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女子におすすめの職場!税務署!

 当時は女性の割合は2割もいない感じだったでしょうか。書類の事務をする第一部門には若干多く複数名いて、調査部門には最低一人はいる感じでした。ガサ入れとかで女子更衣室のような、女性しか入れないところもあるので、各調査部門にも一名はいるのだと思います。
 僕の配属された法人第二部門には、僕に最初にお茶を入れてくれたW上席がいました。「おほほほー」とよく笑いよく喋る、高校生の息子がいるお母さんで、「昔は綺麗だったんだよー」と他のおじさん達から言われていましたが、その時も年のわりに綺麗だったと思います。若作りで肌も綺麗なので、ほとんど年齢不詳でした。旦那さんも税務職員で、他の税務署の管理職です。
 女性職員は申告書の処理をする第一部門に配属される事が多く、優秀なWさんは長年第一部門の申告書の処理事務のスペシャリストでした。事務処理能力が高いというか、ほとんど内部の書類事務に関しては神レベルで、第一部門で処理中の申告書が調査部門で必要になったりすると「その会社なら〇〇の処理が終わって、〇〇の処理まちだからあそこにあるはず」といってささっと見つけてくれる。そんな感じで、第一部門にいる時は何かあったらWさんに言えばなんとかしれくれる、という方だったそうです。そんな彼女も管理職になるためなのか、仕事の幅を広げるために僕の赴任と同時に調査部門である法人第二部門に配属されました。 
 Wさんだけではなく、税務署の女性職員は素晴らしく優秀な人がたくさんいます。税務の職場とは、納税者とのトラブルが多い職場です。法人部門であっても、一人で事業をやっている叩き上げの方は海千山千の猛者が多く、そういった会社に一人で女性が行くと何かと問題が発生すると考えられた時代でもありました。会計事務所でもそう考えていて、とある税理士先生は「外回りをする女性は美人は取らない」といっていたくらいでした。だから国税でも、ある時期まであまり女性職員を採用しなかったような気がします。採用される人も、納税者に負けない、気の強い女性が多かったと思います。とにかく女子にとっては国税は狭き門でした。
 そういった狭き門だったことに加えて、地方では女性の大学進学熱がそれほど高くない。地方では、女子は大学に行かなくても良いという風潮があって、高校でトップクラスの成績でも大学に行きません。地方では地元企業の就職先も限られる中、研修制度が充実した国税は向学心のある女子には人気の職種でした。なので、国税の入ってくる女性は元々成績も優秀であるばかりでなく、勉強する気満々でした。
 そういった背景もあって、税務署の女性職員は少数精鋭という感じで、仕事もできるし、人格的にもしっかりした「特にできる人」が多かった。なので女性だからというのではなく、仕事の上で他の男性職員の信頼を集めている人が多かったと思います。人事的にも女性職員に対しては産休の前に仕事の経験を積ませたいからか、早い段階で国税局に行く人も多かったような気がします。仕事もできるし、人間的にも信頼されて、早くからいろんな経験をしているということで、国税において、女性といえば優秀というイメージでした。
 国税は女性が少ない職場ですから、当然ですが新人の女性職員は若い男性職員に大人気です。特に昔は女子の割合が少なかったので、女性の新人が入っていくと、若い男性職員が色めき立ちます。若い男性職員がわらわらと寄っていくイメージです。女子の皆さんは人生最大のモテ期なのではないでしょうか。ちなみに、僕は付き合っていた彼女がいたので、新人女子が入ってきてものんびり外側から余裕をかまして、女子の周りで若い男性職員が踊っているのを見守っている感じでした。
 女子職員は、そんなモテモテの中、しっかり仕事のできる有望な職員をゲットします。女子職員に選ばれて結婚できた男性職員は必ずといっていいほど皆出世しました。
 結婚しても、出産しても、国税では優秀な女性職員は重宝され尊敬され大事にされました。結婚した後も子供が熱を出したりすると、上司はすぐ「帰っていいよ!後は気にしないで」と帰します。他の男性職員も同様で、自分の仕事が増えて文句を言う同僚職員はいません。そういった点ではかなり進んだ職場でした。それに公務員なので保育園の優先順位はかなり上で、保育園落ちたという話はついぞ聞いたことがありません。公務員はそんなに高い給料はもらえませんが、環境的にダブルインカムが十分可能で経済的にかなり余裕ができます。職場では夫婦揃って国税職員のことを「2馬力」といって羨ましがられました。そういった女性が働きやすい職場なのを知って、僕の同期には結婚を機に上場企業の総合職を辞めて転職してきた女性もいたくらいでした。
 昔と変わって採用の方針も変わりましたが、昇進も変わりました。日本は女性の管理職割合が国際的に少ないので、国の方針として女性の幹部割合を増やそうと、躍起になっています。そんな中、国税においても女性は昇進もしやすい様です。もちろん、実力が無いのに昇進してしまうと、それはそれで大変なのでしょうが、そうはいっても昇進しないよりはした方が良いに決まっている。
 先にも書いた通り、女子には国税は狭き門でした。僕がいた時期も同期の女性の割合が低く当時は2割位だったかも知れません。でも、時代は変わりました。時代の流れとともに、そういった女子枠みたいなものは今は無くなっているようです。国税の大卒相当である国税専門官の女子の割合もだいぶ増えて4割くらいになりました。
 採用は平等になってきた。育児休暇もとりやすい。職場の理解は良い。昇進も早い。良いことずくめではないか。女子にはかなり良い職場だと思います。
 

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