#64 思い込みの話

お笑い芸人の四天王の一角、にしんさん（仮名）が番組で新幹線に乗っていたときの話をしていた。

隣に座った人が気づきこう言ってきたという。

「なんか面白いこと話してや」

無茶苦茶である。

さん…にしんさんは、大げさに反応して笑いに変えたそうだが、世間にはこのような職業やその人の身分に対しての思い込みは少なからずあるように思う。

偏見とまではいかないまでも、当事者としては悪気があって言ってる場合ではない時、反論するのもしらけてしまいそうで反論せず仕舞いになることが多い。

つい２ヶ月ほど前の話。

バイト先で僕がレッスン後にお客さんと話していた時にこう言われた。

「クロコくん医大生っぽくないわよね〜」

医大生っぽいとはなんだ？？？

全く悪気がなく言っているのは感じ取れたが、ふと疑問に思った。

僕はレッスンしていない普段はピアスを１つ付けているし、髪にもパーマがかかっている。
それなりに身なりを気にするので、人前に出る時には髪もセットすることが多い。

そのお客さん曰く

医大生といえば勉強ばっかりしていて、口数も少なくおとなしい印象なんだという。

僕がレッスンしている時かなりやかましいからかもしれない(笑)

周りにいた他のお客さんもその方に賛同していたので、世間的には医大生＝大人しい真面目という等式が成り立っているのかもしれない。

これは差別なのか？

他の人と差別化して言っているのではなく、無意識な思い込みだろう。

しかし思い返すと、僕にだって小さな思い込みはあった。
以前言葉遣いが綺麗で所作が丁寧で穏やかなニコニコしたAさんと話していた時に、Aさんの電話が鳴った。

僕と話している途中だったからか電話を一度切ってくれたが、もう一度鳴ったので「どうぞ、気になさらず出てください」というとAさんはぺこりと頭を下げて少し離れたところで出た。

会話を盗み聞きするつもりなど全くなかったが

電話口で「マジ！？」と言うAさんの声が聞こえた。

びっくりして思わずAさんの方を見てしまった。

びっくりしたのは声量ではない。

マジなんて誰でも言うが、言葉遣いが丁寧で穏やかな印象のAさんは言わないと無意識に思っていたのだ。

この時僕はたまたまAさんに「Aさんってそんなことも言うんですね」とは言わなかった。

しかし、口にしようとしていることが相手を不快にする思い込みになっていないか気にする必要があるなぁと感じた。