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丸山正樹/デフ・ヴォイス考察

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2023年12月にNHKドラマ化された丸山正樹(2011)「デフ・ヴォイス」についての考察など
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#ドラマ

デフ・ヴォイス:「ただの本物」益岡さんと、荒井の通訳技能を見せる

デフ・ヴォイス:「ただの本物」益岡さんと、荒井の通訳技能を見せる

12年もの間「鬼が笑う」と思いながらもずっと待ち望んできた「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」がついにドラマ化され、先週12月16日に前編が放送されました。今日12月23日には後編が放映されます。原作本を読むのを強くお勧めしています。一応前編までの情報で書いてみます。

「デフ・ヴォイス」という原作小説は、「ろう文化」の記述に準拠して練り上げられたミステリー小説で、作家・丸山正樹の学究肌なところが

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デフ・ヴォイス(3):いじけんぼ荒井とエスノグラフィー準拠のストーリー展開

デフ・ヴォイス(3):いじけんぼ荒井とエスノグラフィー準拠のストーリー展開

去年流行した手話を扱ったドラマのご都合主義が目につく、という話を今年の正月に書いていた。誰のための「障害者の表象」なのか、読み解いていくと「孤独のアイコンとしての手話」と「業界関係者へのアピール」に見えてちょっとなーと。じゃあ「デフ・ヴォイス」はそれとどう違うのよ? というのを書いてみよう。

丸山正樹の謎「デフ・ヴォイス」の原作者の丸山正樹さんは、一体どうしてこんな小説が書けたのだろう? という

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デフ・ヴォイス:小説とドラマのテーマの違いについて

デフ・ヴォイス:小説とドラマのテーマの違いについて

「デフ・ヴォイス」後編は、草彅剛さんが、船越英一郎に見えるシーンが多くて、とてもよかったですね(ただの火サスファンのおばちゃんの言←言うほど見てない)。鬱屈した中年おじさんだと思ってたら、突如探偵になる草彅さん、もっと見たい。美和ちゃんと遊んでるとことのギャップもよかった。原作で訴えたかったろう者の不遇はだいたいカバーされていたし、2.5時間でよくあそこまでまとめたなあというのが正直な感想だ。10

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