倉本菜生(ライター・編集者)
80プペルとカモられる若者
見出し画像

80プペルとカモられる若者

倉本菜生(ライター・編集者)

こんにちは、あるいはこんばんは。
元2ちゃんねらーオカルト板住人です。
朝から身の毛もよだつホラーを見てしまいました。

それがコチラ。

既にTwitterで話題となっているので、ご存じの方も多いでしょう。
キンコン西野氏が立ち上げたオンラインサロン、「西野亮廣エンタメ研究所」のサロンメンバーが『えんとつ町のプペル』映画版の前売りチケット&台本セットを仕入れるも、1セットしか売れずに自分で80回見に行くことに……

正直、下手なホラー話より怖いので、未読の方はぜひ読んでほしい。
マルチ、カルト、ビジネス系オンラインサロンにカモられる人を煮詰めたようなnote。
他の記事もざっと読んでみたものの、恐怖で吐き気がしてきたのでリタイアしました。
あの名作『ホステル』よりグロい。もはや地獄のスプラッターだよ。

というわけで、たらたらと感想を語っていきます。


何者かになりたい、何も持たない人たち

マルチでもカルトでも、カモられる人たちには特徴があります。

「何者かになりたい」「特別な存在でいたい」「人より凄い存在でいたい」

承認欲求と理想が高いんですね。
でもそれ自体は悪いことではなく、何なら私も同じ気持ちを持っています。
(プライベート垢に「誰か私にノーベル賞か直木賞か芥川賞をくれ」って呟いたら、大学の教授からいいねされた。先生ありがとう)

カモになりやすいのは、「何者かになりたい」気持ちだけ強くて、具体的に何になりたいのか、ビジョンや武器を持っていない人たちなんです。

例えば「作家として何か賞がほしい」って人間ならば、己の文章力を磨くだとか、本をたくさん読んでストーリー(ロジック)研究するだとか、投稿サイトや賞に応募するだとか、目的のための手段がたくさん浮かんできます。

しかし80プペルの彼もそうですが、「何か変えたい変わりたい、でも何をどうすればいいか、どうしたいのか分からない」という人はたくさんいます。

そんな人たちにとって、社会的肩書があり、人脈もお金もたくさん持っている大人は「凄い人」に見えるんですね。
人脈やお金を多く持っている人間は、大体が「人と違う行動」をしてステータスを得ています。
その行動が善か悪かは置いといて。

何者かになりたい、何も持っていない人(もしくは何もしてこなかった人)は、その「人と違う行動をして成功した」って部分に惹かれてしまうんです。

自分もこの人から何か学んで、同じことをすれば変われる、と。

目的はあっても手段が見えていない。そして目的すらも曖昧。
だからアレコレと手を出してみる。
何か手段をくれそうな人、モノに惹かれてしまう。
80プペルの本岡さんは、まさにこのタイプでしょう。


代理販売は悪くない。問題はやり方

Twitterを見ていると、「西野のやり方はマルチ」といった感想が並んでいます。
でもプペルに限っては、マルチではないんです。ただの代理販売。
そして代理販売自体は違法ではありません。
詳しくはこの方のnoteが参考になるかと。

私は西野さんに特別な感情も無いし、ビジネス系オンラインサロンぶっ潰してやるぜ! みたいな気持ちも無いんですが、若者に借金を背負わせるやり方は正直どうなのよと思ってしまいます。

これが同年代の話なら「あーあーどうしようもねぇな」って鼻で笑うんですが。
(ちなみに、マルチ商法の信者さんたちには昔散々嫌な思いをさせられたので、そっち系の意識高い人たちはぶっちゃけ苦手。)

下の世代の子たちが食い物にされているのは、さすがにちょっと心が痛い。この学生さんのnoteも中々キツかった。

どうも25歳以下の子たちが自主的に始めたようですが……

「今回のU25というチームが出来たきっかけも、『キリちゃんが40万円の借金をする』というリスクを背負う所から始まったんだよ。そして自分がキリちゃんを信用したのも、『リスクを背負っているこの人は必ずやり遂げる』と思ったから。リスクがあるところに人は集まるんだよ。」

