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氷菓

最近、米澤穂信さんの古典部シリーズを読み返すことにしている。私の本棚で記事を書いたときに、大切にしているけど最近読んでいないよなと思い返したからだ。

古典部シリーズは、この「氷菓」からすべてが始まった。主人公は高校1年生の折木奉太郎|《おれき ほうたろう》、省エネ主義をモットーとしている。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」、この言葉が何回か出てくる。シリーズものなので、この後も何冊か続くのだが、第1作でよく出てくるフレーズな気がしている。

この省エネ主義の主人公が高校に入学し、古典部と呼ばれる部活に入部したところからストーリーが始まる。誰も入部して来ないと思いきや、なんと先客がいたのだ。その先客、―のちに古典部部長となる千反田える―、がいた部屋が密室なっていたことが発覚し、その謎を解いていく。そうして、この古典部シリーズが幕を開けた。

いわゆる学園モノが好きな人ならばハマる作品だと思う。加えてミステリーなのでミステリー好きにもオススメである。氷菓が有名になったのは、おそらく京アニのアニメの貢献が大きい気がするし、アニメ化されるくらいの小説って原案が無い分、ある意味難しそうである。氷菓は小説がアニメ化されたという例の筆頭に来そうである。

氷菓というタイトルは、古典部の文集の名前から来ている。その文集にまつわる謎を解明していくのが本書の目的地なのだが、一文化部の活動でここまで話を広げられて、それがしかも興味深いというのが凄い。すべては学校内で起こっていることなので、フィクションと言えども現実とそう遠くないところにある(もちろん、こんなミステリーが隠れていること自体はフィクションであるが)。だから、ちょっとありそうな感じを演出させているストーリー構成が一つの魅力なんだと思う。

古典部4人のキャラクターの魅力も然ることながら、どうして「氷菓」というタイトルなのかは、最後のほうで明かされる。その謎を解いていく過程も含めて、引きこまれる作品である。オチがわかってるのに、読み返していて本当に楽しいなと感じた人間がここにいることは間違いない。

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