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休耕地、遊休農地はなぜ農業において「問題」なのか

お久し振りです。REPOC FARMの土屋です。
2022年になりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

私事ですが、昨年9月に次男が生まれ4人の父となりました。仕事に育児にいよいよ頑張らねば!という今日この頃です。
さて、今回は私たちREPOC FARMが取り組む「休耕地、遊休農地の再生」に関するあれこれについて、私たちの経験も含めて前編・後編でお届けしようと思います。
前編では休耕地や遊休農地が増えることがなぜ問題とされているのか、そこに対して農業に実際に携わっている目線で考えていきます。
あくまで私たちのやり方なので、全ての地域に適用できるわけではありません。
その点はご容赦ください。

手入れされていない農地の問題点

最近ではSDGsなど、社会に良いこと・環境に良いことへの注目度が高まっており、休耕地や遊休農地、耕作放棄地といった言葉を耳にする機会が多くなってきました。
これらは元々“畑”だった場所で、人手不足や後継者問題など諸々の理由によって“畑”として活かされていない場所がそれにあたります。
それぞれ言葉が違うのは、厳密にいえば土地の状態が異なるということなのですが、今回はその説明は割愛します。
そもそも人の手が入っていない農地があることは「問題なのか」ということです。もちろん、せっかくの食料生産の場なのにもったいないということもありますが、さらに大きな問題もいくつか秘めています。

①草との闘い

1つ目は、言わずもがなですが、雑草問題です。
かつての昭和天皇は「どんな植物でも皆名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草と決め付けてしまうのはいけない。」と仰ったそうです。生物好きとしては「確かに!」と思うところもあります。
一方で、”特定の植物(=野菜)”で生計を立てている身としては、“雑草”はなかなか扱いの難しいヤツらです。
なぜかというと、農地はある程度密集して設けられているため、1区画だけでも雑草畑があると、そこから延々と雑草の種が周囲の畑に供給され続けてしまうためです。
私たちが農地を借りるために視察した時も、隣の畑の雑草の綿毛(種子)が、紙吹雪のように舞い上がっていました。綿毛は、「ビニルハウスの換気口からも入って厄介だ」と近隣の農家の方も仰っていました。種は一旦蒔かれると、なかなか排除できないので非常に厄介です。
耕地や遊休農地、耕作放棄地などは、これらが生い茂り、雑草を取り除くだけでも大変な労力がかかってしまいます。(そうでなくとも、農地では日々雑草との戦いがあるのに)

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②虫との闘い

2つ目は、病害虫の温床となる問題です。
野菜につく病害虫は、もちろん野菜だけではなく、雑草などにもつきます。野菜を大きな仲間ごとに分類するとイネ科やアブラナ科、ウリ科が目立ちます。
コオロギやバッタ、イナゴ、カメムシ等はイネ科の植物を、モンシロチョウやカブラハバチ、ヨトウ類はアブラナ科を、メイガ、ウリハムシ、カメムシはウリ科の植物を主に食べます。雑草にもイネ科やアブラナ科、ウリ科のものは多いので、そこから害虫が隣接する畑に飛散してきます。
つまり、これらの病害虫が駆除されずに放って置かれている土地があるだけで、近隣の農地にまでダメージを与えることに繋がってしまうのです。
私たちの畑も、草むらに隣接する所は病害虫の被害がひどかったので、少し余白を作って作付けしています。

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③動物との闘い

3つ目は、害獣問題です。
美味しそうな作物がたくさん実る畑の横に、ちょうど目隠しになる鬱蒼とした茂みがあったら・・・想像するのは簡単でしょう。やはり私たちが畑を借受けた細の話ですが、茂みの中に一ヶ所空間ができていて、大量のトウモロコシの皮と芯が散らばっていました。どうやら、アライグマが隣の畑で“サラダバイキング”をして、テイクアウトして来ていたようです。獣は餌場が決まっていることも多いので、餌場の認定を受けてしまうと厄介なことも多々あります。

いかがでしょうか?
後継者不足など、様々な理由で就農者が手放してしまった農地が遊休農地や耕作放棄地となると、単純に食料自給率などの問題だけでなく、その地域で農業を続ける人たちにとっても深刻な影響を及ぼすことがあります。
私達は、偶然にも遊休農地を再生するという形でREPOCFARMを運営していますが、遊休農地を再生させているからこそこれらの問題に対して切迫感を持って理解することが出来ました。
後編では、このような休耕地や遊休農地を増やさず活用していくためにどんなことをしたら良いのかということをお話ししていきたいと思います。

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