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【超短編】曇り

始まった

大雨の中、誰かの笑い声が聞こえるよ
そっと体を包む、誰かがいるよ
雨なのに
雨なのに
今日はあたたかいなぁ

毎日毎日、何度も雨が降る
雨の後には、穏やかな空が広がる
口が寂しくて
体を包んでほしくて
何度も何度も雨が降る
向こうはいつも、晴れてるなぁ

どうしてだろう
今日は向こうも雨模様
いつも晴れていたのに
ごめんね、ごめんね


晴れ、晴れ!
たまーに雨が降ることもあるけど
ずっと晴れが続いているよ
周りも晴れ晴れ
いつまでも晴れ晴れ

あれ?雨だ
もう降ることなんてないと思ってた
止まない、止まないなぁ
早く晴れないかなぁ

晴れ、晴れ、
地球がほんのひとつまみ広がって
そこに大雨が生まれたんだ
僕は晴れ、君も晴れ
ひとつまみの大雨

雨は止んだよ
でも、ずっと曇りが続くんだ
ほんの少し晴れたり、雨が降ったり
いつかまた、めいっぱい晴れるかな
晴れ、帰ってこないかな

地球がひとつまみ小さくなって
そこにたくさんの雨が降る
雨、雨、大嫌い
僕のときには….

またひとつまみ広がって
またひとつまみ小さくなって
その中心には大雨が降って

たかがひとつまみ
されどひとつまみ
僕はひとつまみ
たかがひとつまみ

だから、だから
僕を雨で包まないで
狭まる僕の空を、雨色に染めないで

それだけが、僕の願い

僕がいた場所は
いつまでも晴れていてください

おわり


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