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アクティブファンドは「コース料理」だ! 〜食べログの評点は美味しいですか、味がしますか?

これはnoteメンバーシップでのメンバーとの会話から生まれた記事です。

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アクティブファンドって料理に例えることができる。常々そう思っています。
料理、具体的には「コース料理」です。

アクティブファンドは「コース料理」である

アクティブファンドは「コース料理」、そうイメージしてみてください。
たとえば、こんな感じ。

https://tourdargent.jp/news/menu/dinner_course/4086


コース料理。そのお値段の幅は結構広いですよね。

コース料理のお値段「だけ」を見て「いやぁ、これは無理」。
そんな反応をする人は少なくない?
美味しいかもしれないけどそこまで払うのはなあ、、とか、この値段を支払って今ひとつだったら損だよ、ちょっと美味しいくらいじゃ納得いかないよね、とか。
確かなこと。それは、この値段を払うことなくお料理を味わうことはできない、ということです。
あ!そうか!
誰かにご馳走してもらう、奢ってもらうってのはありますね。

ということがあるので、ここから先、自分の財布からお金を出して「コース料理」を注文する、食事するという前提でお読みください。よろしくお願いします。

アクティブファンドは「コース料理」とすると。
そのコース料理のお値段は、「信託報酬(運営管理費用)」に喩えることができるかもしれません。コース料理を頂くための料金ですから。

コース料理のお値段「だけ」を見て「いやぁ、これは無理」。
これと同じ判断をしている人たちがいます。
信託報酬「だけ」で、こんなファンドは無理。ダメ、受け付けない。

その代表格の一人が「金融庁」です。
つみたてNISAの対象ファンドを選んだ金融庁はこんな基準を設けています。

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/27.pdf

告示で定める信託報酬率の上限」と記載があります。

告示 は こちらです。該当箇所を抜き出しました。

信託報酬が1.0%(国内の会社を主な投資対象とするアクティブファンドの場合)、1.5%(海外の会社を主な投資対象とするアクティブファンドの場合)を超えるアクティブファンドが気に入ってスキになってコツコツ投資し続けている投資家にはNISAの税制優遇が認められません。それらのアクティブファンドはつみたてNISAの対象商品として不適格だからです。これが実際に起きています。
極めて酷い不公平、アンフェアだと僕は常々思っています。

値段の高い旅館やレストランは「旅行支援」や『GOTOイート」の対象外としているようなものではないでしょうか。

どんな料理が供されるのか、どんなサービスが受けられるか分からない。
それなのに高いお金は払えない。そのお店は選べない。
個々のお客さんがその選択することは別におかしなことだとは思いません。
人それぞれでしょう。
でも、役所がそんな判断をするのは、、、

この話はここまでにしておきます。

吉田さんのブログから

アクティブファンドが「コース料理」だとして、味わい方、楽しみ方について書いていきます。
料理と投資の共通点について発信されている吉田さんから記事の作成にあたり、素材の提供等のご協力を頂きました。吉田さん、ありがとうございます。

「コース料理」(アクティブファンド)を注文して代金を支払っている人、つまり、アクティブファンドの投資家は皆全て、「コース料理」として味わえているのか、を考えてみましょう。

アクティブファンドを保有している人にも色んな人がいます。
日々の基準価額。それを日次、週次、月次で追いかけて追いかけて追いかけ続ける。それだけに明け暮れる。
ファンドの投資先(「コース料理」でいえば食材や一皿一皿の料理)はもちろん、その投資先をどう評価して投資判断したか(「コース料理」でいえば調理法、食材にまつわるストーリーとか)には、全く何一つ関心も寄せずに、ただひたすらに基準価額を追いかけ続ける。騰った下がった、儲かった損したと一喜一憂する。
こうした投資家も何かを味わっているものと想像します。
ただ、こんな疑問が思い浮かぶのです。
こうした投資家は「料理」を味わっているのだろうか???
一体、彼らの味わっているものは何???

