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常識外れはお金持ちへの近道。

お金持ちの資産。

 こんな表題で答えが金融資産だったら、安直過ぎて失笑を買うことだろう。確かに金融資産も間違いではない。

 しかし、それならば宝くじの高額当選者が、高確率で数年経つとお金持ちではなくなっていたり、サラリーマンの生涯賃金以上のお金を稼いだであろうプロスポーツ選手が、引退後に自己破産することへの説明が付かない。

 ピケティさんのr>gの不等式が証明したように、金持ちはより一層金持ちになるのが資本主義社会の筈だ。それなのに先のような億万長者から脱落する人間が一定の割合で存在するのは、偶然も含めて築いた資産を扱う能力が不足しているからである。

 私はこれを「お金の器」と称しているが、早い話、金融資産の時価総額はお金持ち具合を可視化するスコアでしかなく、資産の多寡は本質的ではない。「金持ち父さん 貧乏父さん」に、下記の一節がある。

”金持ちが持っている最大の資産は、人と違った考え方をすることだ。他の人と同じことをしていたら、他の人と同じものしか持てない。”

金持ち父さん 貧乏父さん|ロバートキヨサキ

 これを読んだ時、日本で生まれ育ったことを軽く後悔したように記憶している。国が安定的に税収を確保するために、安定収入が得られるサラリーマンを量産するための義務教育の段階から、他人と違う考え方をする人間ほど、同調圧力によって潰されるからである。

 この傾向は社会に出れば更に強くなる。これは抜きん出るような存在を見つけると、瞬く間に寄ってたかって引き摺り降ろす、村社会特有の嫉妬心から生まれているものと思われる。

 建前上はみんな自由で平等の民主主義となっているが、実態としては横並び意識が強く社会主義と遜色ないことは、ライブドア事件や、日産元会長ゴーンさんの件、阿武町の4,630万円誤送金問題を見ても明白である。

 既得権益のある人間を脅かしたり、大衆を敵に回すと適当な罪をでっち上げて逮捕するような国家なのだから、イノベーションは生まれず、経済的にも没落して然りである。

 しかし、周囲の言う通りに行動したところで、お金持ちになれることは殆どない。一時的に人が離れたとしても、他人と違う考え方でなければ、お金持ちになることは難しいのである。

独自性を貫く。

 私はSNS上で、同じサラリーマンから蓄財や運用に励んだ結果、経済的に独立(FIRE)した人や、その渦中にある人の投稿を見て、経済ニュースの捉え方や、考え方から思考パターンの引き出しを増やすように努めているが、共通して言えることは、総じて何かがブッ飛んでいたり、全体的にクセが強いことである。私も例外ではない。

 よくお金持ちは孤独なんて言われるが、お金持ち特有の考え方が独特で浮世離れしているが故に、一般には受け入れられず、お金持ち同士でしか交友関係を持たないことから、お金持ちはひとりの時間が長い印象で、孤独が連想されるのかも知れない。

 それに、闇雲に人脈を広げたところで、カネ目当てのテイカーが集まってくるリスクが高くなるだけだから、疑心暗鬼になる位ならひとりのほうがラクな気持ちは何となく察しが付く。

 変わり者というレッテルを貼られることにより、一時的に周囲から人が離れるかも知れないが、他人に合わせる仮面から開放される分、私は我を貫く方が長い目で見てトクするのではないかと考えて、ありのままの自分で居ることを心掛けている。

自分の直感を磨き、それを信じる。

 個人投資家の9割が負けるなんて言葉があるが、私は根っからの高配当兼バリュー投資で、安定的に簿価ベースで4%前後の配当金と株主優待を受け取りつつ、ポートフォリオ全体で1割以上の含み益が出ているから、にわかに信じがたい。

 もちろん、疫病による暴落時には含み損を抱えたりもしたが、狼狽売りして退場するどころか、キャッシュが枯渇するまで落ちるナイフを拾い続けてバーゲンセールを楽しんでいた。

 しかし、同級生と財テクの会話で、勝っている銘柄の情報共有をする際に、勝っている定義(含み益の割合)がせいぜい+10%と聞いたときに衝撃を隠せなかった。

 個人的に銘柄を根気よく探し、タイミング良く保有出来れば、半年で+20%、一年で+40%程度は射程圏内だったからである。それだけリスクを取っている訳だから、マイナスになるときも然りで、もちろん読みが外れることもあるし、全部が自分の実力とは思っていないが、トータルではプラスで推移している。

 そんな具体的手法を説明している途中で、凄いけどマネは出来ないと言われたことで、自身の感覚が一般と乖離していることを客観視する運びとなった。

具体例。

 2020年の疫病によって医療や医薬品、衛生用品関連銘柄は、長期的に需要が見込める思惑から急騰し、大衆が気付いて保有を検討する時には、既に機関投資家などによって将来利益の期待を織り込んだ株価まで上昇しているのが常である。この土俵で実利を得ようとしても難しい。

 そこで私はキリンHD(2503)に目をつけた。11年ぶりにビール首位を奪還したあのキリンである。実は医薬品メーカーの協和キリン(4151)を傘下にしており、株式の半分以上をキリンHD(2503)が保有している。

 つまり、共和キリン(4151)は既に割高で旨味がない状態だが、キリンHD(2503)の株式を保有することで、共和キリン(4151)の利益を半分享受できるに等しいと考えたのである。時価総額も親会社の8割程と存在感があり、我ながら悪くない考えだと思っていた。

 その頃、親会社であるキリンHD(2503)は、年々市場規模が縮小傾向のビール産業にダメ押しする形で、疫病による宴会需要が消滅したことや、19年12月期時点で配当性向が高水準で減配シナリオが懸念されるなどの嫌気売りが強く、ここ2年ほど下落トレンドと不人気で、長らく割安で放置されている状態だった。

 しかし、渾身のクラフトビールである、スプリングバレー豊潤<496>を試飲して将来性を感じたことが決定打となり、21年12月期の優待に間に合う形で買い注文を入れ、半年もしないうちに自社株買いのプレス発表があった。2022年6月時点では、下落トレンドを脱したような値動きとなり、2割弱の含み益が得られていて、優待を捨ててまで売却するか悩みどころではある。

 株式情報サイトのスクリーニング機能は便利で使っているし、四季報の独自予想も参考にしている。しかし、それらは誰でも拾える情報であり、投資家である以上、市場参加者は当然その情報を得た上で取引を行っているものと、斜に構えた上で戦略を練ることが大切である。

 それは時に投資家のセオリーと逆行することを意味するが、自身の直感や推察を信じることが出来れば、実利を得るその時まで保有し続けられることだろう。

 マネックスG(8698)も同様で、コインチェックのネム流出事件の後、出川組が大損してビットコインはオワコンと言われ、仮想通貨取引所の利益を享受できる銘柄が割安で放置されているタイミングで保有。その後イーロン・マスク砲で実利を得ることが出来た。

 資金力のない個人投資家はそういう領域でしか、大きな実利は得られないと考えている。読者の皆様も、目の付け所が鴻海を目指して投資手法を学び実行し続けることで実利を得て頂ければ、これほど嬉しいことはない。

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