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柿はカキ(CACHI)っていうんだね

~コバンザメのシチリア滞在記~


早朝の風が心地よく感じ始める10月。まだまだ最高気温は25度前後になっても、Mercatoでは秋の野菜や果物が並び始める。

ワゴンのあちこちで柿を見つけたときは驚いた。シチリアにも柿があるのか!しかもCACHI(カキ)。またはKAKI。
日本と同じ発音で売られているのは楽しい。

透明なプラケースにこんもりと20個以上盛られて並んでいるそれは、日本のものより小ぶりで、そして、透き通るほど熟している。日本の八百屋さんではたたき売りされるくらいの完熟ぶりである。

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売っているお兄さんの目を盗んで指でついと押してみても、その柔らかさが伝わってくる。正直ジュクジュクの柿は苦手だったので素通りしようかとも思ったが、日本の秋を代表する果実がMercatoで普通に売られて、それを現地の人が普通に買っていく様子を見ると、何やら目が離せなくなり「一かごください」と言ってしまった。

帰宅し、恐る恐る切ってみる。やはり予想通り相当柔らかい。切ると断面から汁がしたたり、それに触れた指先がべとべとする。しかし、どうですか、このつやつやと美しい断面!

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乾燥して固い皮にくっついた実はとろけるようになめらかな口あたり、ドルチェのように甘い。小さいのに食べ応えのある甘さである。買ってみてよかった。


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スーパーにはこんな柿も売っていた。CACHI MELE とか MELE KAKI と書かれている。リンゴのような柿といったところかな。こちらはまだ未体験。日本の柿に味も歯ごたえも似ているのかもしれない。


数年前に亡くなった博識の義父は、ジュクジュクの柿が大好きだった。「柿は文人の果物なんだよ」と、苦手な夏をやり過ごしながら秋を待ちわびていた。そんな声を思い出しながら、遠いシチリアの地で柿を味わった。


<追記 12月>

どうしても食べてみたくてcachi mele を買ってみた。

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種なしなんだ。

柔らかく、そしてどことなく清涼感のある甘さ。こんなに美味しいならもっと買ってみればよかった。

メルカートでもカキの姿が減ってきた。

もうすぐカキの季節もおわるのだろう。

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