アクティブファンドを「コース料理」として味わう

「コース料理」を構成する一つ一つのお料理、お皿。
アクティブファンドでは投資している1社1社の会社が相当すると思います。
一つ一つのお料理、お皿。
素晴らしい一皿を供するために料理人の皆さん、サービスする皆さん、お店の人たちが一体になって準備をしてくれます。素材を吟味し、最高最適の調理法を探し求める。
アクティブファンドも同じですよね。ファンドマネジャー、アナリストやトレーダー、たくさんの人が関わって1社1社の投資先が選ばれポートフォリオ=「コース」に組み込まれます。

ファンドのポートフォリオ=「コース」。
一皿一皿をどう構成するか、が「コース」の個性、特徴になるように、投資先の1社1社がそのファンドの個性、特徴を決定づけます。

料理人の人たちが食材の「旬」を意識して季節ごとに「コース」の中身、お皿の内容を変えるように、アクティブファンドも会社の「旬」を見極めてポートフォリオを組み替えていきます。

どのくらいの数の会社がポートフォリオに含まれているか、どのように移り変わっているのか、投資家がそれをしっかりと感じる、関心を寄せる、見守る。
このプロセスが無い場合、アクティブファンドを味わっているとは言えない、僕はそう思います。
しかし、です。ポートフォリオに並んだ投資先の会社名、その移り変わりを見ている、それだけでその「味」をたっぷりと感じることができるだろうか、とも思います。

この御献立やメニューを見ているだけじゃわからない。
アクティブファンドのポートフォリオの場合、その料理を見て食してその味を感じることは出来ません。食べることはできません。でも、1社1社の事業や社会に届けている価値に触れる、理解する、納得するプロセスを経ることで、「味わう」になるのではないか、と思います。

1社1社の事業や社会に届けている価値に触れる、理解する、納得する、ファンドマネジャー、ファンドに関わるチームはその助けとなれるはずです。

ポートフォリオに入っている投資先の会社を1社、1社、その事業についてファンドマネジャーが詳しく説明する。どうしてこの御献立に並べることにしたのか、その理由を伝える。なぜその調理法を選んだのか。
一流の料理人、お店の中には、それを試みられているケースもあるそうです。吉田さんがブログでご紹介されていた記事です。

この記事は、実際にこのコースを体験していない人にも伝えようとしている点で、たとえば下記のファンドのレポートと近いものを感じます。

https://www.sparx.co.jp/mutual/uploads/pdf/gen_202204.pdf

スパークスさんのスタンスは、ファンドを保有していない人にも投資方針、投資先の会社を詳しく伝えよう、とするものです。「コース料理」を注文していないまだ料金を払っていない人に献立と調理法、そのエッセンスを伝えています。

一方、農林中金バリューインベストメンツさんはファンドを保有している人、実際にコース料理を注文して代金を払ってくれる人にだけその調理法、とそこにある意図を伝えようとしています。献立=投資先は年に1回の運用報告書(全体版)で確認できます。こうした判断に至った理由は以下のページでご覧になれます。

https://www.nvic.co.jp/data/fund/obune_japan/id200001_report1_221116.pdf

こうした情報発信をしっかりと受け取って、ようやく投資家はアクティブファンドをより深く味わえる、そう思います。この点において、ほとんどのアクティブファンドは、受益者がそれを味わっていると感じるほどには情報提供できていない、十分な説明が出来ていない。これが実態です。

つみたてNISAの適格性も情報発信の質と量で判断すべきと僕は思います。
ポートフォリオについてしっかりと説明しようという姿勢が感じられないファンドから「味」を感じ取ることは極めて難しいものです。

ポートフォリオについて、また、それをどのようにつくりあげたのか、丁寧に説明しないことは、いわば、献立、メニューに食材の名前だけが書き連ねられていて、どう調理したのか、煮たのか、焼いたのか、蒸したのか、お造りなのか等は全く書かれていないようなものです。

こう考えてみると、ポートフォリオについての報告、説明が不十分なアクティブファンドは「コース料理」としてかなりダメ、イケてない、ということになります。

「コース料理」と呼んでいいのかしら、これ「コース料理」ですか?
そんなアクティブファンドの粗製濫造が
コース料理のお値段「だけ」を見て「いやぁ、これは無理」。
こうしたスタンス、考え方が広がる後押しになっている。
業界はもっとそれを真摯に受け止めるべきでは。

企業価値を探究しているな!と、献立・メニュー(投資先の会社、ポートフォリオ)、サービス(投資先の紹介、投資判断の説明)から感じさせるファンドが本当に少ない、少なすぎる。

