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世界文学全集 備忘録

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バルザック

バルザック

バルザックは、
人の性質を、巧みに言葉にする。
例えば:

「ご説ごもっともですわ、
伯爵はおしゃれ女のように神経質なんですもの」
気違いという観念を穏やかにするため、
言葉をわざとやわらげて彼女はそう言いました。

全く傷つけない言葉によって、
性質の細部が描かれている。
読んでいる方も 嫌な表現がなく、読み易い。

読者への問いかけも、
わざとらしい所が無い。

だが、これらの問題は
社会の不

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『モンテ・クリスト伯』デュマについて

『モンテ・クリスト伯』デュマについて

小説を読むと、作品の中に著者が立ち現れて、
著者と読者の2人が対峙する。
という経験があるだろう。
『モンテ・クリスト伯』において、
主人公、モンテ・クリスト伯は、著者アレクサンドル・デュマ
そのものである。

モンテ・クリスト伯は、巨万の富を使って、
アラビアンナイトの世界から抜け出て来た人の様に
復讐を遂げていく。
その痛快さ。
伯爵が自分の正体を明かして、
復讐相手が取り乱し、
神の御心を知

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『赤と黒』スタンダールについて

『赤と黒』スタンダールについて

世界文学全集月報「スーパーマンの興味」佐藤 朔 によると、

フランスではよく「あなたはどんな小説の主人公になりたいか」という
アンケートをする。するとスタンダールのジュリアン・ソレルとか、
ドフトエフスキーのムイシキン公爵とか、いろいろ答えが出る。
これは案外その人の性格や夢想や理想が分かる質問である。

ここに出て来る、ジュリアン・ソレルが『赤と黒』の主人公である。

乱文、悪文になるのは覚悟

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『若きウェルテルの悩み』・『ファウスト』について

『若きウェルテルの悩み』・『ファウスト』について

1962年株式会社新潮社発行の
『若きウェルテルの悩み』(Die Leiden des jungen Werthers)
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)

前書きにこう記されている。

哀れなウェルテルの身の上について探せるだけのものは
熱心に探し集め、ここにこうしてお目にかけてみる。
諸君はウェルテルの精神と心根とに感嘆と愛情を惜し

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