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4日目 絶望の中のひまわり

今朝も3回ほど目が覚めて朝を迎えた。
やはり何かしら睡眠への影響は出ているということなのか。
食欲も少し少なめ。
図書館で読んだ鬱の本には、うつ病には必ず睡眠と食事への影響が出ると書かれていた。ただ、食欲は少ないけど味がしないなんてことはないし、寝つきも悪いわけではないから、やっぱり俺はうつ病には当てはまらないんじゃないかなと思って読んでいた。

でも、この日記を書いている今(夜)
俺は絶望の中にいる。


今日は、朝目覚めてから長男を学校に送り届けた。
長男をバイクから下ろして一人で走る道路。
通勤の時間に仕事に行く人たちの横を、目的もなく走っている自分。
ちょっとそのことが負い目に感じてしんどく感じた。

実家に帰ることはやめて、自宅に帰りたくなった。
というか、虚しさから妻に会いたくなった。

自宅に帰ると、末っ子が保育園の支度をしていて、妻が出迎えてくれた。
ぱぱおかえり〜と変わらない末っ子の笑顔。
ひこうきぶんぶんの遊びをリクエストされて、何度か繰り返す。
この子と遊んでいる時、心が救われる気持ちになる。

妻は、今後の自分の仕事について考えていたらしく、時給のいいパートを見つけたと話してくれた。ちゃんと前に向かっている妻を見てまた心苦しくなる。俺は妻を捨てれるのか。そもそも、妻も彼女も俺のことをまだ想ってくれているのか。

妻を見送り、家の中を軽く掃除して家を出ることにした。

何か目的がないと心が潰されそうになるから。

俺は隣町のデパートに行くことにした。
目的はひまわりのアクセサリー。
この時期に手に入るかわからないんだけど、1年半前に彼女と再会した時に、俺はひまわりの花をプレゼントしたんだ。彼女の明るいイメージがひまわりのようでピッタリだったから。あの時も、季節外れのひまわりだったんだけど、その生花を彼女はしばらく大事にしていてくれたらしい。

もしかしたら最後のプレゼントになるかもしれないから、ひまわりの何かを送りたくて、アクセサリーなら枯れることがないかなって思ったんだ。

なかなか、ひまわりのアクセサリーは売っていなくて、ようやく見つけたのが黄色と茶色の花がひまわりっぽくみえる髪留めだった。

店員さんにも探してもらったけどこれしか見つからなかった。
でも、彼女っぽいし、完全なひまわりではないけれど、きっとわかるだろうと思って購入した。

このプレゼントを彼女はどんなふうに受け取ってくれるんだろうか。
喜んでくれて、あの頃をもう一度思い出してくれたらいいな・・・と思いながらも、これを渡す時が最後の日になるような予感が頭にはちらついていた。


買い物を終えて、近くの大きな公園に行くことにした。公園には小学校の社会科見学でたくさんの子どもたちがいた。

その声を避けるようにして、途中図書館に立ち寄り、鬱についての本を読んでいたら眠くなってきた。

公園の丘に戻って寝ようと思った時に、職場の上司から電話がかかってきた。

今の職場で管理職不在が3ヶ月続くのはいけないらしく、今年度は別の人に交代するとのこと。3ヶ月後に復帰したら、リハビリを経て別の部署に異動してまた管理職を頑張ってほしいとの話だった。

想像はしていたけれど、本当に今の場所には帰れなくなった。

自分が望んだことなのに、心が止まってしまった。

でも一方で、まだ俺を今と同じポストで戻そうとしてくれている優しさも感じた。もう、気力的にはやれないと思っていたけれど、あなたならできるという一言に、1ミリの気力が湧いた気はした。

でも、今の場所を放り投げたことは変わらない。
みんなにめちゃくちゃな迷惑をかけたまま、突然いなくなることになる。
あの仕事に戻らなくて良いという安堵感と焦燥感と罪悪感と、しばらくの時間、心がまた固まってしまっていた。

でも、きっと時間が経てば少し考えが変わるはず。この鬱の期間、ずっと自問自答しながらその度に自分の答えが変わることを繰り返していたので、そこに期待して、ようやく腰を起こして帰ることにした。


本当だったらこんな時、彼女に慰めてもらいに行きたい。
今まではそうしてくれた彼女が、今は距離が離れている。

彼女に連絡するべきかどうか迷いながら、メールを送ることにした。

仕事を正式に降りたこと。
今週末に1時間でいいから会って話したいということ。

彼女の表情を見てからではあるんだけど、
今まで彼女に救いを求めてばかりいた自分を反省して、恋人関係じゃなくてもいいから、彼女が後ろめたさを感じない関係のままで、それでも人生の別れではなく近くにいたい。これが今の俺の気持ち。

妻とどうなるかはわからないまま、恋人関係を続けてくれなんて言えないから。それでも、彼女と会えなくなるのは、心のかけらを失うような喪失感になって、心が立ち直れなくなってしまうかもしれない。

そんな思いを、ぶつけられるはずもないけど、1時間。1時間だけ、彼女の空気に触れ、その後のことを話し合いたかった。


でも、彼女からの返信はNOだった。


もう、会えないのかな。
もう、会いたくないのかな。

心が締め付けられる。
パニックのように動悸や焦りが止まらなくなる。

心が張り裂けそうだ。

ひまわりの髪留めは渡すことができなくなった。


また、、、明日。


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