こんな記事も以前につくりました。あわせてご覧ください。


アクティブファンドを味わい尽くすためには

料理人であるファンドマネジャーから料理の説明を聞く。それだけでもその料理の味を楽しむことが出来ます。が、さらにもう一歩味を深く感じることができます。その料理、投資先の会社を自分で「復習」します。WebサイトやIR資料、ニュースを調べてみます。そうしたプロセスを経ることで投資先の会社への理解、納得がさらに深まることでしょう。場合によっては、ファンドを通じてだけではなく株式を自ら保有したい、という考えに至ることもあるでしょう。
「味わい尽くしたい!」そうした考えはごくごく少数の人たちだと思いますが、アクティブファンドを提供する側がそのニーズに応えること、たとえば投資先の会社との交流の機会を持つ、あるいは、会社訪問する、これらがそのファンドへの理解と納得を深め、それが確かな支持になる。そのファンドの常連さんをふやすことになります。

味わい尽くすために、ということで重要だと感じたチャートがあります。

『ビジネスエリートになるための 投資家の思考法 The Investor’s Thinking』公開アセット

投資先の「事業の経済性」への興味、知的好奇心を磨くこと。上記の表にある「イインベスターシンキング」、これが「コース料理」を味わい尽くすためにとても役立つものと思います。

こうして投資先について、事業の経済性まで関心を向ける経験を積み重ねていくと、それは株式投資の範囲にもプラスの波及効果が得られる・・・かもしれません。

アクティブファンドの値動きにしか興味がない人たち

日々の基準価額。それを日次、週次、月次で追いかけて追いかけて追いかけ続ける。それだけ。
ファンドの投資先(「コース料理」でいえば食材や一皿一皿の料理)はもちろん、その投資先をどう評価して投資判断したか(「コース料理」でいえば調理法、食材にまつわるストーリーとか)には、全く何一つの関心も寄せずに、ただひたすらに基準価額を追いかけ続ける。

こうした人たちはアクティブファンドで何を味わっているのだろうか???

考えてみましょう。

「コース料理」を注文、料理が目の前に供されます。

しかし。

献立は見ない、料理人やお店の人たちの説明も聞かない、興味を示さない。

料理を目隠しして食べているみたいなものですかね。

食べていたら口にしている以上何かしらの「味」を感じているのでしょう。

では、その「味」とは・・・たとえば、ですが、

その「コース料理」の食べログの評点 かもしれません。
レストラン全体の食べログの評点の平均点 が 株価指数だとすると、

食べログの評点の変化を日次、週次、月次で追いかける、食べログ全体の評点と比べる。それが彼らが感じている「味」なのかもしれません。
食べログの評点が高いお店の料理であれば、料理、サービスの内容なんて関係なく、「美味しい」って感じる、そんな状態?

そして、しばらくすると(食べログの評点を追いかけ続けるのに飽きちゃうのでしょうか?)「こんな高いお店はダメだ」と捨て台詞をSNSにばら撒いて去っていく。食べログの評点は料理ではありませんからね。

コース料理のお値段「だけ」を見て「いやぁ、これは無理」。

アクティブアンドなんて二度と買うもんか。

こうなるのでは、と想像します。

三位一体で素晴らしい「コース料理」を育てない

これって「コース料理」と呼べる?、そんなアクティブファンドの粗製濫造する業界、

高いお店、高い「コース料理」にはGOTO イートを認めない役所、

食べている料理の内容、中身ではなく、食べログの評点ばかり気にしている客、食べログの評点に「味」を探している客

これらが三位一体になっているせいで「コース料理」と呼ぶにふさわしいアクティブファンドが冷遇されているように思われてなりません。
素晴らしい「コース料理」が育たない、というか、育てられない。

それでも。
素晴らしい「コース料理」だと感じられるアクティブファンドはまだまだ少ないものの、いくつか存在しています。
そうした存在をしっかりと味わっていく様を発信する、それを意識していくことで、これは良い「コース」料理と呼べるアクティブファンドを育てられないか、ということをいつも考えています。

毎月3つのアクティブファンドを眺めているこちらのシリーズ。

このシリーズは、アクティブファンドを「コース料理」に喩えると、食材、料理の移り変わり、食べログの評点の履歴をまとめたものです。あんまり「味」は感じられないかもしれません。深く味わうための準備みたいなものですね。

そして、ファンド毎の毎月の定点観測はそれらに加えて、調理法や料理のストーリーについて調べた内容を加えています。一例が下記のマガジンです。

素晴らしい「コース料理」と呼べるアクティブファンドを育て、また、その味わい方を一緒に考えるのが僕のメンバーシップが目指しているところです。
ご興味ある方、ぜひご検討してみてください。お願いします。

定期購読マガジンから有料記事をいくつかピックアップした【おためしセット】もあります。中身を少し覗いてみたい方、ご検討してください。


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