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社会保障制度。全世代型に改革なるか。


ひとりの生活で精一杯な状況で支え合い?

 現在の日本の社会保障制度をざっくり記すと、高齢者が年金、医療、介護の受益を、現役世代が税金や社会保険料で負担する仕組みとなっている。

 戦後の高度経済成長期は、人口ピラミッドが文字通りピラミッドの形状だったことから、人口がねずみ算式に増え続け、経済成長し続ければこの制度で何ら問題はなかった。

 しかし、現在は失われた30年から日本経済は低迷。少子高齢化から人口ピラミッドが逆三角形になっており、少ない現役世代で、多くの高齢者を支えなければならない状況となっている。

 現行のままの社会保障制度では、現役世代の負担が非常に重く、可処分所得は減少傾向。加えて最近のインフレによって、物価は上昇しているが、賃上げは財務面で体力のある大企業しか対応できておらず、恩恵を受けているのは就労者全体の3割程度で、現役世代の7割は実質賃金も1年半以上下がり続けている。

 給料は据え置きか、上がっても物価上昇に対応できる額ではないため、実質的に買えるものの総量は少なくなっている。それにもかかわらず、税負担は重くなる一方で、働けど生活が楽になることはない。

 おまけに今、高齢者を必死に支えたところで、自分たちが老後を迎える頃に今と同じだけの年金が貰えることはなく、老後資金が2,000万円不足するから自助努力で資産形成しろ。終身雇用を維持し続けるのは難しいから、自発的に学び直せ。と偉い人たちがメッセージを発している。

 これだけ将来に対して悲観的かつ、自分ひとりの生活で精一杯な状況で更に不安を煽られれば、他人を支え合う余裕などないことは自明の理で、少子化云々以前に非婚化するとともに、高齢者に対してヘイトが溜まるのは自明の理ではないだろうか。

改革には資産の補足が必須。

 とはいえ、ひとり一票の民主主義社会では、日本のマジョリティ層である高齢者ばかりが優遇される政策に偏るため、今日の若者に冷酷なシルバー民主主義社会が形成されている。

 それを若者が選挙に行って投票率が改善されたところで、結果が覆せるほどの頭数がそもそも居ないのだから、自分たちの意思が政策決定に影響を及ぼす可能性はゼロで、構造的に詰んでいるからこそ無関心を装っているのが多数派となっている。

 しかし、人口動態から結構な解像度で未来予測ができる頭が回る人であれば、このまま少子化が加速すると、日本を支える現役世代が居なくなり、街は支えられる高齢者で溢れかえる形で、社会保障制度が破綻するのが目に見えているため、抜本的な制度改革を検討しているのが現状だろう。

 そうして槍玉に上がったのが金融資産持ちで、支払い能力のある富裕層に対しては、現役世代に準じた相応の負担を求める案に行き着く。

 ただ、個人の金融資産を補足する手段が、現時点では整備されておらず、その整備が最も高いハードルとなるのは目に見えている。

 というのも、マイナンバーカードと銀行や証券口座を紐付けできれば、大凡の金融資産を補足できて解決する筈だが、昨今の不祥事からマイナンバー政策に対する国民の不信感が強いことに加えて、デジタル後進国と揶揄される程度にあらゆる手続きがアナログ主体となっている現状では、5年、10年スパンでは変わらない感覚まであるが、少子高齢化は待ったなしだ。

 2016年の厚労省の審議会と同様に、時期尚早と問題を先送りして、現役世代の負担をステルスで上げていく様であれば、既に手遅れ感のある少子化対策が、もはや取り返しのつかないレベルになっても驚かない。

低所得資産持ちに暗雲?

 そんな現役世代の気持ちを、あたかも代弁している感を出している私は、現行の社会保障制度が保有資産ではなく、毎年の所得に対して負担と便益を決定している仕組みを突く形で、合法的に重い負担を免れて、公共財の便益だけを受ける狡猾な生活を画策して、実行に移している最中である。

 歯切れが悪いのは、前年の所得があるため、現在は真っ当に住民税と健康保険税を支払い、国民年金は失業に伴う特例免除の状態だからだ。

 失業に伴い、今年の所得は基礎控除の範囲内に収まる予定のため、これにより翌年は年金が変わらず全額免除。住民税が非課税世帯。健康保険税は7割減免の措置が、申請することで実現する。

 しかし、将来的にマイナンバーを通じて資産を補足されて、少子高齢化に対応した抜本的な制度改革を行われると、ライフプランに狂いが生じる可能性が浮上する。

 当然のことながら悲観シナリオとして、どう対処するかの大枠を考える必要があり、結論だけ端的に記すと、生活コストを下げて、耐乏生活に慣れる路線が現実的な対応策となるだろう。

 そもそも金融資産がいくらあると、現役世代並みの負担を求めるのかと言った線引きが不明な以上、明確な答えは出せないものの、2024年に始まる新NISAの非課税枠が1,800万円で、老後資金が2,000万円不足するなんて試算が話題になったのだから、少なくとも2,000万円の金融資産で、負担能力があると判断するのは国民感情から察するに難しいだろう。

 次点で3,000万円となるが、これも相続税の基礎控除額となっており、将来的に減額される可能性が無きにしも非ずだが、この規模の資産に対して課税が適切ではないと現時点で考えられているなら、悲観シナリオでも3,000万円が負担能力の有無を判断するボトムと推定。

 3,000万円を年率4%で運用した時の金融資産所得は年間120万円。月換算で10万円(税引き前)となる訳で、これに年金が半額になると仮定して3万円〜を合わせて13万円と、生活保護と同水準にはなるから、この範囲内でやりくりするならば、相応の負担を求められることなく、便益が受けられる可能性が高い。

 ゆえに生活コストを下げて、耐乏生活に慣れる路線が現実的な対応策となるが、いかがだろうか。

 そもそも社会保障制度が、全世代型に改革される頃には、現役世代が働けば働いた分だけ報われる可能性も有り得るわけで、もしドラスティックに変化できるなら、素直に働くのも選択肢のひとつとしては考えられるが、少なくとも現時点では、働いたら負けだと思っている。


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