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抱きしめられたかった、あなたへ

20代の後半、自分のセクシャリティに悩み、
自分の人生に絶望していた。

結婚して子どもを産み、
次のステージへと進んでいく周りの友人たちを見ながら、
どこへもいくことの出来ない孤独感と焦燥感。

仕事も老後も家族も、自分の将来への希望が見出せなかった。

友人にはカミングアウトをしていたけど、
多くの友達や職場、家族には伝えていなかった。

仮面をかぶって二重の生活をしているように生きている辛さ、
自分らしく生きたいという思い、
そして僕だって「ふつう」に幸せになりたいという思いが湧いてきた。

自分の人生を切り開くのは自分しかない。
そう思ったら、カミングアウトしかなかった。

新年のはじまりに、
「職場でのカミングアウト」と「両親へのカミングアウト」を
やることリストに書き込んだ。

あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる

友人のSNSに流れてきたOUT IN JAPANで被写体を募集しているというのを見た。

レスリーキーってなんか有名なフォトグラファーだよね!

めっちゃいいじゃん!
というミーハーな気持ちでサイトをのぞいてみた。

「OUT IN JAPAN」とは、
日本のLGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、
市井の人々を含む多彩なポートレートを様々なフォトグラファーが撮影し、
5年間で10,000人のギャラリーを目指すプロジェクトです。

<中略>

セクシュアル・マイノリティにとってカミングアウトは段階的なものであり、
ひとりひとり、そのタイミングや方法は違います。

カミングアウトをしないという選択をする人もいます。

「OUT IN JAPAN」では、カミングアウトをしたいと願い選択する人を、
やさしく受け止め応援できる社会づくりを目指しています。

OUT IN JAPAN

「あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる。」

このキャッチコピーに震えて、しびれた。

そして自分もスポットライトを浴びる舞台に立つことを想像して、
身震いがした。

これだ、これ!と思った。

会場は渋谷のTRUNK BY SHOTO GALLERY、
衣装とスタイリングはGAP、メイクは資生堂。

撮影はレスリーキー。

目を閉じた写真と、
目を開いた写真の2枚を撮影した。

フォトグラファーはレスリーキー

抱きしめられたかった、あなたへ。

30歳の時、
『大ちゃんの重荷をとってあげたい』
そう言ってくれた友人たちが、カミングアウトへの背中をぐっと押してくれた。

カミングアウトは笑えるくらい、いつも呆気ない。
それまで逡巡していた自分を思い出すと可笑しいほど!
みんな変わらず優しくて、それまでよりも愛をもって僕に接してくれる。

20代、消えてなくなるんじゃんないかというぐらいの孤独。
先の見えない不安、家族、老後。生き辛く、苦しい。誰にも会いたくなかった。
他人と比べて、ないものを探しては、瞳を閉じていた。

カミングアウトは勇気がいる。
だけど、誰も代わることの出来ない自分の人生がある。
うらも表もない、あるがままの自分でありたい。
新しい景色をみたいから、これからも僕は小さな一歩を踏み出すよ。

いつだって僕の幸せを願ってくれる愛すべき友人がいる。
あるものを数えて、この瞳を輝かせていきたい。

冷たくカサカサだった手を、温かくなるまでさすってあげたい。
『大丈夫だよ!』っと、やさしく抱きしめてあげたい。
あの頃の僕と、いまも不安と孤独の中にいるあなたへ。

OUT IN JAPAN

実家で両親へのカミングアウトの後、
東京へ帰る新幹線の車内で、上記の「次の誰かへのエール」を書いた。

OUT IN JAPANの撮影に参加しようと思ったあの時、
あっ、結婚式の仕事したいな。
LGBTQの人の結婚式を作る仕事をしたい!と思った。
そしてなぜだかそれは、自分には出来ると思った。

未来が見えなかった20代後半、もしロールモデルがもっとたくさんいたなら。
もっと若い時に、自分も結婚(式)できるかもしれないって思えたなら、
きっと今とは違った人生があったかもしれない。

夜明けを目指して

コロナ禍に入った頃に、
LGBTQの教育事業をおこなっているNPOの研修を受講をして、
ときどき学校で講師をしている。

小学校、中学校、高校、教職員向けなどに
LGBTQや性の多様性の出張授業を行っている。

子どもたちはとにかく柔軟で、
はじめて出会う目の前にいる当事者を素直に受け入れる。

そして、
「もしまた自分が当事者と出会ったら、どういう対応するのがいいのだろうか」
「もし友だちにカミングアウトをされたら、何て言ってあげるのがいいのだろうか」と
一生懸命に自分で考えて、想像して、思いを馳せてくれる。

小学6年生100名へLGBTQと人権の授業
質問タイムはいつも活発!

授業に行くたびに思うのは、
いつかこの子どもたちが大人になる頃には、
誰もが自分の好きなものを選び、
誰もが自分の選択で結婚ができる社会が実現していたらと願わずにはいられない。

Revolvoのロゴのカラーが、僕はとにかく気に入っている。
夜明けのような淡い色合い、祝福と歓喜に満ちたきらめく光のようで。

僕たちはあらゆるところでアップデートを求められているけど、
社会は少しずつ前進している。

いまはまだ日本では同性婚はできないけども、
男性同士でも女性同士でも結婚式は行うことはできる。
自分たちがこの人と生きていきたいと願う気持ちを、祝福することはできる。
そしてパートナーの前で、多くの人の前でそれを宣言する。

自分が何者かわらかず、どこへもいけずに孤独に震えていたあの頃の自分と、
いまも不安と孤独の中にいるあなたへ、夜明けの光になるような。

ふたりの人生に、その想いと願いに寄り添った、
そんなサービスを届けていきたい。


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