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キャッシュレス派、でも現金は持つ


日常生活で現金を300円だけ持つ理由

 私は日常生活は、ほぼキャッシュレス決済で完結している。故に普段はキーケースとして使用している、abrAsusの小さい小銭入れに100円玉3枚を入れているだけで、それ以外の現金を持ち合わせず出掛けることがしばしばある。

 無論、現金を殆ど使わないため、基本的にキャッシュカードは年間通しても、片手で数えられるレベルで出番がなく、故に普段は家に保管して、財布に入れて持ち出すことは滅多にない。

 そんな、大の大人の所持金が、たったの300円と思うかもしれないが、これが日常生活の非常用現金としては、スリ被害に遭っても惜しくない少額でありながら、案外用途は幅広くて絶妙なのだ。

 喉が渇いたが、スマホが充電切れとなり、クレカが使えるようなコンビニやスーパーがない時に、自販機でペットボトル飲料は買える。

 バイカラー・クラッド貨幣の新500円玉1枚だと、読み取り機が未対応で詰む可能性があるが、枯れた技術の100円硬貨であれば、そのリスクもない。万が一、1枚くらい読み込めなくても、3枚もあれば、そのうちの1〜2枚は読み込める筈であり、何かしら飲み物は買うことができる可能性が極めて高い。

 田舎なら、街の銭湯にふらっと立ち寄れる金額でもある。現金しか使えないお店で缶ビールが安売りされていても、350ml缶なら1本は買える。

 最近のスマホは充電が切れても、予備電力機能でSuicaが使えたりするが、それがダメになっても、300円あれば電車やバスが近距離は利用できるため、日常生活レベルのお出掛けなら、それくらいでどうにかなる。

 利用したことはないものの、最終手段として、交番で公衆接遇弁償費として、1,000円は借りられることを知っているから、片道1,000円(JR幹線なら60キロ以内)の範囲で外出するなら、万が一、出先で一文なしになっても、家の鍵さえ持っていれば、取り敢えず帰れる訳で、どうにもならない事態に直面する方が難しい。

 旅みたいな、明らかに長距離を移動する用事が控えているならば、その時の保険として、現金とキャッシュカードを分散して持っておけば良く、旅の前日か道中に、コンビニATMで現金9,000円を引き出すのがルーチンとなっている。

不慣れな旅先では、現金が何よりの保険

 日本人の感覚ではレアケースなのかも知れないが、旅先で交通機関の運休や欠航など、トラブルに巻き込まれる可能性はゼロではなく、普段の生活環境と異なるからこそ、いざという時のために現金を厚めに持っておくと、それに助けられることがしばしばある。

 先日も旅先でJRが終日運休となり、仕方なく高速バスに乗る他ない状況となったものの、Web上での予約(カード決済)では、直近の便は締切時刻を過ぎていた。運行区間の途中にある、高速道路のバス乗り場ではバスセンターもないため、完全予約制を謳う、目の前のバスに乗る術がない。

 そのため、空席があることを祈りながら、救済措置という名の便宜で、運転手の現地判断で乗せて貰うか、Web予約できる1時間後の便まで、高速道路上にあるバス乗り場で待つかの二択を迫られた。

 今回は運良く前者で、割引の類が一切ない通常運賃で、現金で前払いすれば乗れると案内されたため、藁にも縋る思いで5,000円弱を運賃箱に入れた。

 痛い出費のように思えるかも知れないが、JRに乗らなかった分で浮いた運賃、料金との差額で考えれば、実質1,000円程度の出費増で済んでいる。

 むしろ、現金がなければ旅先で不本意ながら初めて訪れた、よく分からん高速道路のバス停で、最低1時間は待ちぼうけする他ない状況だったことを考えれば、現金を持っていたことで、トラブルにスムーズに対処できた訳で、想定外の事態が起きた時にキャッシュレス決済は脆い辺りに、現金大国日本であることを痛感する。

 とはいえ、普段大金(と言っても1万円未満)を持たない人間である以上、スリには警戒しなければならず、「卵は一つのカゴに盛るな」理論で、財布は分散させているが、そもそも高城剛さんの影響もあり、お茶の袋などにお金や金券、カードを入れるため、常識人が連想する財布像からは著しく乖離している。

予定調和が崩れた状況すら楽しめるセンス

 この記事の見出し画像は、その高速バス車内で撮ったものであるが、元鉄道員の性もあってトラブル耐性は高く、イレギュラーな事態が生じたら生じたで、その状況を目一杯楽しむ方が得だと考えている。

 それこそ、私は車を所有していないため、旅行の目的地として浮上しないどころか、偶然、この高速バスに乗り込まなければ、一生に立ち寄らなかったかも知れないサービスエリアの記念スタンプを押したり、売店の軽食や特産物を物色したりと、取るに足らないどうでしょう藩士として、高速バスを満喫していた。

 都市部のロジックだと、振替輸送があって当たり前に思うかも知れないが、そもそも代替手段のない地方では、切符を握りしめて運転再開まで待つか、全額返金を受けて、自己判断で移動先を工夫する他ない場合が往々にしてある。

 そこで、なんで動かさないんだとか、振替輸送や代替バスすらないのか、だったらタクシー代くらい出せやコラと、決定権を持たない現場の係員に詰め寄ったところで、事態が好転する訳がない。

 だからこそ、話のネタがひとつ増えてラッキー位に捉えて、予定調和が崩れたスリリングな旅を嗜むのが、紳士として在るべき姿だと私は考える。それをするためにも、一定程度の現金は必要だ。 


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