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君と今夜輝いて

 みんな元気?

 俺は魔の12連勤の真っ最中だ、明日で折り返し。何故こんなダークグレーな勤務をしているのかというと、俺の働く住宅業界には展示会という行事があるからだ。

 知ってる? もし知らなかったらあなたの家のポストに有無をいわせずブチ込んであるチラシを見てみよう。手に取った束のうち一枚は必ず住宅や建材の展示会の案内だ。出かけてみよう!きっと俺のような目の死んだ営業マンが出迎えてくれよう。

 昨日に設営、今日明日が本番、そしてその日の間に設営したブースを片付けて帰るのだがまーしんどい。しかも翌日から普通に何事もなかったように月曜から1週間がはじまるからまーしんどい。

 辛くて泣いちゃうのだが、俺には音楽があるから泣かない。

 今回勇気づけてくれたのが記事タイトルに歌詞を引用した一曲『SHINE ON』だ。

 こちらは2016年に復活し、コロナ以降しばらく休んでいたものの今年から再始動した伝説のバンド「THE YELLOW MONKEY」の最新曲だ。

 今月末に3年ぶりに行われるドームライブのタイトルもなっているし、来月発売の新アルバムの先鋒を務めることも決まっている。

 それを知って俺もハードルを上げて聴いてみたんだがもーかっこいいのなんの。

薔薇になってWoman
ツノ生やしてMan
ロックンロール世代
煙吐いて夜を裂くぜ

shine on shine on
夜通し呑んだらぐでんぐでんで
shine on shine on
君と今夜輝いて

 なぜ吉井和哉はこんなダサいヘンテコな歌詞を無茶苦茶カッコよく表現できるのかと衝撃を受けるし、各メンバーもこんなに装飾の少ない曲でカッケェ!と思わせられるなぁと感心する。

 引用した部分は1回目のBメロからサビに雪崩れ込む箇所なんだが、よくわかんねえ上に下ネタ臭がハンパない。ツノってあからさまに男のアレだろって思う。

 だが実際聴くとうおおおお!!!としかならないし、“君と今夜輝いて”って部分でなんか切なくて泣きそうになるのだ。

 そう、切なさ。

 この曲は明るいのに切なさを帯びているのだ。

 俺が思うに、それは作詞をした吉井和哉自身がバンドを中心とした音楽活動が終盤に差し掛かったことを意識ているからなのだと感じている。

切り刻まれても:
進むプラナリア
Sparkleの細胞 人生を塗り潰せ

 ここなんか顕著だ。

 一見すると不死身の象徴としてプラナリアを上げているように感じるが、自身が咽頭癌と闘った時の精神も反映しているように俺は思う。“切り刻まれても”とか“細胞”とか、手術や病魔を思わせるような表現だ。

 比喩というより自分が治療のために切り刻まれたから絞り出せた言葉なんじゃないか。

 切り刻まれても進むプラナリア

 なんて力強いんだろうと思う。「不屈の精神」とか「七転び八起き」みたいな言葉の解像度を上げるとこうなるのだと思う。俺も切り刻まれようと進むプラナリアでありたい。

肌はイエロー
志はブラック
金色に光ったプライドの
ラメラメの猿

肌はイエロー
眼光はブラック
銀色を散りばめた夜空と
メラメラの炎

 この部分は、Cメロ⇨ギターソロ⇨Cメロ再びという前代未聞のパートなのだが、かなり重要と思う。

 これは自己紹介、というか、終盤戦を走るにあたって自分たちのバンドを再定義しているのだろう。なんだか熱いよね。

 そもそもがイエローモンキーという、アジア人の蔑称をバンド名に採用した天邪鬼的なセンスなのに真正面から俺らかっこいいだろう?って来られると照れるしかない。

shine on
君とshine on
焼き尽くせ

 結びもこれだ。「輝こう」って曲なのに「焼き尽くせ」で終わる。「尽くせ」だよ?

 明らかに終わりを意識したナンバーだ。

 明るい曲調になんだかセンチメンタルさを感じるが、俺も今夜輝きたいと思っている。

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