【衆議院総選挙・小選挙区展望】野党浪人生&消費税減税グループの代表を務める馬淵澄夫議員のリベンジなるか?~奈良1区編~

 今回から来たる衆議院総選挙の小選挙区展望を述べて行こうと思います。さすがに、全国289選挙区すべてを展望するのは難しいと思うので、その中でも与野党激戦区や、反緊縮派として注目の小選挙区などをいくつかピックアップして、記事を書いて行こうと思います。
 既に動画上の展望では、私が1月から毎週木曜日にレギュラーキャスター(?)を務める【打倒!!緊縮財政】という中で、緊縮財政派・増税派の選挙区を4ヶ所ほど行っていますので、もし宜しければそちらの動画もご覧頂ければ幸いです。(https://www.youtube.com/watch?v=eCbOtN9crn0&list=PLzWX3wp6mOwoPCokyRwE1lKeyef6w01-_
 具体的に取り上げた選挙区を挙げると、野田佳彦元首相の千葉4区、伊吹文明元衆議院議長の京都1区、岸本周平議員の和歌山1区、稲田朋美議員の福井1区になります。各議員の後半の動画の最後で、選挙展望を述べています。各議員とも盤石的に強そうです。
 noteで取り上げる記念すべき第1回目は、「消費税減税研究会」の代表にして、れいわ新選組の山本太郎代表の「アニキ」分的存在でもある、馬淵澄夫議員の奈良1区に決めました。それでは、まず前回の選挙結果を振り返って行きましょう。

奈良1区

 ご覧の通り、前回は自民党の小林茂樹議員が僅差で小選挙区初勝利を収めました。この要因として挙げられるのが、前回の衆議院選挙において、奈良県の小選挙区はこれまでの4選挙区から3選挙区へ、1選挙区減ったことが考えられます。これまでの奈良1区は、ほぼほぼ奈良市のみでしたが、ここに新たに旧奈良2区から生駒市が加わったのが新・奈良1区となります。この生駒市で馬淵澄夫議員が票を固めきれず、自民党の組織票に勝る小林茂樹議員がリードを奪いました。生駒市内では小林茂樹議員が23,590票で、馬淵澄夫議員が20,128 票と約3,500票弱ほど、自民党の小林議員が上回っていました。
https://www.city.ikoma.lg.jp/cmsfiles/contents/0000002/2468/senkyo05.pdf

 しかし、僅差で敗れたとは言え、惜敗率97.3%(88,082票÷90,558票)の馬淵澄夫議員は、無所属ではなく、希望の党所属で出馬したのだから、比例復活していてもおかしくはないと思えますが、結果は「完全落選」となり、議員バッチを外すことになりました。
 これはどういうことかと言うと、まずそもそも奈良県が属する比例近畿ブロック(定数28議席)では大阪を拠点とする維新が強く、また立憲ブームもあって、希望の党は僅か3議席に留まりました。それでも惜敗率が十分高い馬淵澄夫議員は比例復活してもおかしくはなさそうですが、希望の党の比例名簿を見てみると、普通の政党では小選挙区の候補者を並列で1位にするところ、単独1位に樽床伸二元衆議院議員を置き、単独2位には京都5区から出馬した井上一徳議員を比例優遇していたのです。なので、馬淵澄夫議員は比例名簿では3位で並列となっていたのですが、3番目には京都6区で、自民党の「日本の未来を考える勉強会」で代表を務める安藤裕議員に、これまた小選挙区において僅差で負けた山井和則議員が滑り込むこととなりました。こうして、惜敗率97.3%という高惜敗率を誇りながら、馬淵澄夫議員は完全落選となったのです。
 しかし、天は馬淵澄夫前議員(この地点では)を見離しませんでした。同じ近畿ブロックの大阪12区で現職の自民党議員が亡くなり、2019年4月に補欠選挙が行われることになりました。奇しくも大阪12区は希望の党の比例単独1位で国会議員に返り咲いていた樽床伸二議員の元々の小選挙区地盤で、樽床伸二議員は議員辞職を決断して補欠選挙に臨んだのでした。その樽床議員の辞職によって、山井議員に次いで惜敗率の高かった馬淵澄夫前議員が、国会議員として復帰することになったのです。(ちなみに、この議員辞職をされて選挙に臨んだ樽床伸二前議員は、日本維新の会の候補者に敗れ、国会議員に復帰することは叶いませんでした。)
 と、改めて振り返ってみると、かなりドラマティックな落選からの復活劇でしたが、選挙制度を見て行くと、なかなか選挙マニアでないと良く分からない事情となっていました。皆さん、ご理解頂けたでしょうか?そういった意味合いでも、第1回で取り上げるに相応しい小選挙区なのかなと思います。

 さて次に、来たる衆議院選挙の展望ですが、基本的に今の菅政権の低支持率が続くようでしたら、馬淵澄夫議員のリベンジマッチになるかと考えます。落選していた1年半の間に、前回の選挙で3,500票弱のリードを許していた生駒市で、どれだけ新たな掘り起しが出来ていたかがカギでしょう。マイナス要素があるとすれば、引き続き奈良1区では共産党も候補者を擁立する点と、日本維新の会から出馬するのが、以前は奈良県選出の民主党参議院議員だった前川清成元参議院議員と、かつての民主党対決になる点でしょう。前川元参議院議員がどれだけ馬淵澄夫議員の地盤を崩して来るかにも注目したいところです。最悪、小選挙区に負けたとしても、立憲民主党の近畿ブロックの比例復活枠は恐らく5議席https://note.com/researcherm/n/n1c90c50620ae)あり、前回の希望の党のように単独1位2位を置くことは考えられないので、近畿ブロックの小選挙区で、大阪10区の辻元清美議員など主要な立憲民主党議員ですらも小選挙区で負けて、立憲が小選挙区全滅にでもならない限りは、最低限、比例復活は確実なものかと思われます。
 対する、小林茂樹議員は仮に馬淵澄夫議員に負けるにしても、比例復活がかかるので、1票でも多く取って、惜敗率を高めておきたいところです。自民党の近畿比例ブロックの比例復活枠は8議席と予想しますが(https://note.com/researcherm/n/n1c90c50620ae)、大阪の小選挙区で自民党の候補者が軒並み日本維新の会の候補者に負けて行くと、大阪の自民党候補者が比例復活枠に雪崩れ込んで来ますので、近畿ブロックの自民党の比例復活枠は相当高い惜敗率の争いになることが見込まれます。小林茂樹議員も安藤裕議員が代表を務める「日本の未来を考える勉強会」の会員に名前を連ねていますので(https://nihonm.jp/caller_list)、大阪自民党の議員に負けずに、比例復活はして頂きたいと個人的には思います。そういう意味では、奈良1区は、反緊縮vs反緊縮の与野党理想的な小選挙区と言えるでしょう。
 是非、反緊縮派の両議員が今後も切磋琢磨し合って、敗れた方が比例復活に掛かるぐらいの与野党接戦区として、衆議院議員を続けられるのであれば、奈良市民と生駒市民にとっても望ましい政治環境になるのではないかと私は思います。
 今後も小選挙区展望を不定期連載して行きたいと思いますので、皆さんからも取り上げて欲しい小選挙区などのリクエスト頂ければ幸いです。

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