見出し画像

【プロジェクトマネジャー向け】監視型マネジメントよりもビジョンとインセンティブで生産性は高まる

マイクロソフトの記事で、

「雇用主が従業員を監視し、キーボードの入力歴やマウスのクリック歴といった記録を取るのは、やってはいけないことだと考えている。そういう行為は結果ではなく熱意を測定しているようだと、いろんな点で思われるからだ」

というニュースを見ました。
こちらのニュースによると上司の約85%は、部下が十分に仕事をしているかどうか分からないと不安に思う一方で、部下の87%は生産性に問題はないと考えているとのことですが、期待値が完全にミスマッチしているようにも見えます。

監視は人権問題となる可能性もある

とある会社の例ですが、オフィスの真ん中に営業部長が座っており、全営業社員のデスクを一望できるレイアウトであり、営業社員がデスクに座っていると「なぜ社内にいる?客先に行け」とプレッシャーをかけられる状況について、笑い話で聞いたことがあります。

この営業部長は、営業社員の行動について逐一監視して、行動を指導する形をとっているようにも見えます。
しかしこういった事例は、現代ではあまり望ましいことではないように思われます。
そして、マイクロソフトの事例では、テクノロジーにより監視能力をさらに促進してしまう懸念があったということです。
こういった監視は社員の人権や心理的安全性を害する可能性もあり、プライバシー団体が懸念を示すような状況になっているのです。

なぜルールがあるのか?

ところで監視と関連しそうなこととして「ルール」があります。
なぜルールはあるのでしょうか?
小さな組織であればルールは少ないものですが、組織の人数が増えてきた場合に、問題行動が一定確率で起きる場合があります。
その問題行動を抑止するためにルールは作られていきます。

ルールとしては
・組織に損害となる背信的行為はないか
・規律からの逸脱はないか
・正常性からの逸脱はないか
といった観点が設定される場合があります。

こんな固いルールは無関係だ。と思いますが、大企業に勤めている場合は、きっと就業規則などに書かれているはずです。
日本にお住まいの皆さんはきっと、法律というルールがあるはずです。

なぜ監視を用いようとするのか?

ほとんどの社員は善良で、ルールに違反することはないと思われる場合でも、なぜ監視は生まれてしまうのでしょうか?

監視が起きる原因としては
・組織とメンバーの信頼度が低い場合
・雇用主と従業員の期待値のずれが起きている場合
があると思います。

また、期待値のずれが起きるのは、メンバーシップ型雇用、曖昧な業務範囲に原因がある気がしています。

労働市場からの調達難易度が高くない場合で、かつ完全成果報酬のインセンティブ制度においては、管理は不要になる可能性があります。行動によって報酬が生まれる。行動がなければ、報酬は生じない。という形です。

しかし、労働市場から調達難易度がゼロ。という前提は知的労働においてはありえないため、調達コストが考慮されます。
つまり調達コストが高いので、固定給や定期雇用を約束するのです。

そして、固定給や定期雇用契約を結んだ雇用主としては、期待する成果に対して報酬をコミットしている状態にあります。
だから、雇用主からすると報酬以上は価値を出して欲しいと思ってしまうのです。(資金に苦労しながら給料を払っている経営者だと納得感はあると思います)

直接的な報酬を支払わない上司である場合でも、部下の費用は自身のプロジェクト予算から捻出することになるので、付加価値をしっかりと発揮してほしいと思うものです。

報酬をコミットしているが、その報酬に対して、しっかりと成果であるかが不安になるというロジックです。

生産性を引き出すのは監視でもルールではない

先の議論で見るように、企業組織において監視は、生産性に関する不安が動機となり起きることがありそうです。
しかし、生産性を高めるという目的に対して手段がズレています。
では、生産性を高めるという目的に対してはどのようにアプローチをすれば良いでしょうか。

著者の場合は、それは第一に心理的安全性の確保、そしてその上にインセンティブだと考えます。
「心理的安全性」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことを指します。
心理的に不安な状態では、自由に発言できず、萎縮した状態になってしまい、行動力は発揮できなくなると思われます。
ですので、組織は従業員に対して自分の考えや気持ちをしっかりと発言できるような環境を整えることが大事と言えます。

共感とインセンティブで生産性を高める

生産性を高めるための方法としては、個々人に対するインセンティブ、つまり報酬を用いて、生産性を引き出すことがありそうです。
また、インセンティブの良し悪し以前の話として、従業員が組織ビジョンへの強い理解を持ち、共鳴状態であることが望ましいです。
組織ビジョンへの理解と共鳴がない状態での報酬、例えば、金銭的報酬は、一定以上上がってしまうとインセンティブとしての役割が薄まるような気がしています。
金の切れ目が縁の切れ目的のような関係の人は、熱量の源泉が金であるため、組織のビジョンへの共感度合には疑問がありそうです。

報酬と聞くと金銭的な報酬を思い浮かべますが、報酬には非金銭的なものも含まれます。承認欲求を満たすもの。所属欲求を満たすもの。自己実現を満たすもの。自分が単純に好きな分野に触れられること。なども大事です。

組織が成長することで、見える景色があり、その景色を見るための四苦八苦自体が報酬になれば、とても望ましいことです。組織の成長によって生じる仕事と連動するような報酬がより良いと思います。

いかがでしたでしょうか。
組織の生産性を高めるためには、監視やルールよりも心理的安全性とインセンティブを活用することが大事と考えています。ご参考になれば幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

私たちは共同タスク管理システム「PATHWORK(パスワーク)」を運営しています。
プロジェクト運営や共同タスク管理をもっと効率化したい状況に、とてもおすすめです。
無料プランもありますので、ぜひご利用してください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?