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一穂ミチ「光のとこにいてね」を読んで

よい。よいよい。
ストーリーにすっごい引き込まれた。
のめりこめた。
「小説読んだーっ!」って気になりました。

青春の爽やかさあり、社会への問いかけあり、ミステリー要素あり。

恋愛小説とも青春小説とも分類しがたい。

でもしっかりと王道の小説。

ノミネート作品の読了9作目。
これこそ本屋大賞めっちゃあると思う!
(毎回言うてる)

第168回直木賞候補作&2023年本屋大賞ノミネート‼


刊行以来、続々重版。大反響、感動、感涙の声、続々!
令和で最も美しい、愛と運命の物語


素晴らしい。久しぶりに、ただ純粋に物語にのめりこむ愉悦を味わった。
さんざん引きずり回された心臓が、本を閉じてなお疼き続ける──そのまばゆい痛みの尊さよ。(村山由佳)

まぶたの裏で互いの残像と抱き合っていた二人のひたむきさが、私の胸に焼き付いて離れない(年森 瑛)



――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。


――二人が出会った、たった一つの運命
切なくも美しい、四半世紀の物語――
Amazon 内容紹介

果遠の強さ。すごいなー。
こうありたいと思わされる。
特に、瀬々との向き合い方はいいなーって。
あっけらかんとしていて湿っぽくない。

逃げたって解決にならない、なんて言う人は想像力がない。逃げは立派な解決策なのに。
本文より
あの子の好きにすればいい。わたしだって学校嫌いだったから自信持っておすすめしてあげられないんだよね。
本文より
わたし薄情だし、基本的に人のことはどうでもいいから溜め込みようがないもん
本文より


和歌山県串本町。
鮮やかな情景が浮かぶ。特に海と空、水平線。
そしてなにより雨の描写がすっごいリアル。
上手すぎ。俺んとこにも台風きてたんちゃうかな。

ほんとに行ってみたい。
映画化もいいんちゃう?映像も見てみたい。

https://www.town.kushimoto.wakayama.jp/gyosei/kushimoto-town/gaiyou.html(串本町公式HPより)


果遠と結珠はギュスターヴ・ル・グレイのような海は見れたかな。

https://www.metmuseum.org/ja/art/collection/search/261941

あと、藤野先生の寛大さ。
「汝、星のごとく」の北原先生といい、「宙ごはん」のやっちゃんといい。
どうしてこんなに優しいん?

僕も、誰かに手を差し伸べることができるような人になりたい。

いや、でもその考えは違うかもしれない。

それは心じゃなくて家が広いおかげだね。
 〜略〜
いやな顔見せずに済んでる。
 〜略〜
当面の面倒を見るくらいの経済的な余裕はある。
本文より

そうか。
これは「そんな人になりたい」じゃない。
人の性格とかじゃなくて。

そんな状態でい続けたい。
その判断ができるような精神でいたい。

片手を開けておく

そんな風に考えていたい。


元消防士の水人にもやっぱり感情移入しました。

僕も消防士として、いろんな現場行って思うこともあります。

救急とか特に、社会問題そのものに触れる機会が多くて。
自損、精神疾患、認知、老老介護、ヤングケアラー、虐待、オーバードーズ。

色んな事情あるよね。
全部まともに考えると本当に潰れる。
自分の精神を保つ為にも、ちょっとドライになっちゃうとこある。

人を助けるって仕事。複雑だなー。

出来る範囲で、出来ることをする。
それしかないんかな。


この川上弘美さんとのもすっごいおもろいよー!

虐待をしてるわけじゃないけど、子どもを傷つける親の話。
タイトルの語感の不安定さが結殊と果遠にあってる。



ほんとすごいよかったなー。
読んだ後の満足感がいい。
そう、「満たされた」って表現が近い!

これは書評なんて語るより、ただ読んだらいいよ。
自信を持っておすすめ。
皆さん是非!!

以上

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