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第35節 栃木SC戦

 こんにちは、私です。
 栃木戦は1-0で勝利。大輔が退場+PK献上で絶体絶命のピンチを迎えましたが、PKを椋大がストップ。その後は1人少ない中でもゴールを狙い続け、95分に見木のゴールで先制する劇的な試合展開となりました。
 この勝利によって5連勝となり、順位もプレーオフ圏内の6位に浮上しました。試合展開的にもチームがさらに勢いづくような勝ち方でした。が、この試合は引いた栃木のブロックを崩すことに苦労しました。
 今後、栃木のようにジェフをリスペクトして対ジェフ用の戦い方を選択してくるチームは増えてくると思います。対ジェフ用の戦い方というのはハイプレスではなく、引いてブロックを作ること。こういった戦い方をしてくる相手に対してどうやって前進していくのか、どうやって一列目を釣り出していくのか。引いた相手にするべきアクションがまだまだ足りません。特にビルドアップの出発点となるCBはもっともっと上手くならなければいけません。

J2リーグ 第35節
栃木SC 0-1 ジェフユナイテッド千葉

スタメン

・ジェフ対策とCBの技術

 栃木は基本的に構えて守ることを選択し、横パスなどでスイッチを入れてプレスに出てくる形で守備をしてきました。ロングボールで栃木WBの背後を取るシーンを何度か作りましたが、なかなか前に出てこない栃木に対してジェフは相手のブロックを崩せずに苦労しました。相手が前に出てこないのならビルドアップの出発点となるCBが運ぶなりしてもっとアクションをしていかなければいけません。この試合はCBの相手を釣りだすためのアクションが足りていませんでした。

①栃木の守備とCBがすべきアクション

 この試合の栃木は5-2-3の形で、そこまで前に出て来ずにブロックを作る選択を取ってきました。
 これについては小林監督も想定外だったみたいで、

思っていた以上に、相手が守備のところで前から来なかったなと。最初から少しブロック気味に守られていたので。自分たちとしてはもう少し前から出てくるだろうと予想していたので、その中で、スペースを消されている分、チャンスの数というところでは普段のゲームよりも作れなかったという印象です。

と試合後にコメントをしています。
 栃木はジェフのCBにあまりプレスをかけず、アンカーの位置に入る田口にはイスマイラが蓋をしてパスコースを遮断。ジェフのCB間での横パスでプレスのスイッチを入れて、シャドーの選手がCBに対してプレスをかけ、ジェフのSBに対してはシャドーのプレスに連動してWBがジャンプするような形でプレスをかけてきました。
 ジェフはなかなか栃木が前に出てこないことで前進に苦労。ロングボールなどでWBの裏を突く、ドゥドゥの馬力でゴール前まで何度か運べていましたが、ラインを一つずつ越えて、前進することはあまりうまくできませんでした。CBの出発点となるCBが持たされることが多かったですが、CBは相手が出てこないのならもっとアクションを起こす必要があります。

 上の図のように相手が出てこなかったことでCBの前にスペースがあることが多く、その状況でジェフのCBは運ばずにSBなどへとパスを出すことが多かった。相手を引き付けずにパスを出してしまうと、受け手に時間とスペースを与えることができず、受け手が苦労してしまいます。実際にこの試合ではこういったシーンが多く、SBに出してもWBやシャドーなどにすぐ寄せられて戻してしまうことが散見されました。

 前にスペースがあるのなら運んで相手を釣り出す必要があります。運んで相手を引き付ければ、受け手に時間とスペースを与えることができ、受け手に余裕が生まれます。
 ジェフのCBはこういった運ぶアクションが足りておらず、引いた相手に苦戦してしまう傾向にあります。大輔は今季序盤に比べたら運ぶようになりましたが、できてる時とできていない時があるのでもっともっと運ぶということを意識しないといけません。

 一耀が相手を釣り出し、さらにフリーの髙橋が運んで相手のWBを釣り出すことができれば、相手の左IBに風間か田中かの2択を迫ることができ、サイドからブロックを崩すことができます。

 基本的には中閉じ→サイド誘導で田中が大外で運んでいくケースになると思いますが、ここで相手の左IBが田中に引き付けられるとハーフレーンの風間が空き、チャンスに繋がります。さらに風間が相手CBをスライドさせれば、呉屋がフリーになりビッグチャンスを生み出しやすくなります。
 運ぶことで相手を釣り出し、受け手をフリーにすることができる。引いた相手に対しても上で書いた通りの展開でサイドを崩すこともできるため、スペースがあったら運ぶということをもっと意識しなければいけません。この試合もCBが運べばもっと楽に前進できたと思います。
 直近の試合ではこうした引く選択をする対戦相手が多く、この試合も小林監督的にはもっと前に出てくるイメージだった。ジェフは引いた相手に苦戦することが多いですし、このようにジェフ対策として引く+田口を消してサイド誘導をしてくる相手が今後多くなる可能性は高いと思います。その中でCBが相手を釣り出すアクションを取れないのはかなり厳しい。対戦相手のスカウティングが機能していますし、チームは好調で勢いがあり、対戦相手によっては選手の質で上回れるため、このままの調子を継続できるとは思いますが、CBがもっと引いた相手に対してアクションを起こさなければ勝てる試合を落としてしまう可能性も低くはないと私は考えています。そのため、引いた相手に対するCBのアクションの少なさは修正しなければいけません。

②呉屋の使い方

 小森の欠場によって呉屋がスタメンとなり、奮闘していましたが、決定的な仕事はできず。ポストプレーや降りてきてビルドアップに参加する場面が多くありましたが、ボールを失ってしまうことも少なくなかった。

 直近の試合では小森が偽9番的な動きをして降りて、ビルドアップに参加。小森のいなくなった前線にドゥドゥがスライドしていく形で前進をしていくことが多かった。この小森の動きをこの試合では呉屋が担っていましたが、呉屋にとって苦手な役割を任されていて、うまく機能しませんでした。
 小森は相手を外して降りてスペースで受けるのが上手く、この動きがジェフのビルドアップに安定感をもたらしていました。また、パスを出すタイミングも良く、ダイレクトプレーに固執しないのもとても良かった。相手を引き付けてキープしながらパスを出すことがとても上手い選手です。一方で呉屋は小森のように降りて受けること、ポストプレーでキープすることはあまり得意ではなく、DFラインとの駆け引きであったり、ボックス内での動き出しに強みがある選手です。呉屋に小森の役割を求めるのは酷ですし、起用するのであれば使い方を変えなければいけません。
 呉屋は前線に置いてビルドアップに関わらせずにDFラインとの駆け引き、ボックス内での仕事に専念させるのが起用法として適切だと考えました。ただ、このためにはチーム全体でビルドアップをもっと上手くならなければいけません。CBが運ぶことを当たり前にして、一列ずつラインを越える作業をもっと上手くなる必要があります。ボールを前進させることが上手くなれば、呉屋をゴール前での仕事に専念させ、ゴールを取ることに集中させることができる。呉屋には小森のような複雑なタスクを与えるべきではないと思いました。

・最後に

 栃木戦は劇的な勝ち方で連勝も続いており、昇格に向けて良い流れを継続できています。しかし、内容的には栃木のブロックを攻略できずに、苦戦した形となりました。今後ジェフ対策として引いてくる相手も増えてくることも考えられますし、引いた相手に対してどうやって崩すのかが今後の課題となります。
 次の対戦相手仙台には前回対戦でCBに持たされて負けています。監督が変わっているため同じような展開になるかはわかりませんが、CBのアクションが重要になりそうです。

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