ライトノベル第三章六話【これからのサポートドラムはおまえだ】

「マジかよ・・・。」
 しんっ・・・と静まるスタジオに律の声が響き、それぞれが我に戻る。
「本当にバンド未経験だったのか?」
 奏も想定外以上の出来上がりに驚く。
「えっと・・・あの?」
 美琴は俺に答えを求めるように訊ねてくる。本人もまさかいきなりセッションになるとは思っていなかったのだろう。俺たちもそのつもりはなかった。
 だが突き動かされた。それだけの力が美琴にはあるということだ。
「合格だ。」
「え? あの、なんの? なんの合格ですか?」
 キョトンとしている美琴。律がしびれを切らして割り込んで言う。
「決まってるだろうが!DOOMSDAYの練習につき合えってことだ!」
「DOOMSDAYの練習に? え? えっ?えぇぇぇぇーーー!」
 誰よりも大きい声で叫んだ。それから俺を見て
「冗談ですよね?」
 と聞く。そんな美琴を奏は楽しそうに笑いながら見ている。俺は美琴に
「俺は冗談でこんなことは言わない。」
 と返すと、奏が
「それは本当のことだよ〜美琴。詩音には冗談を言える甲斐はないね〜。」
 と俺をディスる。いつもなら睨み返しているところだが、この流れがいい方向に向かうのなら、聞き流すのが正しい選択だろう。
「本当に?」
 美琴の声が震えている。
「何度も言わせるな。それとも不満か?」
「そんなことないです。嬉しいんです!」
「そうか。なら、それでいい。律も奏も合格だと言っている。自信を持て。」
「・・・はい!」


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