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ワークマン式「しない経営」(2)

昨日に引き続き、ワークマン式「しない経営」から。筆者がワークマンにやってきた話から始まり、ブルーオーシャンをどう見つけたか、「しない経営」とは何ぞや、と話は進んでいく。後半は「エクセル経営」の話がメインである。

昨今はAIを使ったビッグデータの処理、というのがトレンドになってきているが、AIは要らない、エクセルが良いと筆者は言い切る。その根本の思いは全員参加の経営、という理想像だろう。経営に全員が参画するためには、誰しも使えるツールでないといけない。そのためには一部のIT技術者のみが使えるAIではダメなのだ。社員全員に経営について考えてもらう、そのためには客観的なデータが必要で、それを編集できる仕組み、エクセルを手段として用いたのは、その点に一致したからだろう。

社員を教育するという観点からも、この本の有益性がわかる。エクセルを使ったデータ活用はゼロから始まったので、社内でも研修が多く組まれた。研修の最後に課題テストを設けたそうだが、その平均点は90点になるように設定したという。90点が平均のテスト、もし、学校だったら作った先生は失敗だった…となってしまうかもしれない。でも、自信を付けさせて「自分もできる」と思わせることが目的なのだから、こういうやり方でよい(と、考えると、学校のテストの平均点を60点にする意味って何なのだろう)。自信を持った社員は、自分からどんどん取り組むようになる。結果として、エクセルを取り組み始めて半年で、社内の解析ツールを作ってしまったというのだから驚きだ。

一人が突出しなくていい、普通の人による普通の経営、余人をもって代えがたしではいけない。これらのキーワードだけでも、今までの経営の価値観とは異なっているように感じる。一人一人の意識を変えるには会社の仕組みをどう変えたらよいか。自社に対しては自社のやり方があるはずなので、これをそのまま真似してもうまくはいかない。コンセプトは理解したうえで、試行錯誤が必要なのである。

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