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職業が社会的信用に直結する風潮は遺憾。

理解されない個人投資家。

 早期退職前の社会的信用力を利用して、エポスカードのインビテーションで、年会費永年無料のゴールドカードを手に入れ早数ヶ月。そろそろ、いかにも成金感が漂うカードデザインに飽きてきた。

 そのため、ポイ活界隈では定番となっている、JR九州が一枚噛んでいるJQ CARDに切り替えようと、即日発行に対応している九州地方某所の窓口まで出向いた。

 なぜJQ CARDが支持されるかと言えば、エポスカードならエポスポイント、セゾンカードなら永久不滅ポイントが付与されるものが、JQ CARDはJR九州との力関係、、、かどうかは定かではないが、カード発行会社に関係なく、一律でJRキューポが付与される仕組みで、発行するカード会社のポイントと等価交換できる仕組みとなっている。

 つまり、発行会社の異なるJQ CARDを複数枚持つことで、インビテーションによって、年会費永年無料ゴールド化して、特定の店舗や金額まで利用すると、還元率が1.5%超も夢ではないエポスと、ポイント交換の勝手が良いカード会社で、使い分けられるメリットがある。

 そのためにインビテーションが届いても即座に申し込まず、JQ CARDを発行してから、そのインビテーションを適用するのが定石となっているが、私はものぐさな性格故に、そんな面倒臭いことはせず、何かの機会で即日対応可能な窓口に行けば良いと思っていた。

 しかし、カードの切り替えに形式的な審査が絡むことまで考えが至らず、退職後に気付いたため後の祭り。玉砕覚悟の上で、窓口でカードの切り替えを希望した。

 ゴールドカード、それも発行会社側から、年会費は結構ですので、ゴールド会員になりませんかと、かつて優遇措置を取るに見合う属性と判断を下した、言うならば太客故、ベテラン職員から丁重に案内された。

 そこから一転、「お仕事はされていますか?」との返答に、「定職に就いている訳ではなく、株取引で生計を立ててます。個人投資家です。」と返答した瞬間に、表向きには平静を装っていたものの、内心「こいつマジか」的な雰囲気を感じ取れる程度に空気感が一変した。やはり世間に個人投資家は理解されない。

結果オーライだったから別に良いけど…

 結果として審査は通り、社畜時代の利用枠はそのままに、希望するJQ CARDに切り替わったから良かったものの、個人投資家は国内でメジャーな3大カードブラントだと、適合する職業項目がなく「無職」で申請するのが、嘘偽りもなく無難ではある。

 私はその辺りの強かさを持ち合わせている畜生故に、Web上の自己申告ではなく、あくまでも対面でカードデスクの職員に職業欄の判断を委ねることで、出来るだけカードを利用して貰いたい心理を逆手に取る。

 顧客側が有利な取扱いとなるよう目論んだ結果、職員側から「個人事業主で大丈夫です」との大義名分を頂いたため、何らやましい気持ちもなく「個人事業主」として申告して、一件落着となったものの、個人事業主でも発行会社によって審査が通らない可能性は往々にしてある。

 2ちゃんねる創設者のひろゆきさんは、ビックカメラSuicaカードを、当時億単位の収入があって、「会社役員」で申請したにも関わらず、審査落ちして、その会社の従業員である妻のゆかさんは審査が通った本人談から鑑みても、公務員や会社員が最も社会的信用が高い、日本社会の風潮が如実に現れている。

収入至上主義への違和感と簿記の大切さ。

 審査に関してはアメックスが先進的で、職業欄に資産家・投資家もあれば、収入の申告欄とは別で、保有資産の申告欄が任意で設けられている。

 富裕層の場合、お金には困っていないことから、定職に就かないケースもあり、資産を必要になったら取り崩す状況では、収入欄は意味を成さない。

 クレジットの語源にもあるように、「信用」によって掛取引が成立している以上、支払い能力の有無が確認できれば良いため、必ずしもサラリーマンとしての定期収入で、信用力を判断しない辺りは、いかにもアメリカンスタイルで、富裕層を取りこぼさない抜け目のなさに脱帽する。

 一方のジャパンスタイルだと、毎月決まった時期に一定金額の収入がある→経済的に安定している→社会的信用が高い。の不文律が根強く、会社員なら取りっぱぐれない理屈も、差し押さえ以前に、職場に支払い催促の電話が掛かると体裁が保てないと言った、村社会的な要素が大きいだろう。

 その裏返しが、世間体に影響しない会社経営者、個人事業主、投資家、資産家、無職などの属性だと、社会的信用が得られにくい側面に繋がっているのだと勝手ながら解釈している。

 しかし、本当に高年収サラリーマンなら経済的に安定していて、弁済能力も高いかは別問題とも考えられ、評価指標の固定観念を疑ってみる価値はあるように思う。

 若くして年収1000万円超のエリートでも、無尽蔵に生活レベルを引き上げた、高収入貧乏が居れば、かつての私のように、中央値レベルの年収でも質素倹約に努めることで、20代ながら老後資金問題が解決する、低収入資産持ちも少なからず存在する。

 前者が合コンや婚活市場などで覇者となり、後者はフィルタリングで端から除外されるか埋没する。高年収にこだわると「となりの億万長者」スタイルで、収入よりも遥かに低い支出で暮らす、ほぼほぼ家計が破綻しない人を見落とす可能性がある点に、収入至上主義の弱点が垣間見える。

 損益計算書の「収益」だけでは財務状況を判断しかねるのは、簿記の知識があると感覚的に理解できる。大事なのは「当期純利益」や、バランスシートの「純資産」計上額などを踏まえた、総合的な判断だろう。

 これを個人に落とし込むと、収入から支出を差し引いた、「入金(預金)力」や、保有する資産から借金を差し引いた、「正味財産」の金額が評価指標になると、埋没している「となりの億万長者」が発掘される日が来るのかも知れない。やはり簿記は大切だ。


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