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刑法#15 責任②

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錯誤


→事実の錯誤
方法の錯誤、客体の錯誤、因果関係の錯誤

→法律の錯誤
法律を知らなかったからといって当然に責任が阻却されるわけがないのが原則。

むささび・もま事件
→法律の錯誤として狩猟法において有罪。むささびは全国的に認知されている動物であり、被告人や周りでむささびともまは別の動物として認識されていても責任が阻却されない。
たぬき・むじな事件
→戦前では全国的にたぬきとむじなは別の生き物として認知されていたので、事実の錯
誤が認められ、狩猟法違反ではなく無罪。

法律の不知 S.32.10.18
→法律の不知につき、刑法38条は故意を阻却しないとするが、情状により罪を減軽できるとする。もし、法律について知っている場合は同条により減軽するべきではない。

規範的構成要件要素の錯誤 S32.3.13
→主観的に構成要件を満たさないと思っていても客観的に規範的構成要件要素をそ満たすのであれば、法律の錯誤であり、犯意を阻却しない。

【用語解説 自然犯と法定犯】
自然犯とは殺人や放火など、いつでもどんな状況でも社会悪とされる犯罪。
法定犯は道路交通法違反や労働基準法違反など、行政政策達成のために特定の法定された犯罪のことである。
S25.11.28
自然犯、法定犯を問わず、犯罪成立のために違法性の認識は必要がない。
→通行危険のために橋を爆発した場合、爆発物取締罰則を不知でも責任は阻却されない。
※現実の危険もないため過剰避難も認められない。

過失


過失は法定されている場合に成立し、かつ以下の要件を満たす必要がある。
①予見可能性
②結果回避義務
③回避義務違反と結果の因果関係
→つまり回避する義務がなかったり、義務をまっとうしても起きてしまう場合などは過失が認められない。

業務上の過失
→一定の業務に従事する者が特別の注意を要すること。
①反復継続②生命身体を害するおそれ
の二点が業務上の要件
※育児や自転車運転は含まない。
→過失致死罪は罰金50万以下、過失傷害罪は30万以下の罰金または科料にすぎないが、業務上過失致死傷罪は5年以下の懲役若しくは禁固、又は100万以下の罰金に法定刑ははね上がる。

【コラム 過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪】
上記2つは業務上過失致死傷罪より、さらに思い刑罰となる。
前者は7年以下の懲役もしくは禁固、または100万以下の罰金。
後者は傷害で15年以下の懲役、致死で1年以上の有期懲役である。

信頼の原則
→被害者や第三者が適切な行為をすることを信頼することが相当な場合に成立する。

期待可能性
→超法規的責任阻却事由と解される。
どうしても適法行為ができなかったという状況。

【コラム 原因において自由な行為】
事故を起こしてもよいと認容して酩酊して心身耗弱の状態となり、事故を起こした。
→犯罪の実行行為時には心身耗弱であるが、刑が減軽されるかという論点である。
→この場合、犯罪の原因となった飲酒をする時点で、本来は飲酒運転をできない判断をすることもできたのにしたということで、非難可能性がある。これを原因において自由な行為という。
※ちなみに心身耗弱や喪失は裁判所が事実の認定をする。精神鑑定や医師の判断などをもとに裁判所が決定するのである。
※上記は危険運転致死傷罪となる。

結果的加重犯における悪い結果の認識
S26.9.20
※結果的加重犯とはある行為により予想より悪く重い結果を引き起こすに至ったので重い結果についても罪が裁かれること。
→被告人が悪い結果を認識する可能性がなくても因果関係がある以上、犯意が阻却されない。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答ください。

①法律を知らなかったとしても、そのことによって罪を犯す意志がなかったとすることはできない。ただし、情状によりその刑を減軽することができる。

→◯ 刑法38条そのままである。法律を知らなくても故意犯は成立する。

②業務上過失致死傷罪における「業務」とは実際に反復継続されてなくてはならない。

→✕ 業務とは社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務であり、かつ、人の生命や身体に危害を加える危険のあるものである。なお、実際に反復継続していなくても、その意志があれば認められる。

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