一応は良識ある大人として言いたい。
「借金はリスク、将来のための投資」なんて言っちゃう人間は信用するな。
個人が勝手にやる分にはいいけど、他人に勧める奴は疑え。

結果的にこの学生さんは25万円も投資したようで……
彼女は全額回収できたのでしょうか。最新の記事を見るに、あまり良い方向には進んでいないようです。

彼女も前述した「カモられやすい人」の特徴を持っています。
この子の場合は自分に自信がない(だから引っ張りあげてくれる人を求め、その人に心酔する)って傾向が強め。

彼ら・彼女らは「思考停止」していない

私も「意識高い系の大学生」だったことがあるので、彼ら・彼女らの気持ちは色々分かるんですよ。自分が通った道だからこそ、キツくて見ていられないんですが。

ところで、一時期流行った「思考停止」という言葉。
搾取する側もよく使っているし、食い物にされている人に対しても使われていますよね。

思考停止しているから騙されるんだ、と。

私これにはちょっと懐疑的で、「カモられてる人たちは思考した上でカモられてるのでは?」と思っています。

おそらく、彼ら・彼女らも思考はしているんですよ。
考えた末に決断しているんでしょう。
その思考過程や認知に問題があるだけで。
(単に経験不足ゆえの過ちもあるだろうけど)

で、アホだからカモられるわけでもない。
オウム真理教が良い例なんですが、あの当時何人の高学歴社会人・ジャーナリストがミイラになったか。

「意識高い系大学生」だった私も、思考した末に意識高い系になった。
上手いこと、何か心で求めている部分を刺激されたんですよね。
それがある人にとってはお金かもしれないし、「凄い人」「周りと違う人」ってラベルかもしれないし。

私よりしっかりしていて賢かったはずの友人も、お金に対する心理的欲求を刺激されてアムウェイに入っちゃいました。

足りない部分を満たしてくれる人の言葉は、神の啓示にも思える。
啓示に対して思考はするけど、そこに客観視は入らない。

だから「盲目信者」なんて言葉もあるのだけどね。


noteのタイトル、付け方でも教えてるの?

さて、「怖くてエグいもの読んでしまった……」ってヘドロを吐き出したくて書き出したので、構成だとかロジックだとかぶん投げたnoteになりましたが。

今回引用した本岡さんとさいとうしほさんのnote、タイトルの付け方に共通点があると思いません?
西野アンチ、養分m9(^Д^)プギャー勢が思わずclickしたくなるようなタイトルじゃないですか?

「おうおう、なんや失敗したんかwwwww」って思って開いたら、真逆のキラキラ意識高い構文。
アンチ釣ってアクセス数上げようぜ! みたいな指導でもしているのかなって勘ぐっちゃいました。
(私の性格が悪いだけって気もする)

webメディアでもあえて強いタイトルにすることは多いので、それを倣っているんでしょうけど。

プペルの件、いちばん可哀想なのは製作に関わったクリエイターたちかもしれません。
絵本の時点で騒動があり、今度は映画。
Twitter界隈でも「偏見の目無しにプペルを見れない」という声が多く、私もそのひとり。
作品に罪は無いと分かっていても、余計な情報がちらついてしまう。

なんにせよ、80プペルニキこと本岡さんには「今がチャンス!」と思って頑張ってほしい。
多くのネット住民が君に注目しているぞ!
このビッグウェーブに乗れなければ君はただの人で終わってしまう!

そしてカモられてる人を笑っているアナタも私も、いつ自分がカモになるか分からないんだと自戒して生きていきましょう。

よく分からないまま、了。


(追記:2021.1.20)


このnoteで引用したさいとうしほさんから、このようなリプが届きました。


noteも拝見しましたが……
んんんん~~~違う、そうじゃないんだよなぁ~~~~
借金したかどうかは表面的な話であって、本質はそこじゃないんだけどな、んんんんん~~~

と、モヤモヤし、今回の件を知っている友人複数に連絡して「ちがうそうじゃない」「モヤモヤする」と語り合ったものの。

「流石にこのモヤモヤは言語化できないわ」と言う私に、友人のひとりが「宗教対立だから言語化できたところで誰も幸せにならんよ」と。

それもそうだ。
元々この件に関してはこれ以上言及するつもりも無く(それこそ平行線の議論にしかならないので)。
せっかく直接連絡をくれたので、さいとうしほさんには以下のように返信しました。

スクリーンショット 2021-01-20 134745

スクリーンショット 2021-01-20 134818

多分すごく素直でいい子なんだよな、さいとうしほさん……。
がんばれ、としかもう言いようがないので、暖かく見守りますか。

(追記②:2021.2.9)

この騒動の裏で私自身に起きていた事、この記事で伝えたかったことの「本質」について綴りました。

編集後記、裏話としてご覧くださいませ。




この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
倉本菜生(ライター・編集者)

おもしろいと思ったらサポートよろしくお願いします。サポートは書籍購入に使わせていただきます。

倉本菜生(ライター・編集者)
フリーで記者、web編集者をしている人。 「日刊SPA!」「ナナミル」等 大学院にて歴史学を専攻。専門領域は日本近現代史。 noteでは読者目線を気にせず、好きに綴っています。 ダークサイド8割、ほっこり2割です。 過去を昇華するための執筆活動も兼ねています。