50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本 (著・竹川美奈子さん)
著者の竹川美奈子さんから頂きました。
帯に書かれていますが、この一言に尽きると思います。
「自分ごと」で考えよう
#老後2000万円 は早くも忘れ去られたような感じもありますが、わずか数か月前にはこの件で色々と騒がしくなりました。公的年金保険に関しては、これまで色々と残念?なことが起きてきただけに、それに関して「何か」があると、マスメディアがよってたかって取り上げようとする傾向があります。その際、公的年金保険のことを熟知している人たちばかりではなく、中身をよく分かっていない人まで発信してしまう。先般の「老後2000万円」は明らかに、制度の中身をよく理解していない記者が一部を切り取って煽ったのがそもそもの発端だったと思います。しかるに、公的年金保険等について、マスメディアの発信は半値八掛け3割引くらいに受け取るのが適切な情報の受け取り方だと考えます。
一番大事なことは、自分のことは「自分で」調べるということ。その「自分で」調べて、考える具体的な方法を紹介されているのがこの本です。
目次です。
序章 知ることで不安は払拭できる
第1章 公的年金は長生きリスクに備える最強の保険
第2章 意外と知らない退職給付(退職金・企業年金)制度
第3章 人生を通してお金をふやし、楽しく使うための「管理術」
第4章 非課税制度を活用!自分でも老後資金を準備
第5章 公的年金や企業年金、iDeCoの資産をどう受け取ればよいか
第6章 「自分で準備」してきた分をどう引き出すか
私も最近「ねんきんネット」に申し込んで、公的年金保険の状況を確認できるようにしました。こうした確認作業を行うことで自分が今後何をやるべきか、が見えてくる面もあるものと思います。
一方で、こうした確認作業には手間がかかります。自分自身の老後、長生きに対する備えが公的なもの、私的なもの含めて簡単に一覧できる仕組みが無いことが、「不安」、それも原因、理由が判然としない「不安」を生み出している一番大きな理由ではないでしょうか。制度を複雑にすればするほど役所の皆さんのお仕事は増えるから役人の皆さんはそれで構わないのかもしれませんが、こうした煩雑な制度を堅持するどころか、さらに複雑化することに役所の皆さんはこぞって躍起になっているようにさえ見えます。結果、「不安」をさらに増幅し、社会の活力を損なっていることに気づけないのでしょうね。行政側が自ら仕事を減らすようなこと、つまり制度の簡素化を進めるインセンティブはゼロでしょうから、政治のイニシアチブが必要なのでしょう。しかし、それは残念ながら期待薄(政治にもその認識が乏しい)なので、煩雑な制度の中で自分のことは「自分で」調べる、ポンコツなメディアの声は無視できる、そんなスタンスを取れるようにするのが、目下の最善策なのだろう、と思います。
株式や投資信託等のリスク性資産にお金を投じるなら、時間と心の余裕は必須です。
この本で最も印象的で、「その通り!」と感じた個所をご紹介しておきます。第4章で「自助」による資産形成の具体的な方法、考え方が詳しく述べられているのですが、ぜひご確認していただきたい点です。
投資の果実を得る(企業価値の向上)にはそれなりの時間がかかるので、長期でじっくりお金を置いておく(着実に積み立てを継続する)ことで、結果として老後の生活も豊かになる可能性が高くなります。逆に言えば、時間と心に余裕を持てる、というのが大前提です。無理に投資をしても、短期的に値下がりしたときに怖くなってやめてしまっては、むしろ資産を減らすことになりかねません。
:第4章 非課税制度を活用!自分でも老後資金を準備 / 145頁
私のノートでは何度となく書いていますが、「不安」をきっかけにして、株式や投資信託等のリスク性資産にお金を投じるのは避けるべきだと思います。株式や投資信託は値動きがあります、タイミングが悪ければごく短期間に大幅な評価損が発生すること起こり得ます。「不安」でスタートしていたら、そんなことが起きたらさらに「不安」が増すだけです。
リスク性資産を持つ、リスクを取るうえで、時間と心の余裕を持つことは非常に大事なことなので、この点はぜひとも腹の底から納得して、「自分ごと」にしたうえで取り組んでもらいたいですね。
投資は、「未来」や「自由」の為に取り組みたいものです、「不安」だからではなく。