「株式投資=お金の話」ですか?

「利他的投資のすすめ」 第3回です。

「利他的投資」を理解、納得して、またそれを楽しむための大前提があります。

大前提は、パーセプション=認識です。

「株式投資とはどういう行為なのか、どんな行動なのか」この問いに対するパーセプションが違っていると「利他的投資? わからんわ〜 何言ってるの」となるはずです。

「株式投資とはどういう行為なのか、どんな行動なのか」こう問われた時、あなたの今のパーセプションはどんなものでしょうか?

「株式投資=お金の話」ですか?


株式投資とは「お金をつかってお金をふやす行為、行動」、端的に言うと「株式投資とはお金の話」。こんなパーセプションではありませんか?

僕は株式投資を始めてもうすぐ20年。たった数年前までのパーセプションは「株式投資=お金の話」でした。その証拠がこちらです。

2019年8月のこの記事は「お金の話」としていますが、記事の中でご紹介していたイベントは「株式投資で資産形成を」をテーマにしていたものです。

当時の僕の中で、株式投資とは「お金をつかってお金をふやす行為、行動」、端的に言うと「株式投資とはお金の話」というパーセプションが非常に強かったという何よりの証拠です。

この4年近くでそのパーセプションが変わっていきました。

「お金をつかってお金が増える」のはなぜ?


株式投資。お金で株式を買って、お金が増える。

この結果はなぜ起きるのでしょうか。

これは2つの要素が絡んでいます。

一つは株式を発行している会社。そして、もう一つは株式市場です。

投資している会社に値段、つまり、株価ですね、を、株式市場が付けてくれます。その株価があることで時価を把握することができます。そして現金に戻したくなったら売却することができます。逆に、もっと買いたい、投資したくなったら株式を追加で購入することもできます。株式市場があることでお金が増えたこと(本当は評価が高まっているだけでお金そのものが増えていなません、後述します)を実感できるわけです。

ただ、株式市場の評価というのは毎日、刻一刻と変わっていきますので、パーセプションが「株式投資=お金の話」であると、気になって仕方が無い、そういう状況にもなり得る可能性大でしょう。

株式を発行している会社。儲かっている、利益を着実に安定的に生んでいる。これがとても重要な点です。こうした会社は、株式市場もより高い評価を付けてくれる可能性が高まります。

儲かっている、利益を着実に安定的に生む。この利益を生むのがその会社の事業活動です。事業活動で商品、サービスを提供して、社会に付加価値を提供している。その価値が大きい会社ほど儲かる。商品、サービスへの支持が安定的で、さらにじわじわ広がっていれば、その利益も着実で安定したものになる。

「株式投資とは、事業に関わる、参加すること」


株式を買うと「株主」になります。その株式を売ったら「株主」ではなくなります。当然ですね。株式投資とは「オーナーになること」。尊敬する投資家、奥野一成さんは至る所でこのパーセプションを強調されています。

利益を出し続けるような本当に強い会社、本当に素晴らしいビジネスを見つけてそれを見極めて、その会社の株式を保有することでその会社のオーナーになる、所有者になること

僕自身、奥野さんのこのパーセプションに大きな刺激を受けているのは確かです。株式を保有している株主は「オーナー」、その通りです。ただ、「オーナー」「所有者」というとちょっぴり偉そうかなあ、なんて思ったりもするんです。というのも、会社で働いてくれている人たちこそが「価値」をつくっているわけで。僕ら投資家が株主になったところで、その「価値」を僕らがつくったりすることはできません。

でも、です。「株式投資=お金の話」というパーセプションで、今期の利益はナンボですか、来期はどうなってますか、というのも、それはもっと違う。

「株主」には、生み出した利益を受け取る権利があります。それは、事業活動に関わっているから、参加しているから、と考えています。

株式投資とは、投資先の事業に関わる、参加すること。

このパーセプションを持つようになりました。もちろん、全ての投資先の事業を把握できているわけではありません。また、ちょっと眺めただけで知ってるつもりレベルでしかないことがほとんどです。

しかし、このパーセプションを持っていると徐々に変化してきます。

自分が投資している会社の名前を聞く。話のその後に耳を傾けると、その会社が褒められている、評価されている、賞賛されている。そんな機会、場面が増えてきます。僕の投資している会社が、社会に役に立っているのだ、素敵な事業活動をしてくれているのだ、と感じられる。これが増えていくわけです。

事業活動で商品やサービスで笑顔を増やしているか、に関心を寄せるのが「利他的投資」です。事業そのもの、その事業がどうやって生まれてきたか、を知っていれば知っているほど「利他的投資」を実感することができるはずです。

投資先の事業への関心を高めるのは、パーセプション:「株式投資とは、投資先の事業に関わる、参加すること」です。このパーセプションが「利他的投資」を理解、納得して、またそれを楽しむための大前提になります。

さきほど、株価の話をしましたね。

株価が下がった時の話


株式市場があることでお金が増えたこと(本当は評価が高まっているだけでお金が増えたではない、と僕は思いますが)を実感できるわけです。

と書きましたが、株価は下がることもあります。

市場の評価はコロコロ変わります。

「株式投資=お金の話」というパーセプションだと、保有している株式の株価が下がったらこう感じるのではありませんか。

「お金が減った!減ってるー」

と。しかし、お金そのものは減っていません。その会社の「株主」になる権利、あなたが持っている株式の、市場が付ける評価が変わった(下がった)だけです。

これ以上「お金」が減ったら困る・・・

そう考えて株式を売却した時、その時。お金は確かに減ります。

株価が騰った場合も同じですね。お金そのものが増えているわけではありません。市場が付ける評価が高まっただけです。そしてその評価はコロコロ変わります。

株式投資にはたくさんのアプローチがありますが、「この会社を市場はどんな風に評価を変えるだろうか」に着目して投資判断する投資家も居ます。ただ、上記の通り、市場の評価はコロコロ変わります。そこに注力するよりも「この会社は事業を通じて独自の価値をつくっているか、つくりつづけられるか」に着目して投資判断をすることが、長い時間続ける上ではとても大切なことだと僕は考えています。

「株式投資=お金の話」の皆さんへ


誤解していただきたくないのですが、「株式投資=お金の話」というパーセプションを間違っている、という意図は全くありません。あくまで「利他的投資」を理解、納得して大いに楽しむための大前提を述べていました。

利他的投資に興味、関心が無い人たちにとっては「株式投資=お金の話」で全く問題ないと思います。

あくまで想像ですが「株式投資=お金の話」という皆さんの中には、個別の会社の事業なんてどうでもいい、全世界や米国の会社をバスケットで持っていればいいじゃない、という人も多かろう、と思います。そんな皆さんも注意しておいては、とお勧めしたいのがPERです。今、全世界株式の株価は、その利益の何年分と株式市場が評価しているか、です。


個々の会社の事業に関心が向かない、そこに時間をかけるつもりもない「株式投資=お金の話」の皆さんも、PERは追いかけておいて良い指標だと思います。ご参考になれば嬉しいです。

僕の中で「株式投資=お金の話」というパーセプションが強かった頃から、5年以上、毎週チェックしています。


以上 「利他的投資のすすめ」第3回でした。

今回の記事を読んでくださった方の「パーセプション」がちょっぴりでも揺さぶられたら大成功です。最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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