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「ありがとうみつけ」は、毎日やれば全員が言えるようになる。

アドラー心理学をベースにした「クラス会議」。毎日短時間、輪になって話し合う活動を続けることで、子どもたちに様々なライフスキルを育てていきます。

ボクらは、この「クラス会議」に約20年取り組み、この活動の良さはもちろん、難しさもたくさん経験してきました。

活動を続けてきて、よかったことがたくさんあります。今日はその1つ「『ありがとうみつけ』は、毎日やれば全員が言えるようになる。」を紹介します。


「ありがとうみつけ」は、「クラス会議」のもとになっている「ポジティブディシプリン・インザ・クラスルーム(positive discipline in the classroom)」では、「コンプリメント(compliment)」とされています。

「コンプリメント」っていうのは、的確な日本語訳はないようで、言うならば「ほめ言葉」とか「賛辞」、「賞賛」などの意味があるようです。

「クラス会議」を始めた頃は、かつてからよくやられていた「いいところみつけ」をやっていましたが、「クラス会議で子どもが変わる」(コスモスライブラリー)の解説・諸富祥彦先生や翻訳・会沢信彦先生とのやり取りの中で、「ありがとうみつけ」という言い方で行っていました。

「コンプリメント」の時間は、クラスによっては、いいところを伝えあったり、今日感じていることを伝えあったり、いろんなやり方があるようです。


「ありがとうみつけ」は、毎日、円になって座った隣の子に、

「~~の時に〇〇してくれて、ありがとう。」
「この前、〇〇をがんばってくれて、ありがとう。」

などなど。感謝のメッセージを伝えていきます。シンプルなので、30人のクラスでも数分で終わります。


この「ありがとうみつけ」オススメなんです。


というのも、この「ありがとうみつけ」、1年間毎日続ければ分かると思いますが、子どもたちが普通に「ありがとう」って言葉が言えるようになるんです。

この「ありがとうみつけ」、「言えないときは「パス」してもOK」というルールを設定するので、はじめはほとんどの子がパスをします。

でも、1ヶ月、2ヶ月と続けていくと、だんだんと言える人数が増えていき、全員が言えるようになっていきます。


この「ありがとうみつけ」、特に、低学年や中学年だとクラスが「ありがとう」に包まれていく温かな空気を感じることができると思います。思春期で難しい高学年であっても、低学年や中学年ほどではないにしろ、だんだんと言えるようになっていくことは一緒です。

支援が必要な子がたくさん在籍していたクラスや、かなりやんちゃなクラスでもやってきましたが、この「ありがとうみつけ」だけは、間違いなく言えるようになる・・・と断言してもいいと思っています。


子どもたちが周りの子どもたちに「ありがとう」って言葉を必ず言えるようになります。これがクラスでは当たり前になるので、そのクラスの子の雰囲気がちょっと違うことは、周りの先生方が気づいてくださいます。

クラスだけでの実践ではなく、学年全体で実践だったら、学年全体の雰囲気がちょっと変わってきます。

嘘みたいですが、本当の話です。


ある中学年のクラスを担当したときは、地域の方から、

「近所の〇〇くんやけど、なんか最近『ありがとう』って言いよるんやわ。ホンマなんか・・・。学校にも言うとこうと思って・・・。」

と電話が入ったことがありました。クラスで練習をして、周りの生活の中で生かしていくことができる・・・というか、なんか生きてしまっている・・・ってことが「クラス会議」を続けていくと、「ありがとうみつけ」を続けていくと起こってしまうのです。


クラスのメンバーで支援学級の子がいても同じです。もしかしたら、かなり時間がかかるかもしれませんが、1年続けていくと、言えるようになっていきます。これは、支援学級の先生が驚かれることが多いことの1つです。「この子には無理」と決めつけずに、一緒に続けて取り組んでみてくださいね。


子どもたちに限りませんが、普通に暮らしていると、ネガティブなことに目を向けがちです。

「〇〇されて、いやだった。」
「〇〇してくれない。」
「〇〇を分かってもらえない。」などなど。

でも、この「ありがとうみつけ」の活動をやってみると、子どもたちは、ものごとのポジティブなことに目を向ける練習ができるし、クラスに温かな雰囲気が醸成されていくことを感じることができると思います。


ただ、「ありがとうみつけ」は言えるようになるけれど、クラスが完璧にうまくいく・・・ってことではありません。高学年のしんどいクラスは、やっぱりしんどいままってこともあります。ただ「ありがとうみつけ」は、いえるようになっていくのは事実です。


もしかしたら、単年度での実践ではなく、幼稚園とか、低学年とかから、継続して取り組んでいくことができれば、温かな雰囲気が広がっていって、学校の空気が変わっていくかも・・・と思っています。


ぜひ、クラスや学年、学校全体で「クラス会議」の「ありがとうみつけ」の実践をやってみませんか?

心からオススメします。


店長敬白。





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