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NY市が「週4日勤務」を試験導入!

皆さん、こんにちは! 在米27年目、ニューヨークはハーレム在住の指揮者、伊藤玲阿奈(れおな)です。

新型コロナのパンデミックによって変わったことといえば、何といってもテレワークです。アメリカ人の働き方はパンデミック前後ではまったく違ってしまいました。現在、テレワークが可能な人は遠慮なく自宅で仕事をしています。

学生や経営者向けの講演会などでよくお話していますが、アメリカで求人を出すときは「リモートかどうか、その場合どれだけ可能か」を明記することが義務化してしまったほどです。

リモート不可の企業が人材確保に苦労しているのは言うまでもありません。イーロン・マスクなど、ごく少数の経営者がテレワークに猛反対しているにせよ、オフィスに戻れという指令に対して従業員は猛反発。強制されたら優秀な人からどんどん辞めてしまうのですから、この辺がアメリカです。

ロックダウンからの再始動からもう3年。社会がこんなに変わったのですから、NYの風景も変わりました。地下鉄の混雑や交通渋滞が緩和されたりしているものの、オフィス街のレストランが苦戦したり、オフィスビルの不動産価値が下がっています。

そんななか、さらに驚くニュースが入りました。

なんとNY市がリモートができない公務員のために週4日勤務(=週休3日)を試験的に始めることを発表したのです(2024年1月17日付け)。リモート可能な公務員との労働環境を公平にすることが目的だそう。

今後、リモートできない人に対して、4日働く週と5日働く週が交互に与えられます。ただし4日働く週の一日あたりの労働時間は少し長くなりますので、2週間の合計勤務時間は今までと変わりません。つまり、単純に週休3日するのではなく、あくまでも労働環境をリモート勤務者となるべく公平に、そして働き方をフレキシブルにすることが目的です。

NY市役所

それでも、リモートできない勤務者にとっては今まで複雑な気分だったでしょうし、いろいろな働き方が試せるということで、労働組合も歓迎しているとのこと。

NYのアダムス市長は、「職務上リモートができない市職員が自分たちの欲するよう柔軟に働けるようになったことで、世界最高の労働力がニューヨーカーのために毎日サービスを提供できるだろう」と述べており、やはり優秀な人材確保に重きをおいている様子がうかがえます。

NYのエリック・アダムス市長
(初の黒人市長)

NYはアメリカでも最先端の政策を試すところです。今回のは大半の人が望んでいるものなので、これから国内でも広がっていくと思われます。

アメリカで普通になったものが10~20年してから日本でも普通になってくる現象が結構あるというのが、こっちに30年近くいる経験から言えることです(レストランの全面禁煙・デビットカード・信用スコアなど)。

リモートワークについても、同じようになるかもしれません。いや、もっと早いかも。少なくとも、結果を出すことを条件にいろいろな働き方を選べることがアメリカでも日本でも(公務員ふくめ)普通になったらと願います。

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執筆者プロフィール:伊藤玲阿奈 Reona Ito
指揮者・文筆家。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、指揮者になることを決意。ジュリアード音楽院・マネス音楽院の夜間課程にて学び、アーロン・コープランド音楽院(オーケストラ指揮科)修士課程卒業。ニューヨークを拠点に、カーネギーホールや国連協会後援による国際平和コンサートなど各地で活動。2014年「アメリカ賞」(プロオーケストラ指揮部門)受賞。武蔵野学院大学大学院客員准教授。2020年11月、光文社新書より初の著作『「宇宙の音楽」を聴く』を上梓。

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