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ゲームと映画、両方の視点から見る名優“ウィレム・デフォー“の共通点が多めで胸熱な件について。『スパイダーマン』のグリーンゴブリンと『BEYOND: Two Souls 』のネイサンから見る哀愁物語

ふと、俳優「ウィレム・デフォー」が頭をよぎる時がある……。
それは、筆者がゲームと映画、両方を楽しんでいて、極々稀に発生する「登場人物の役柄が似てる」という現象に遭遇し、妙に嬉しくなってしまった時だ。

今回は、『デトロイト・ビカム・ヒューマン』などでシナリオ分岐する映画的な作品を制作していることで有名なQuantic Dreamの過去作『BEYOND: Two Souls』と、トビー・マグワイアが主演の映画『スパイダーマン(2002年)』、両方の作品に登場するウィレム・デフォーの共通点について綴ります。例のごとくネタバレ全開なので、気になる方は今すぐ購入してほしい!



『BEYOND: Two Souls』のウィレム・デフォー

時は、2013年……つまり、執筆時点から計算すると大体10年前まで遡る。
死後の霊魂とのコミュニケーションがとれる女の子を巡る『BEYOND: Two Souls』がプレイステーション3で発売された。

本作の特徴は大きくわけて二つ。主人公は超能力を持った女の子「ジョデイ」と、それを守る守護霊的な存在であること。もう一つは、プレイヤーの選択した結果がシナリオにダイレクトに影響するということだ。この作品のスタイルはQuantic Dreamの特色を強固に決定づけている。

ジョディの能力は研究対象

本作に登場するウェレム・デフォーは、ジョディの親代わりのような存在である研究者「ネイサン・ドーキンス」だ。彼は政府の施設で特殊能力の研究を行っていた。

物腰柔らかにジョディの超能力を研究するネイサンだが、彼の真の目的は「死んだ妻子と再会すること」となってしまう。そのためには、超常能力を持つジョディの能力を解明する必要があったわけだ。

妻と娘を返してくれ…!

妻子を亡くして病んでいるネイサンを憐れに思ったのか、幼少期のジョディは、できる限り奥さんと娘の声を届けてあげた。
しかし、これが全くの逆効果だった。ネイサンは「妻はどこにいった?……待ってくれ!帰って来てくれ!」と、亡くなった妻子に対し、より強く執着してしまう結果を招く。

妻子を封じ込めて「一緒にいる」と思い込んでいるネイサン

彼は妻子の霊魂を現世に縛り付けて、家族と一緒に居られるのは幸せなはずだと自分に言い聞かせる。どうみても妻子の魂は苦しみ足掻いているように見えるのだが、お構いなしだ。いわゆる、闇堕ちである……。

死した後、家族と再会する。

これは選択肢によって結果が変わるとは思うが、最終的に彼は自ら死を選び、家族の魂に再会することができる。その際の彼の表情は実に晴れやかで、やさしかったころのネイサンそのものであった。


『スパイダーマン』のウィレム・デフォー

説明が遅れたが、この記事のタイトルにあった迫真のサムネ画像は覚醒した時のグリーンゴブリンことノーマン・オズボーン(演:ウィレム・デフォー氏)だ。

今回は、2002年に公開された映画『スパイダーマン』に登場したウィレム・デフォーを振り返る。この映画は、時系列的には『BEYOND: Two Souls』が発売される役11年前の映像作品だ。

息子からめちゃ尊敬されるイケオジ「ノーマン・オズボーン」

ウィレム・デフォーが演じるのは、軍需産業会社としては大企業のオズコープ社の社長「ノーマン・オズボーン」だ。
本作の主人公「ピーター・パーカー」の親友であるハリーの父親であり、心優しき科学者である。

ノーマンは新薬を開発して強力な兵隊を作れるよう計画していたが、ライバル社がパワードスーツで対抗してきたため、焦る。

新薬を過剰に投与した結果、凶暴化。二重人格に……
グリーン・ゴブリン

焦るノーマンは、自ら開発した薬を自身に投与するも、副作用で凶暴化。しかも二重人格になってしまった。怪人「グリーン・ゴブリン」の誕生である。彼は勢いをそのままにライバル社を襲撃して、これで会社は存続!と思いきや……なんと役員たちが、会社の売却を通告してくる。
今度は、社長の座が危うい。どうするノーマン!どうするグリーン・ゴブリン!⇒役員たち、死亡。完全にフラグです。

グリーン・ゴブリン
ノーマン

それから先は凄惨だ。正しい人間であろうとするノーマンと、残虐非道なグリーン・ゴブリンの心は激しくぶつかり合う。
会社の存続。父親としての面子。善良な父親であり続けるためには、凶暴なグリーン・ゴブリンになるしかないのか?彼は巷のヒーロー「スパイダーマン」と手を組むよう持ちかけるが、これは却下されてしまう。

たびたび、周囲の人間を使ってスパイダーマンを脅迫するグリーン・ゴブリン。それでもスパイダーマンことピーターの心は曲がることはなかった。
遂に追い詰められたグリーン・ゴブリンは、自ら顔を晒し自身がオズボーンであることを明かし、「お前を息子のように大事にしてきた」と語る。
しかし、それこそがグリーン・ゴブリンの罠で、背後に攻撃を仕掛けていたのだ。

罠はピーターに見破られてしまい、グリーン・ゴブリンの腹には巨大な刃が突き刺さる。
最後に正気に戻ったのか、ノーマンは「ハリーには言うな……」と言い残して絶命する。彼の増長させられた凶暴性の奥底に眠るのは、息子に対する愛だったのかもしれない。

なんとも報われない展開だが、彼は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で再登場し、サム・ライミ版スパイダーマンを肉体的にも精神的にも徹底して追い詰める。しかし、最後には解毒剤を撃ち込まれて本来のノーマンに戻ることができた。

のちのスパイダーマンの映画ではグリーン・ゴブリンの衣装に身を包んだ息子のハリーが大活躍するので、それも熱い展開なのだが別の話なので今回は割愛。


両作のウィレム・デフォーの共通点

ああ~……良い感じ。良い感じにウィレム・デフォーの出汁が出てる。

ということで、両作品のウィレム・デフォーの共通点をあげてみよう。

『BEYOND: Two Souls』のウィレム・デフォー
・ウィレム・デフォーである。
・有能な科学者。
・立派な父親だった。
・闇堕ちしてしまう。
・最終的に正気に戻って死ぬ。
・吹替版の声優が山路和弘さんである←重要。

『スパイダーマン』のウィレム・デフォー
・ウィレム・デフォーである。
・有能な科学者。
・立派な父親だった。
・闇堕ちしてしまう。
・最終的に正気に戻って死ぬ。
・吹替版の声優が山路和弘さんである←重要。

良い感じですね………これは、かなりシンクロ率が高いですよ。
漂う哀愁、役柄、最後に行きつくまでの道のり、そして結末。
声優までも一緒の人を起用してくれてるだなんて、粋じゃあないですか……

と思ったのが2013年。『BEYOND: Two Souls』をクリアした後のことであった。
なんで今、これを書いたのか?
なんとなくだけど、10年前に体感した喜びを、文字として記録しておきたかったのかもしれない。

ウィレム・デフォー成分が出汁としてしっかり出ている『BEYOND: Two Souls』はSteamにて60%オフの796円で購入可能。期間は2024年の1月5日まで。『スパイダーマン』の方は映像配信サイトとかでわりと気軽に観れるはず。

ウィレム・デフォーは本当に良い俳優だよね。特に何かしら抱えている父親役をやらせたらピカイチ!

※記事内の画像は公式トレーラーから引用したものです。

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