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運の良し悪しは捉え方。

 パナソニック創業者の松下幸之助さんは、採用試験で相手に運が良いかと質問して、悪いと答えた人はどんなに優秀であっても採用しなかったのは有名な話だ。そんなことで?と思うかも知れないが、このエピソードから人生において大切なものが何かを窺い知ることができる。

物事は光と影の関係と似ている。

 光が強ければ、影は濃くなる。つまり、仮にいま、あなたの身の回りで悪いことが起きていたとしたら、その影はとても濃く、反対に光も強い。違う側面で捉えられることが出来れば、強い光を味方にすることができるとも捉えられる。

 私はたとえどんな辛い状況だったとしても、この先、袋小路にならないための予防接種程度に捉えて、最終的には運が良かったと思うようにしている。

最悪なことを最良なことと信じる。

 こちらは、ユダヤの聖典であるタルムードの教えだが、本質的には同じことだと考えている。

 私は高校生の時、良い会社に入りさえすれば、一生お金に困らないバラ色の人生が送れて勝ち組になれる幻想を抱いていた。

新卒カードが台無しに…

 学校成績は平均的で有名大学に進学できるほどの頭はなかったから、競争相手の少ない、高卒の新卒カードを利用して東証一部上場企業への就職を目論んだ。企業に提出する内申書には、全教科5段階評価で4以上、部活動では部長、長期休暇では資格取得と実に優等生ぶっていた。それだけ勝ち組になるためには、同世代がまだ就活に力を入れていない時期に青春を犠牲にしてでも、就活を有利に進めようと必死だった。

 でも、本命企業の選考は杜撰な管理体制により、会場の受験者名簿に名前が載っていないという、想定外のアクシデントに見舞われた。初めての就職活動で緊張する中、本部に指示を仰ぐなどの想定外な対応の連続で散々振り回された状況下で、本領を発揮できる訳もなく、結果は不採用。人生一度きりである新卒カードが台無しになった瞬間だった。

 理屈を取って喧嘩しようとも考えたが、学校の看板を背負っているが故に、ぼくが事を荒立てることで、後輩たちの就職が途絶える事態が容易に想像が付き、泣き寝入りせざるを得なかった。当時は自分の不運さを呪いたくもなったが、今となっては入社する前に杜撰な会社であることを気付けて運が良かったと思っている。

就職先は薄給…

 そして二次募集で内定した鉄道会社は薄給ブラック企業で、当時、月250時間超働いた手取りが20万円に満たなかった。社会保険や厚生年金、住民税や財形貯蓄で天引きされているとはいえ、この有様なら、本業以外で稼ぐしかないと、投資に目を向けた。

 それなりの会社でそこそこ良い給料を貰っていたら、投資で増やそうなんて思わず、資産運用に至らなかったかも知れない。二十歳で投資の世界に足を踏み入れる必要に迫られたのは、複利を味方につける点でも運が良かったと思っている。

投資の世界に足を踏み入れるも…

 最初の投資はビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)でした。まだ、マウントゴックス事件が記憶に新しい頃、コインチェックで暗号資産に一点集中投資をしました。

 その後、出川哲郎のテレビCMによるバブル(出川組)のお陰で資産が大きく増えたのは良かったものの、ネム流出事件でオルトコインは全ての資産が凍結

 ビットコインは取引出来る状態でしたが、私はレンディングサービスに年利5%の1年もので預けていたため、万が一コインチェックが潰れたら預けたビットコインは返ってこない可能性が大いにあり、当時は物凄い恐怖感に襲われると同時に、分散投資の大切さを思い知らされた瞬間でした。

 暗号資産(仮想通貨)全体の価格が暴落している状況下で、売却して損切りすることもできず、ただ右肩下がりのチャートを眺めることしかできませんでした。当時はとても悔しい思いをしたのを覚えてますが、今となっては良い経験です。

 それから伝統的な資産である株式、債券をはじめ、金、不動産に目を付けたものの、どれに投資すれば良いのか分からなかったため、暫定的にロボアドバイザーで運用し、資産の動きを眺めてました。

 動きを観察したことで、変動幅の大きさと自身のリスク許容度が分かり、資産形成期は株式一本で運用して問題なさそうだと判断。

 また、リバランスの重要性や毎月徴収される手数料の高さに気付き、今では自分で低コストの投資信託やETF、株式を買い集めてポートフォリオを調整するまでに成長しました。

 ネム流出事件の経験があったからこそ、コロナ前に100万円程度の含み益があった金融資産が、コロナショックの影響でたった数日で150万円の含み損に転落しても、狼狽売りすることなく淡々と買い増しが出来て、買い増した銘柄は軒並み利益が出ています。

 投資額が小さい頃の苦い経験があったからこそ、大負けしない運用手法を感覚で身につけられて、結果として運が良かったと思います。

 結果として、就活は失敗し、ブラック企業に入社してしまい、暗号資産が凍結されても、最終的には運が良かったと思っている。

どれも今の自分を形成するのに必要な要素だった。

 そう信じているからです。多分、交通事故で入院することになっても、仕事が忙しかったから、ゆっくり休む機会を与えられたのだ。自分は運が良いと思うことでしょう。

運の良い人の本質は、物事の良い面を捉えられる思考力。

 結局のところ、運に良し悪しなんてなく、同じ事象が発生した時に、良い面を捉えるか、悪い面を捉えるかの違いに過ぎなくて、運が良いと思っている人は、物事の良い面を捉えられる人なんだと思う。あなたもぜひ良い面を捉えて運の良い幸福な人になろう。


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