移ろい
行く夏への未練が断ち切れず
いつまでもぐずぐずと雨を降らせ
晴れていたと思えば急な激しい雷雨で
不安定さを顕にしていた空も
同じようにぐずついていた私を残し
いつの間にか去る夏を見送り
すっかり秋の訪れを迎え入れていた
雨続きで水やりもいらず
しばらく出ていなかった庭に出ると
野葡萄が色づき
夏の間に蔓を伸ばしたスズメウリが
実をつけ始めている
変わりゆく季節は止められないけれど
その移ろいがもたらす景色は
もう何度も見てきたはずなのに
その美しさに心を奪われる
どうしたら良かったかなどと
今さら思っても
時が戻るわけでもなく
やり直せるわけでもない
在る自分を受け入れ
進む
留まる事を選ぶのもその一歩
そのうちに秋は深まり
木々は紅く染まりやがて葉を落とす
きっと嘆いてはいない
全ては春に芽吹くため
心にとめてくれてありがとう
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