯誤

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錯誤


→要は勘違い。取り消しすることができるが、表意者の落ち度であるため、要件がある。
①重大な錯誤ではないこと
→さすがに重大な勘違いをその都度取り消せるのは虫がよすぎる。
②要素の錯誤であること
→法律行為の目的、及び社会通念に照らし合わせて重要であるということ。

表示の錯誤(意思表示の錯誤)
→いわゆるいい間違いであり、意思と表示が違うこと。例えば、100ドルと100ポンドを間違えたなど。

動機の錯誤(基礎事情の錯誤)
→内心的意思と表示行為では合致しているが、動機に勘違いがあること。たとえば、土地が値上がりと思い購入したが、土地の値上がり自体がなかったなど。
→動機が相手方に表示されていなければ取り消しできないが、明示でも黙示でもよい。

Case.1
離婚による財産分与で、夫婦ともに税金が譲渡者ではなく譲受者に課税されると思っていた。実際は譲渡者に課税され、それが法律行為の要素となっており、かつその動機は黙示として認識されていた。この場合、当該分与を錯誤取消できる。
Case.2
ある者AがBに保証契約をしてくれと頼まれた。BはCとも保証契約を結ぶとしてAを説得し、Aはそれを契機として当該保証契約を締結した。しかし、実際にBCの間で保証契約が結ばれることはなかった。この場合、動機の錯誤として取消は認められない。保証契約締結は当事者間での話であり、ABの保証契約の条件にでもなってなければ法的な結果はない。

重大な過失による錯誤でも取消しできる場合
→原則として重大な錯誤がある場合に取り消すことはできないが、次の場合は例外的に可能である。
①相手方が錯誤の事実を知っているか、重大な錯誤により知らないとき
②同一の錯誤におちいっていた時
※共通錯誤

第三者の保護


→錯誤取り消しは相手方に対して可能ではあるが、善意無過失の第三者には対抗できない。もちろん、取り消し前の話であり、取り消し後は対抗要件の問題となる。
→取り消し権は本人、代理人、承継人である。

【コラム】
心裡留保と通謀虚偽表示の第三者保護が善意のみで、詐欺や錯誤では善意無過失まで要求されるのは、前者は故意に虚偽の外観を作り出しているが、後者は過失によるからである。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①錯誤による意思表示は無効である。

→✕ 民法改正後は取り消せるにとどまる。表示の錯誤、もしくは動機の錯誤で、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らし合わせて重要であることを要する。

②動機の錯誤において、錯誤にいたらしめる動機について相手方に表示されていなければ取り消すことはできないが、黙示では足りない。

→✕ 黙示でも動機が相手に明示されていれば取り消しの対象となる。

③重大な過失による錯誤においては取り消すことはできないが、相手方も同一の錯誤に陥っている場合はその限りではない。

→◯ その他、相手方が錯誤に陥っていることを知っているか知ることができた場合もその限りではない。

④金銭消費貸借を契約しようとする貸し主は友人に、他の友人も連帯保証人になっていて迷惑をかけないから連帯保証人になってほしいと懇願され、賃貸人と連帯保証契約を締結した。しかし、実際は他の友人は連帯保証人にはならなかった。この場合、動機の錯誤を理由に当該連帯保証契約を取り消すことができる。

→✕ 他に連帯保証人があるかどうかは通常は保証契約をなす縁由に過ぎないため、当然にはその保証契約の内容となるものではない。あくまでも動機の錯誤とは法律行為をする上での基礎事情の認識が真実に反していた場合に成立するが、本事案ではそのようにみなされないと判示された。

⑤身分行為は錯誤取り消しができないが、相続放棄は錯誤による取消をすることができる。

→◯ 身分行為では取消事由があり、それに抵触する場合は取り消すことができる。

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