ハヤブサ消防団から学ぶ〜人間の心の扱いやすさ〜
“ハヤブサ消防団”は『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』『七つの会議』『民王』『アキラとあきら』『シャイロックの子供たち』――。数々のヒット作を世に送り出し、大旋風を巻き起こしてきたベストセラー作家・池井戸潤さんによって書かれた小説が原作で、2023年にドラマ化された作品です。
物語は、スランプ気味の作家・三馬太郎が亡き父の故郷、山間の“ハヤブサ地区”に移住するところから始まります。都会のストレスから解放され、穏やかな生活が送れるかと思いきや、地元の消防団に加入したのを機に太郎は連続放火騒動に巻き込まれ、さらには住民の不審死など怪事件に遭遇します。真相を探りはじめた太郎の前に浮かび上がるのは、集落の奥底にうごめく巨大な陰謀で…。
さて今回はそのストーリー中で描かれた内の、人間の集団心理について考えていきます。
原作は小説、ドラマをチェックしてくださいね。
主題歌についても注目してください。
命日という曲でちゃんみなさんが歌っています。
ちゃんみなさんの素敵な歌の世界を感じることができるのはもちろん、PVにも映画のようなドラマ性があっておすすめです。
宗教の勧誘って上手いですよね。
ここ最近話題になった宗教としては、統一教会絡みのことが多いですが、他にも宗教はたくさんあります。
権力を持った人達が宗教を信仰すれば、自ずとその国はその宗教に染められます。
今回は宗教の良い悪いという話ではなく、人間がどうして宗教を信仰するのか、といったお話をしていきます。
結論だけ言うと、
人間は心の拠り所が無いと生きていけないからです。迷った時、辛くて悲しくてどうしようもない時に、人間は誰かに救われたいと望むものです。
そして同じ宗教を信仰している人達は友人、仲間よりも、場合によっては家族よりも深い絆で結ばれた関係になれますし、孤独感もなく、同じ目的のためにみんなで頑張れる上に生きていく理由になるという集団心理が動いているのです。
もっと詳しく見たい方は読み進めてください。
⚠️はやぶさ消防団のネタバレも含みますので、見たくない方はここでストップしてくださいね。
事実をねじ曲げられているのになぜ信じてしまうのか?
ハヤブサ消防団で言うと、立木彩(役者:川口春奈)が入信していた“アビゲイル騎士団”は数年前、教祖と幹部3名が信者12名を拷問の末に殺害するという凄惨な事件を起こし、世間を震撼させた教団でした。教祖と幹部は逮捕されたものの何も語らず、動機もうやむやなまま死刑が確定しました。彼女はその教団の広報として、PRビデオを制作していました。
教団を辞めたいと言った人達が拷問され殺害されたのですが、その中に親しい人がいた立木彩を含めた複数名は、教団の幹部から説明を受けました。
「教団トップの人間達によってあなた達の親しい人達は殺されてしまった。この組織を立て直すために、このような悲しいことが二度と起こらないように、力を貸してほしい」
というような内容です。(一応ネタバレ防止のためにぼかしています)
立木彩がアビゲイル騎士団に参加するようになったのはその後です。親しい人を殺したのは宗教団体なのにも関わらず、恨むべき憎むべき相手なはずなのに、協力して欲しいと頼まれ、宗教団体に取り込まれていく過程が本当に怖いですよね。
言葉遊びと言えばそうなのですが…人間の心理を扱うプロなのは言うまでもありませんし言葉の選び方や間のとり方がドラマを見ていても脚本も役者さんも本当にすごいです。これはもし自分でも気付かないうちに相手の思う壷になりまんまと乗せられてしまうだろうなと思います。
勧誘が上手い理由
1.意味と目的の提供
宗教は多くの人々にとって、人生に意味や目的をもたらすものとされています。勧誘者は、対象者にとって宗教がどのように彼らの生活を豊かにするかを説明し、希望や満足感を提供します。
2.社会的結びつき
宗教共同体に参加することで、人々は新しい友人や支えを見つけることができます。勧誘者は、コミュニティへの参加が個人の生活にプラスの影響を与えることを強調します。
3.個人的な関係
宗教の勧誘者は、個人的な関係を築き、対象者に共感し、彼らの感情やニーズに応えようとします。これにより、信者としての成長や変化を促進します。
4.説得術
勧誘者は宗教の教えや信念をわかりやすく説明し、疑問や不安に答えるスキルを持っています。また、他の宗教や信念との比較を通じて、自分の宗教を強調します。
5.社会的圧力
一部の宗教団体は、社会的な圧力や規範を通じて宗教への参加を奨励します。これにより、人々は宗教共同体に参加せざるを得ないと感じることがあります。
悩み、困っていることに対して救いの手を差し伸べてくれる唯一無二の存在であることを、優しく懇切丁寧に説いてくれるのです。
そして自分達の幻想郷、理想郷であるユートピアを創りそこでみんなで住もうと…ハヤブサ消防団ではそういったことがテーマになってきます。
まず権力者に取り入るために愛人となれるよう差し向け、権力と金を手に入れ、敵対するものには対話していく中で取り込むか権力者も巻き込んで徹底的に排除するか…。
ぞっとしますよね。
不安や悩みや迷いがあれば、あるいは人間の欲望に付け込まれてしまうのです。
まとめ
人間の心の扱いやすさについて書いてきました。生きている限り人間には心の拠り所は必要です。
それが宗教になるのも当たり前なんです。
歴史上の人物の言葉を座右の銘したりその人のように生きようとするのと変わりません。
ある意味、推し活と変わらないかもしれません。
これが無いと生きている意味が無い、頑張れないと思ってしまうほど、自分の中で大きな存在が、人間には必要です。
自分を救ってくれる、導いてくれるのがこれしかないと思っていればなおさらです。
すると社会における善悪ではなく、宗教における善悪が何よりも優先されます。
自分で決めなくて良くなる、という責任からの解放もあります。悩みが全て消えるのです。
家族よりも深い関係の人達だけが周りにいて、何も考えずに周囲に合わせて生きればいい。
楽なんですよね。
だから、身近な人が死んだ、など、心の拠り所を失った人達は宗教の勧誘に弱くなります。
人間ひとりの意思なんて弱いものです。自分を必要としてくれる存在、自分が生きていてもいいと認めてくれる存在、自分の生きる道標を教えてくれる存在、自分を救ってくれる存在を求めて、辿り着きます。
それが良い、悪いということではなく、人間としては当たり前のことです。
何かのために生きる、というモチベーションがあると人生が活き活きしてくるので素敵なことですよね。
逆に何も無ければ生きることを辞めたくなるほどです。
心が壊れないためにも、何かひとつでもいいので心の拠り所は持っておきたいですね。
読んでくださりありがとうございました。
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