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「家庭を持つ」とは、共同経営者になること。


長期目線で信頼関係を構築する重要性。

 私は人間関係を構築する際は必ず人伝。つまり事実上の紹介制であり、SNSやマッチングアプリの類で、インターネット上で積極的に人脈を広げる考えはない。助けて欲しい時に、手を差し伸べてくれそうもない人脈を構築するメリットはないからだ。

 そのため、友人から入籍の報告を受けた際は、相手方の迷惑でなければ、怖いもの見たさに訪問しては、友人のパートナーと顔見知りとなったり、時にはホットライン的な役割を担うこともあり、不本意ながら相互監視社会に一役買っている。

 その方が自分自身の観察眼を鍛えられるだけでなく、有事に意見を求められた際も、相手が顔見知りであれば状況整理もしやすく、客観的かつ中立的な意見を論理立てて説明できる。

 長期目線で信頼関係を構築する上で、お互いが普段どんな人と接しているかの情報は、別に知らなくても問題はないが、知っておいた方が透明性が高まって、何かとプラスに作用すると考える。

 そんなある日、所帯持ちの友人から、家庭内で諸々あってややこしい状況になっている的な嘆きの連絡が届いた。無論、独り身の私にできることがあるとすれば、愚痴を聞くこと程度なものである。

 ちなみに「愚痴」という字は、愚かな知性の病と書き、煎じ詰めると自分を、凪の山のウマシカです!とアピールしているようなものだと思うため、ニヤニヤしながら聞くことはあっても、自ら言うことは滅多にない私は恐らく性格が悪い。

似てる人と正反対な人、どちらが長続きする?

 さて、内容そのものはセンシティブなため、具体的な記載はできないが、私が知り得る情報から導いた仮説としては、割合似たもの同士のため、短期的には惹かれあっても、相互補完の関係が構築できないため、長期的には不具合が出るケースで問題が生じたものと考えている。

 恋愛結婚の罠とも言える典型例だが、恋人であれば別に似たもの同士でも何ら問題ないどころか、その方が短期的にはうまくいく可能性が高い。

 しかし、夫婦となると真逆で、家庭の共同経営者としての側面、すなわち相互補完できる関係が望ましいと考える。性質が異なる者どうしの方が、共同生活に際して時折ぶつかり合いはするものの、要所要所で折り合いをつけていくため、結果として長続きするのではないかと、独り身の分際で記している。

 独り身の分際で共同生活とは何ぞやをそれっぽく記せるのは、駅係員として24時間の交替勤務を経験したことで、赤の他人と同じ釜の飯を食い、同じ屋根の下で暮らす共同生活をした経験があるからだ。

 自分と相手との類似点が多いと、最初こそ親近感を持つものの、相手に感情移入しやすい分、自分の意思でコントロールできるのではないかと錯覚してしまう。

 基本的に似ているから、時折こだわりの違いから来る、小さな差異でも「自分のやり方と違うから気に入らない」と余計な口出しで関係にヒビが入り、最悪の場合、修復不能になる。自分と似ているからこそ、許せない感情が先走ってしまうわけだ。

 反対に全く性質が異なる相手だと、宇宙人の相手をしている感覚に近く、こだわりの違いがあっても、そもそものベクトルが違うことから「そういう考えの人もいるのか」とあっさり受け入れられたりする。仮に許容できなくても、自分の意見を論理的に説明すると案外、建設的な話し合いの末に妥協点が見つかる。

 親近感が湧かない分、一定の距離感を保てるうえ、自分とは違う能力を持っているため、有事の際にお互いで補い合う局面が出てくる。そうなると関係がより強固なものとなる経験上、後者の方が長続きする肌感覚がある。

話し合える関係が理想的。

 歴史を振り返ると、Apple共同創設者のジョブズ氏とウォズニアック氏や、スタジオジブリの共同創設者である宮崎駿氏、 鈴木敏夫氏、 高畑勲氏(いずれも出資者除く)は、一代で長期的な繁栄をものにした成功者と表現して差し支えないが、共同創設者各々の性格を見れば、似て非なる者同士の集まりだと思わないだろうか。

 恐らくAppleにジョブズが2人居たら破綻しただろうし、ジブリが揃いも揃って高畑勲のような本人は絵が描けない人だったら、制作がサグラダファミリア化して、運転資金が枯渇しただろう。

 それぞれが相互補完の関係にあって、足りない部分を補い合ってきたからこそ、長期的な繁栄につながっているように思え、この視点は家庭を持つ際にも重要ではないだろうか。

 自立した大人同士が恋愛したいだけなら好きにすれば良い。しかし、入籍して子どもを望むのであれば、子が独立するまでの20年前後の期間を、夫婦として共同経営する覚悟が求められる。

 無論、我々パンピーは経営の素人で、経営者になるための教育も、義務教育では受けていない。そんな状態で赤の他人と、20年という長期に渡り、家庭を共同経営していかなければならない。

 家計、仕事、病気、相方や子とのぶつかり合いなど、長期だと必ずと言って良いほど厳しい局面に出会す。その時に、似たもの同士だと共倒れする可能性が高いことを鑑みると、例え価値観は違えど話し合える関係が理想的で、そのためには教養レベルが同程度であることが望ましい。

 故に相手に多くを望むのであれば、まずは自分を磨くべきという、身も蓋もない至極真っ当な結論に行き着くため、これにて終わりにする。クリスマス?ナニソレ?おいしいの?

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